執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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解体工事は事故の多い業種で、多くの労災事故が発生しています。
労災事故が発生した場合、労災保険の支給を受けることが可能です。
その他、会社に安全配慮義務違反がある場合、損害賠償請求も可能です。
以下、解体工事における労災事故で会社に損害賠償請求できる場合についてご紹介します。
1 解体工事における高所からの転落事故と安全配慮義務違反
解体工事は高所で行うことが多く、転落事故は解体工事においてよく見られる事故です。
使用者としては、危険個所への立ち入り制限、手すりの設置等の安全配慮をする必要があります。
東京地裁令和4年4月25日判決は、ビルの開口部からの転落事故について、使用者が危険個所への立ち入り禁止措置を講ずる、転落防止用の手すりや囲い等を設置するなどの安全配慮義務を尽くしていなかったとして、損害賠償を命じました。
広島地裁呉支部平成30年9月28日判決は、被害者に労働を指示していた会社において安全帯着用を指導・監督等しなかったとして安全配慮義務違反、損害賠償責任を認めています。
東京地裁平成28年5月31日判決は、スレート屋根からの転落事故について、使用者において、労働者に、安全帯を親綱に通すようにさせていなかったとして、安全配慮義務違反、損害賠償責任を認めています。
このように、高所での作業については、手すりや接近制限などの措置、安全帯の着用・親綱に通すことの指示等が安全配慮義務の内容として求められます。
2 解体工事現場における重機による労災事故と損害賠償義務
解体工事現場では重機を使うことが多いですが、重機による労災事故も多発しています。
東京地裁令和4年2月24日判決は、重機のアタッチメントとコンテナの間で手を挟まれたという事故について、重機のオペレーターには、周囲にいる人に危険が及ぶことのないよう注意して作業をする義務があるのに、これを怠り、重機周辺に労働者がいるのに注意を払わなかったとして、重機オペレーターの所属する会社に損害賠償を命じています。
東京地裁平成27年1月29日判決は、解体作業車での作業中に近くにいた労働者がケガをした労災事故について、使用者において、解体作業車の近くでの作業についての安全講習、作業計画策定、作業にどのような危険が内在しているかの確認もなされていなかったとして、安全配慮義務違反、損害賠償責任を認めました。
このように、重機を操作する場合には、近くに人がいるのであれば周囲に危険が及ばないよう注意して操作する義務があります。会社としては、近辺で作業する労働者との関係では、安全講習など行う安全配慮義務が認められます。
3 壁等の倒壊による労災事故と損害賠償義務
解体作業中に壁等が倒壊し、よって労働者が負傷等することもありえます。
労災事故についての裁判例ではありませんし、刑事事件の判決ですが、岐阜地裁平成25年7月10日判決は、解体中の建物の壁が崩壊した事故について、解体会社役職員が、「壁の側壁を残したまま
解体作業を行うか,あるいは同壁に倒壊防止用のワイヤーロープを張るなどして
解体作業を行」う義務を負っていたのに、これを怠ったとしました。
使用者は、解体作業中に壁等が倒壊しないような措置をとる義務を負い、これを怠った結果、労働者が負傷等した場合には、安全配慮義務違反があり、損害賠償義務を負うと考えられます。
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