独占禁止法の不当な取引制限の禁止について解説しました 移籍制限等について

さいとうゆたか弁護士

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 独占禁止法の不当な取引制限の禁止について

独占禁止法第三条は、「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」としています。参照:独占禁止法

この中には、不当な取引制限も含まれます。

独占禁止法2条6項は、「この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」としています。

違反があった場合、課徴金が課されうる可能性がありますし、刑罰の対象となることもあります。

2 不当な取引制限の禁止とカルテル(ハードカルテル)

カルテルは不当な取引制限の禁止対象の典型例です(ハードカルテル)。

入札談合等の価格協定、市場分割協定等がカルテルの例となります。

独占禁止法で禁止されるカルテルに該当するには、

ⅰ 他の事業者と共同して、

ⅱ 相互のその事業活動を拘束し、または遂行する

との要件を満たす必要があります。

条文上は、「競争を実質的に制限する」ことも要件とされています(弊害要件)。

しかし、カルテルに該当する場合、弊害要件を満たすことが多いと考えられています。

3 非ハードカルテルと不当な取引の制限

企業間の業務提携が非ハードカルテルと呼ばれ、不当な取引制限の対象とされうると考えられます。

しかし、実際に検挙される事例は少ないと言われています。

非ハードカルテルの例としては、競業業者間の部品共同購入、物流共同化、情報交換等です。

これらが非競争性をもたらすかどうか等を考慮して、不当な取引制限に該当するかどうか判断されます。

4 移籍制限と不当な取引の制限、独占禁止法違反

スポーツ界や芸能界における移籍制限ルールが不当な取引の制限として独占禁止法違反とされる場合もありえます。

競合するチームや芸能プロダクションによって移籍制限が取り決められた場合、それが不当な取引の制限となる可能性があります。

しかし、移籍制限の結果、育成インセンティブ、戦力均衡等のメリットが生じるような場合には、移籍制限が目的達成手段として移籍制限が相当かどうかを検討し、移籍制限が不当な取引制限かどうか個別具体的に判断されることとされます。

しかし、無期限の移籍制限については不当な取引制限とされる可能性が高いと考えられています。

参照:公正取引委員会による移籍制限と独占禁止法についての見解

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