執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 労災・労働災害における後遺障害の併合を考える意味
労災・労働災害で後遺障害が残った場合、その程度に応じて後遺障害が認定されることになります。
後遺障害の等級は、労災保険から支給される金額等に影響するだけではなく、損害賠償をする場合の金額にも影響する重要なものです。
この後遺障害が複数残った場合にどうなるか、後遺障害の併合について以下解説します。
2 後遺障害の併合のルール
労働者災害補償保険法施行規則14条3項は、併合について以下のとおり定めます。参照:
労働者災害補償保険法施行規
一 第十三級以上に該当する身体障害が二以上あるとき 一級
二 第八級以上に該当する身体障害が二以上あるとき 二級
三 第五級以上に該当する身体障害が二以上あるとき 三級
一により、13級と12級の後遺障害がある場合、12級から1等級あがり、11級となります。
14級2項が、「別表第一に掲げる身体障害が二以上ある場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級による。」としているので、13級と14級の後遺障害がある場合、併合にはならず、13級として扱われることになります。
14級の後遺障害が2つあっても、14級のままです。
二により、8級と7級の後遺障害がある場合、7級から2等級あがり、5級となります。
三により、5級と4級の後遺障害がある場合、4級から3等級あがり、1級となります。
3 後遺障害の併合がなされない場合(系列が同じとき)
2のルールは後遺障害の系列が違うことを前提にしています。
系列は身体の部位や障害の種類等により分類されたものです。
例えば、眼球と眼瞼は別の系列です。
眼球の後遺障害は、視力障害、調節機能障害などの障害の種類に応じて系列が異なります。
眼球と眼瞼に別々の後遺障害がある場合、系列が違うので、併合がなされることがありうることになります。
4 後遺障害の併合がなされない場合(組み合わせ等級)
右下肢と左下肢は別々の系列であり、両下肢が失われた場合、併合とすべきようにも思われます。
しかし、1級6号で、両下肢が失われた場合について規定されているので、この場合には併合をせず、1級6号を適用することになります。
このように、異なる系列の後遺障害を組み合わせた後遺障害が定められている場合(組み合わせ等級)の場合、その等級に従うことになります。
5 後遺障害の併合について例外的な扱いがされる場合
後遺障害の併合をしてしまうと、他の後遺障害とのバランスが取れない場合(障害の序列を乱す場合)には、等級の調整がされます。
例えば、1上肢を腕関節以上で失い(第5級の2)、かつ、他の上肢をひじ関節以上で失った(第4級の4)場合は、併合して等級を繰り上げると第1級となります。
しかし、当該障害は、「両上肢をひじ関節以上で失ったもの」(第1級の6)の障害の程度に達しておらず、バランスが悪いので、2級とするとされています。
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以上の他、同じ後遺障害を別の角度で見たに過ぎない場合には重い方の等級にする、一方の後遺障害から他方の後遺障害が当然に派生する場合には重い方の等級にするなどのルールもあります。
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