商標制度 商品名・サービス名の無断使用についての対応方法

さいとうゆたか弁護士

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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商標とは商品やサービスを識別する名前等です。

自分の商標を勝手に使われると、お客さんを奪われることもありえますし、商標の適切な保護が必要です。

日本では商標法が商標の保護について定めています。

以下、解説します。

第1 登録商標制度

商標が登録されると、他の人が登録された商標と類似した商標を使用するのを差し止め等することができるようになります。

商標の登録は特許庁に申請することになります。

商標法3条1項各号、4条1項に規定する事由がある場合には登録を受けることができません。

代表的な例について説明します。

1 需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

商標法3条1項は、普通名称、産地・原産地・品質等、ありふれた氏・名称等、需要者が何人の業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標については商標登録できないとしています。

しかし、3条2項で、「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」については商標登録できるとしています。

例えば、「かつおぶし」という普通名称を商標登録することはできません。

そのような普通名詞の商標は、特定の事業者とのみ結びつくものではなく、特定の事業者にだけ使用させることは他の事業者の事業を不当に妨害することになります。

2 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標

商標法4条1項7号は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標は登録できないとしています。

3 他人の氏名を含む商標

商標法4条1項8号は、「他人の肖像若しくは他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)又は他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの」は商標登録できないとしています。

4 他人の業務による商品と混同を来し得るもの 

商標法4条1項10号は「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」、15号は「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」、19号は「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的をもつて使用をするもの」は商標登録できないとしています。

5 先登録商標

商標法4条1項11号は、「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」、つまり先登録商標については商標登録できないとしています。

登録がされているかどうかは特許庁のサイトで調査できます。参照:商標登録がされているかどうか調べるサイト

6 品質を誤認させる商標

商標法4条1項16号は、「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」は登録できないとしています。

紅茶の名前である「Earl Gray」がウーロン茶に持ち入れられる場合が例となります。

第2 登録商標と類似していても使用が禁止されない場合

登録商標と類似している場合であっても、以下の場合等には商標の使用が禁止されません。

1 周知表示の先使用

商標法72条は、登録商標より先に使用されている、登録商標と類似する商標について、

ⅰ 不正競争の目的でないこと

ⅱ 現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている

等の要件を満たしていれば、使用が許されるとしています。

この「広く認識されている」との要件については、シェアなどの要素により判断されます(大阪地裁令和5年11月30日判決等)。

2 普通名詞、機能確保のために不可欠な立体的形状等

商標法26条1項は、登録商標と類似している場合でも、普通名詞、機能確保のために不可欠な立体的形状等については登録商標権の効力が及ばないとしています。

3 自己の氏名等

商標法26条1項1号は、登録商標と類似している自己の氏名などを使用しても登録商標権の効力は及ばないとしています。

第4 ゲーム機(Nintendo Switch、Wii等)、携帯電話端末等の改造と商標権侵害

Nintendo Switch(ニンデンドースイッチ)の不正改造・販売が商標法違反で検挙されたことが報道されましたが、これまでゲーム機や携帯電話端末等が改造され、商標権侵害とされるケースが多く発生してきました。

名古屋高裁平成25年1月29日判決は、Wiiの改変が商標法違反に問われた事件の判決です。

同判決は、「改変の程度が,実質的に出所表示機能及び品質保証機能を損なう程度に至っている」場合には商標法違反とされるとしました。

その上で、「Wiiは,ハードウエアそのものに何ら変更は加えられていないが,被告人が行ったハックによりファームウエアが書き換えられたため,真正品が本来備えていたゲーム機としての機能が大幅に変更されている」等として、当該事案で商標法違反を認めました。

ハードかソフトかを問わず、機械等を改造し、それがオリジナルの商品の信用を損なうようなものであれば、商標権侵害が成立しうるということになります。

第5 商標のお悩みは弁護士齋藤裕にご相談ください

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