
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

1 刑事事件の流れ
犯罪をしたと疑われている場合、捜査機関の捜査を受けることがあります。
捜査としては、取り調べ、捜索差押等がなされる可能性があります。
必ず逮捕されるわけではなく、在宅のまま取り調べなどを受けることもあります。
警察に逮捕されると、72時間以内に釈放されるか、勾留という身柄拘束をされることになります。
勾留は10日間ですが、さらに10日間勾留が延長されることもあります。
勾留の終わるころに、検察官において起訴をするか、不起訴にするか決めることになります。
起訴をされると、そのまま裁判のために勾留される可能性があります。
不起訴なら釈放されることになります。
起訴前の勾留が10~20日間で終わらず、再逮捕再勾留ということでさらに勾留が続く場合もあります。
2 弁護人に依頼する必要性
刑事事件については以下の理由から逮捕された人、逮捕されそうな人について弁護人がつく必要性があります。
否認事件
否認事件については、弁護人が必要な調査を行い、捜査機関に対し、犯罪が成立しないことなどを説得することがあります。
また、弁護人が、逮捕・勾留等されている人に接見をしてアドバイスをしたり、捜査機関による行き過ぎた取り調べに対し申し入れを行ったり、違法な勾留等について不服申し立てをしたりすることで逮捕・勾留されている人の権利を守り、起訴をさせない等の成果を得ることができる場合があります。
日本の刑事裁判では起訴された場合には、ほとんど有罪となります。
また、起訴されると、保釈されない限り勾留が続き、仕事等に悪影響が生じます。
ですから、起訴される前の段階で、弁護人の適切な援助を受け、不起訴を目指すことは極めて重要です。
自白事件
罪を認めている事件であっても、実際よりも悪質であるかのような供述調書が作成される場合等があり、否認事件と同様に弁護人が援助する必要があります。
また、早期に被害者と示談等を行うことにより、不起訴とされることもあります。
起訴されても執行猶予となる可能性はありますが、それでも前科はつきます。
やはり不起訴が一番望ましいですし、そのためには起訴前から弁護人による充実した援助を受けることが重要なのです。
以上より、否認事件、自白事件、いずれについても、弁護人が逮捕・勾留等された人を援助する必要性は高いのです。
黙秘、取調べ拒否について
取調べについては、黙秘をお勧めすることも少なくありません。
被疑者段階では、弁護人も証拠を見ることはできません。
人間の記憶はあいまいです。
証拠も見れない、記憶も当てにならないという状況で供述をした場合、後日、その供述と矛盾する主張をせざるを得ない場合もあります。
そうであれば、そもそも取調べに対しては供述はせず、黙秘を通すのが合理的という場合も少なくないわけです。
このような黙秘権の行使は憲法上の権利であり、何ら非難されるべきものではありません。
しかし、そうはいっても、警察や検察は、黙秘をする被疑者を非難し、口を割らせようとします。
よって、黙秘を貫徹するために、そもそも取調べに応じない(房から出ない)ということも検討すべきということになります。
このような取り調べ拒否が許されるかどうかは、取調べ受任義務の存否ということで学説、実務において激しく争われてきました。
しかし、黙秘権という憲法上の権利の実効化という観点から、取調べ受任義務は否定すべきですし、房から出ず、取調べにそもそも応じないという対応も許されると考えます。
3 逮捕された、あるいは逮捕されそうなときは弁護士齋藤裕にご依頼ください
弁護士齋藤裕は、25年間刑事事件を取り扱ってきました。
無罪事案、不起訴事案を経験したこともあります。
ご自身、あるいは知人が逮捕された、あるいは逮捕されそうな場合、ご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
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