執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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弥彦総合文化会館において、配管工事中の爆発事故が発生し、1名が亡くなり、数名が負傷するという痛ましい事故が発生しました。
お悔やみ申し上げます。
工事中にガス管を破損したことによるガス爆発事故については、神戸地裁昭和61年10月30日判決が一部賠償責任を認めています。
このガス爆発事故は、ガス配管があるのに、その近辺を手掘りではなく、アイオンという機械で掘削し、ガス管に穴が開いたために生じたものです。
以下、ご紹介します。
1 ガス爆発と下請業者の責任
裁判所は、配下の者に、ガス配管があるのに、配下の者が手掘りではなく、アイオンで掘削するに任せた下請業者に安全配慮義務違反を認めました。
2 ガス爆発と元請業者の責任
判決は、元請業者についても、ガス導管が埋設されてい付近では掘削機械による掘削を行ってはならないことが工事関係者の常識であったのに、下請事業者に対し、ガス導管付近で機械掘削を行わないような具体的指示を行わなかったとして義務違反を認めました。
3 ガス爆発と発注者の責任
判決は、発注者である自治体について、「道路掘削前の試掘につき、自らの職員たる監督員を立会わせ、その指揮監督の下にこれを行わせるか、あるいは少なくとも、事後に試掘の結果を見分して、十分な試掘が行われたか否かを点検指導して、ガス導管の平面的な位置のみならず、深さ、構造等埋設状況を正確に把握し、これを図面化して作業員の末端に至るまでが全工事関係者に周知徹底させる措置を講ずる義務」があったのに、これを果たさなかったとしました。
4 ガス爆発とガス会社の責任
判決は、ガス会社が不正確な配管配置図しか提供しなかった等の点について、あくまでそれは参考資料でしかなく、ガス会社に法的な義務違反があったとは言えないとしました。
5 弥彦村総合文化会館での事故の法的責任
弥彦村総合文化会館での事故の法的責任については、そもそもの事故原因がはっきりしないので、断言できないところがあります。
しかし、仮に工事が原因でガス管に穴があき、ガス管からのガス漏洩があったとすると、弥彦村側としてガス管等の位置について適切な情報を提供していたのか、掘削方法がガス管の近傍で行うものとして適切なものだったのかが問われることになります。
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当職が担当したANAクラウンプラザホテル新潟過労労災事件についての記事
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