新潟県で、不同意性交等罪により逮捕、勾留された方はご相談ください。

さいとうゆたか弁護士

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 不同意性交等罪の施行

  2023年7月13日、改正刑法が施行され、不同意性交等罪が処罰されるようになりました。

改正後刑法では以下の事情あるいはそれに類する事情により、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じ」て行う性交等について、5年以上の有期拘禁刑に処することとされました。

一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

暴行脅迫等が要件とされた旧強姦罪より、かなり要件が緩やかになり、犯罪が成立しやすくなっています。

特に、セクハラ、セクシャルハラスメントと言われるような事態、つまり会社における上下関係等の中で性交等がされた場合においては、表向きには強制等があったようにみえなくても、不同意性交等罪が成立する可能性があるということになりますので、注意が必要です。

2 暴行・脅迫と不同意性交等罪 滋賀医科大学学生をめぐる大津地裁の有罪判決と大阪高裁の逆転無罪判決(飯島健太郎裁判長)を参考に

不同意性交等罪においても、暴行・脅迫で犯罪が成立する場合があります。

どのような場合に暴行・脅迫が成立するかについては、従来の強姦罪・強制性交罪における裁判例がある程度参考になります。

この点、滋賀医科大学学生が不同意性交等罪に問われた大津地裁令和6年1月25日判決は強制性交罪における暴行・脅迫等を認定しています。

同判決では、

ⅰ 学生1が女性の頭部を左手でつかんでその口腔内に自己の陰茎を含ませて腰を前後させる暴行をしたこと

ⅰ 女性が「苦しい」と言うのに対し、学生1が「苦しいのがいいんちゃう」と言い、学生2が「苦しいって言われた方が男興奮するからな」と言うなどの脅迫をしたこと

ⅲ 女性が「苦しい」と言うのに対し、学生1において「が、いいってなるまでしろよお前」と言って脅迫したこと

ⅳ 現場から立ち去ろうとしていた女性に対し、学生1がその後方から女性の身体に両腕を回して抱きついて引っ張り、学生2が女性の友達の身体を引っ張って、女性の友達を女性から引き離すなどの暴行を加えたこと

を強制性交罪における暴行・脅迫としています。

これらが暴行・脅迫とされたのは、

ⅰ 学生1の自宅内という環境

ⅱ 学生1宅内に入る前に女性が性行為を何度も拒絶していたこと

ⅲ 女性が嫌がる動画撮影を行いながらのものであったこと

等の事実認定を踏まえたものです。

同判決は行為について女性の同意もなかったとしています。

このように、暴行・脅迫については、暴行・脅迫それ自体の性質のみではなく、場所的環境、「被害者」側の前後の反応等を踏まえて該当性が判断されます。

なお、大津地裁判決は、大阪高裁令和6年12月18日判決(飯島健太郎裁判長)により、女性の同意がなかった疑いがあるという理由で破棄されたと報道されています。

そもそも地裁でも前提となる事実関係については争いがあり、地裁判決は女性側の証言に信用性を認めた上での判断でした。

地裁で、弁護側は、女性が警察に最初に相談した際には強制性交等ではなく動画撮影について相談していたこと、女性において警察に強制性交と信じてもらえなくなると思って一部の性行為について警察に申告していなかったこと、女性において実際より多くの学生に性行為をさせられたと虚偽の供述をしていたことを理由に女性の証言の信用性を争っていましたが、地裁は女性の証言の信用性を認めました。

高裁は、地裁の証拠評価に疑義を呈し、その結果同意についての認定が変化した可能性があります。

3 16歳未満の者との性交等と不同意性交等罪

刑法改正により、従来は13歳未満の者との性交が処罰されていたのが、「十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)」について、5年以上の有期拘禁刑に処せられることになりました。

つまり、

ⅰ 被害者が16歳未満で

ⅱ かつ、加害者が被害者より5年以上年長

であれば、暴行などの要素がなくとも不同意性交罪が成立し、5年以上の有期拘禁刑に処せられうることになります。

5年以上の有期拘禁刑の場合、特に刑を軽くすべき事情があり、酌量減刑されなければ実刑となります。

しかし、実際には、酌量減刑がされ、執行猶予となっている事例もあります。

例えば、長崎地裁令和6年5月22日判決は、「当時25歳の被告人が自ら手錠等の複数の性玩具を準備して被害者と会い、個室内で約3時間半にわたってこれらの性玩具を用いた上で、手指や性玩具を被害者の膣に挿入して性交等に及んだ」という事案について、

・被告人が被害者と交流を開始してから被害者の年齢を知ったこと

・被告人は被害者の自殺を思いとどまらせるために交際を継続していたこと

・性交が交際開始から約4か月が経過して初めてなされたこと

等から執行猶予としています。

年少者をことさらに狙っていた、年少者の未熟さをことさらに狙っていた、真剣な交際とは言えない等の事情がない場合、執行猶予の可能性も相当程度出てくるということになりそうです。

4 不同意性交等罪の弁護活動

不同意性交等罪については、そもそも逮捕等されても、被害者等の情状を与えられず、どの事件で逮捕等されたのかわからないこともあります(最高裁令和6年4月24日決定は、被害者名などを勾留状記載しないことは憲法違反ではないとしています。参照:被害者名などを勾留状に記載しないことが許されるとした判例)。

また、16歳未満であるとの認識があったかなど、主観的な要件が問題となることが多いです。

ですから、逮捕等されても無理に弁解などをせず、黙秘することが有効なケースが多いです。

従来の強姦罪に比べても、事件の前の事情について適切に整理して主張立証する必要性が増しているとも言えます。

事実を認めている場合でも、弁護人が活動をして、示談ができれば、不起訴とさせることができる可能性が高まります。

ですから、不同意性交等罪については、早期からの弁護士による弁護が特に必要となります。

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