執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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政府がダブルワークを推進している中、ダブルワークでの過重労働で過労死、過労自殺、その他の労災で死傷病の結果が生ずるケースもあります。
ダブルワークで労災が発生した場合に、どのように対応すべきか、以下、説明します。
1 ダブルワークと労災認定
従来、ダブルワークの場合、A社とB社における負荷をそれぞれ別個に検討し、労災に該当するかどうか検討されていました。
しかし、2020年9月施行の労災保険法により、ダブルワーク労働者である複数事業労働者について、
ⅰ 各職場での負荷をあわせて負荷を評価し、労災該当性を判断する、
ⅱ それぞれの職場での賃金も合算して労災保険の支給額を計算する
という扱いとなりました。
2 ダブルワークと損害賠償
ダブルワークと労災認定については、労災保険法の改正によって扱いが明確となりました。
しかし、損害賠償請求については困難な問題が残っています。
損害賠償が認められるためには、損害発生の予見可能性が必要です。
単独の職場でだけで働いている労働者について、使用者は容易に労働者の労働時間を認識することができます。
そして、使用者が労働者の長時間労働を認識しえた場合、裁判所は過重労働により生じた労災について予見可能性を容易に認める傾向にあります。
ところが、複数の職場で働いている場合、使用者は他の職場での労働時間を認識しにくく、結果として過重労働による労災について予見可能性を認めにくいという問題があります。
大阪高裁令和4年10月14日判決は、労働者が同じ店舗内で、別の使用者に雇用されてそれぞれ別の時間帯に労働していたという事案について、使用者の安全配慮義務違反を認めました。
同判決は、1つの使用者において、別の使用者に問合せをするなどして、労働者との労働契約に基づく労働者の労働日数及び労働時間について把握できる状況にあったとし、それにも関わらず労働時間削減の措置をとらなかったとして安全配慮義務違反を認めました。
同判決自体は、労働者の労働時間についての情報を他社から容易に入手できる状況にあったということで予見可能性を認めていると思われますが、そのような判断が一般化するかは予断を許しません。
ダブルワークによる過重労働による労災で損害賠償請求をするに当たっては、損害賠償請求をする相手方において労働者の他社での労働時間について認識しえたことを、労働者から相手方への届け出内容等から丁寧に立証していく必要があります。
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