執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 高齢の親に会わせない多くの事例
現在、子どもが高齢の親に会わせてもらえないケースが多くあります。
親族の一部が面会を妨害するケース、高齢者虐待防止法等により自治体が関与して面会が妨害されるケースなどがあります。
しかし、それらは違法となる場合があります。
以下、対応策などについて検討します。
2 高齢の親に会わせないことは違法か?
横浜地裁平成30年7月20日判決は、以下のとおり述べ、子どもには原則として親と面会する権利があるとしています。
「債権者は、両親の子であるところ、前記認定事実のとおり、両親はいずれも高齢で要介護状態にあり、アルツハイマー型認知症を患っていることからすると、子が両親の状況を確認し、必要な扶養をするために、面会交流を希望することは当然であって、それが両親の意思に明確に反し両親の平穏な生活を侵害するなど、両親の権利を不当に侵害するものでない限り、債権者は両親に面会をする権利を有する」
なお、東京地裁平成29年1月31日判決は、高齢者の孫らが、高齢者の子どもと高齢者の面会をさせなかったことについて不法行為は成立しないとしています。
しかし、高齢者の子どもの不相当な言動を根拠に不法行為が成立しないとしており、子どもが高齢の両親に会う権利を否定しているものではないと考えられます。
3 高齢の親に会わせてもらうための法的手段
ある人が高齢の親に会うのを妨害している場合、とりあえず家裁に調停を申し立て、そこで協議をし、面会を求めることがありえます。
しかし、調停はあくまで話し合いですから、相手方が同意しない場合には解決しません。
そのような場合には、面会妨害禁止を求める仮処分を申し立てる、面会妨害を不法行為として損害賠償訴訟を起こすということが考えられます。
上記横浜地裁平成30年7月20日判決は、面会妨害禁止の仮処分を認めたものです(保全異議)。
これらの方法は自治体が面会妨害をしている場合にも妥当すると考えられます。
4 高齢者虐待防止法との関係
高齢者虐待防止法は以下のとおり定めます。参照:高齢者虐待防止法
第十三条 養護者による高齢者虐待を受けた高齢者について老人福祉法第十一条第一項第二号又は第三号の措置が採られた場合においては、市町村長又は当該措置に係る養介護施設の長は、養護者による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護の観点から、当該養護者による高齢者虐待を行った養護者について当該高齢者との面会を制限することができる。
ですから一定の場合において、施設が面会を制限することはありえますが、これ以外の自治体等の主体が面会妨害をすることは許されませんし、施設において高齢者虐待がなされうるような状況でなければ施設による面会妨害も許されないと考えられます。
5 新潟の高齢者への面会妨害は弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください
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