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著作権法2条1項は、著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸・学術・美術又は音楽の範囲に属するものとしています。
そして、著作権法2条2項は、美術の著作物には美術工芸品が含まれます。 そこで、美術的要素のある工業製品、応用美術に著作物性が認められるか、認められるとしてその範囲が問題となります。
1 知財高裁平成27年4月14日判決の示した基準
この点、応用美術の著作物性については、知財高裁平成27年4月14日判決において、「個別具体的に,作成者の個性が発揮されているか否かを検討すべき」との基準を示しています。参照:応用美術の著作物性についての知財高裁判決同判決によると、一応、応用美術についても、通常の著作物と同じ著作物性の基準が適用されることになります。
東京地裁令和6年9月25日判決は、「実用品の形状等の創作的表現について著作物性が認められるのは、それが実用的な機能を離れて独立の美的鑑賞の対象となるような部分を含む場合又は当該 実用品が専ら美的鑑賞目的のために制作されたものと認められるような場合に限られると解するのが相当である。」としていますが、上記知財高裁判決と同趣旨を述べているものと考えられています。
2 応用美術の著作物性についての具体的当てはめ
上記東京地裁令和6年9月25日判決は、子ども用椅子の著作物性に関し、「本件顕著な特徴を備えた原告製品は、椅子の創作的表現として美感を起こさせるものではあっても、椅子としての実用的な機能を離れて独立の美的鑑賞の対象とすることができるような部分を有するということはできない。」としているところです。参照:子ども用椅子の著作物性を否定した裁判例製品が特徴的な表現を備えていても、それが機能を発揮するための部分ではない場合には、それは独立の美的鑑賞の対象となるようなものではなく、機能的な表現に過ぎず、個性が発揮されているとも言えないということです。
保存容器の著作物性が争われた大阪地裁令和6年7月2日判決では、「先端側から順に略球形、円盤型、円錐型からなる3段から構成され、各段の境目はくびれの構成となっているところ、このような構成は持ち運びや内容物の収納、ストレートガラスカップに対する蓋の着脱を容易するために必要な構成であるから、実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して、美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えているとはいえない。」として著作物性を否定しています。参照:保存容器について著作物性を否定した裁判例
持ち運びのためのくびれ部分は独立の美的鑑賞の対象となるものではなく、著作物性が否定されます。
布団の絵柄についての大阪高裁令和5年4月27日判決は、「本件絵柄は、その上辺と下辺、左辺と右辺が、これを並べた場合に模様が連続するように構成要素が配置され描かれており、これは、本件絵柄を基本単位として、上下左右に繰り返し展開して衣料製品(工業製品)に用いる大きな絵柄模様とするための工夫であると認められる」等として、絵柄が布団という製品にするための制約を受けているとして、著作物性を認めませんでした。参照:布団の絵柄の著作物性を否定した裁判例
以上のとおり、現実には、応用美術については、製品の機能に制約されているとみられ、著作物性が極めて認められにくくなっています。
3 新潟で著作権をめぐるお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください
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