工業製品、応用美術についてどのような場合に著作物性、著作権が認められるか?

さいとうゆたか弁護士
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
新潟県弁護士会の弁護士齋藤裕にご相談ください
新潟で著作権のお悩みはご相談ください。 まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。 著作権法2条1項は、著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸・学術・美術又は音楽の範囲に属するものとしています。 そして、著作権法2条2項は、美術の著作物には美術工芸品が含まれます。 そこで、美術的要素のある工業製品、応用美術に著作物性が認められるか、認められるとしてその範囲が問題となります。

1 知財高裁平成27年4月14日判決の示した基準

最高裁令和8年4月24日判決は、量産実用品について著作物性が認められるかどうかについて、以下のとおり判断基準を示しています。参照:工業製品の著作物性についての判例 「量産実用品の全体又は部分における形状等が、観念上、機能に由来する構成とは別個に、思想又は感情の創作的な表現として把握することができるものである場合には、当該量産実用品の全体又は部分は、著作権法2条1項1号にいう著作物のうち、美術の範囲に属するものに当たるというべきである。」

2 応用美術の著作物性についての具体的当てはめ

上記最高裁判決は、子ども用椅子の著作物性に関し、以下のとおり当てはめをしています。 「本件椅子は、量産実用品であって、上告人らは、大要、約66度の略L字型を成して床面から立ち上がっている2本の脚を有し、当該2本の脚の間に座面板及び足置板が床面と平行に固定されるようになっている点において創作性が認められるから、本件椅子が著作物に当たると主張する。しかしながら、上記の点は、子供用の椅子としての機能に由来する構成である脚、座面板及び足置板の配置による形状が美感を起こさせるものであることを基礎付ける事情にすぎない。そして、本件椅子の全体又は部分における形状等は、子供用の椅子としての機能に由来する構成としてしかこれを把握することができず、当該構成とは別個に、思想又は感情の創作的な表現として把握することができるものではない。よって、本件椅子は、著作物に当たるとはいえない。」 このように、最高裁は、デザインの特徴について、いずれもイスとしての機能に由来するとしてとらえ、著作物性を認めませんでした。 保存容器の著作物性が争われた大阪地裁令和6年7月2日判決では、「先端側から順に略球形、円盤型、円錐型からなる3段から構成され、各段の境目はくびれの構成となっているところ、このような構成は持ち運びや内容物の収納、ストレートガラスカップに対する蓋の着脱を容易するために必要な構成であるから、実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して、美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えているとはいえない。」として著作物性を否定しています。参照:保存容器について著作物性を否定した裁判例 持ち運びのためのくびれ部分は独立の美的鑑賞の対象となるものではなく、著作物性が否定されます。 布団の絵柄についての大阪高裁令和5年4月27日判決は、「本件絵柄は、その上辺と下辺、左辺と右辺が、これを並べた場合に模様が連続するように構成要素が配置され描かれており、これは、本件絵柄を基本単位として、上下左右に繰り返し展開して衣料製品(工業製品)に用いる大きな絵柄模様とするための工夫であると認められる」等として、絵柄が布団という製品にするための制約を受けているとして、著作物性を認めませんでした。参照:布団の絵柄の著作物性を否定した裁判例 以上のとおり、現実には、応用美術については、製品の機能に制約されているとみられ、著作物性が極めて認められにくくなっています。

3 新潟で著作権をめぐるお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください

まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。 弁護士費用はこちらの記事 もご参照ください。 さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です