肺動脈血栓塞栓症、肺血栓塞栓症、肺高血圧症と医療過誤 

さいとうゆたか弁護士
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
新潟県の弁護士齋藤裕に医療過誤はお任せ下さい。
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肺動脈血栓塞栓症(肺の血管に血の塊がつまる病気)は、時には心停止に至ることがある重大な病気です。
肺動脈血栓塞栓症は肺高血圧症の原因となることもあります。
肺高血圧症は、「肺動脈の流れが悪くなることで、心臓と肺に機能障害が起こる病気」です(国立研究開発法人国立循環器病研究センターサイトの「肺高血圧症」の項目。参照:肺高血圧症についての記事。)
肺高血圧症も死亡の結果を招くことがあります。
よって、医療現場において、肺動脈血栓塞栓症、肺高血圧症について適時適切な治療が必要であり、必要な治療がなされなかった場合には医療過誤として損害賠償の対象となることがあります。
以下、事例をみていきます。

1 肺血栓塞栓症か肺動脈高血圧症の妊婦について適切な検査等をしなかった医療過誤の事例

千葉地裁令和2年3月27日判決は、肺血栓塞栓症か肺動脈高血圧症であった妊婦が死亡した事例において医療過誤として医療機関側に損害賠償責任を認めました。
同判決は、妊婦は、肺血栓塞栓症か肺動脈高血圧症であったとしました。
その上で、医師において、会話もできないほどの息苦しさなどの症状から肺血栓塞栓症及び心不全を疑っていたところ、「急性肺血栓塞栓症が死亡率の高い致死性の疾患であり,これを疑った場合は,できるだけ早急に診断するように心掛け,過剰診断を恐れることなく検査を進める必要があるとされていることから、医師において、肺血栓塞栓症の確定診断のために更なる検査,具体的には,造影CT,肺シンチグラフィ及び肺動脈造影を実施すべきであったといえるし,心不全が疑われた場合の基本的な検査であるNT-proBNTを測定すべきであった」のに、これをしなかったとして、注意義務違反を認めました。
肺血栓塞栓症が重大な帰結を招くことから、過剰診療を恐れず、検査を行うべきとした点は極めて重要です。

2 肺塞栓症についてヘパリン投与をしなかった医療過誤の事例

東京地裁平成16年5月27日判決は、呼吸困難のために救急搬送された患者が死亡した事例についての判決です。
同判決は、
ⅰ 心カテーテル検査の結果,狭心症や心筋梗塞のような冠動脈疾患が否定された以上,急性肺塞栓症を疑って早急に心エコー検査を実施すべき義務
ⅱ 心エコー検査の結果が出たら直ちにこれを確認し,本件心エコー検査のビデオ画像も確認して,肺高血圧症の所見を得る義務
ⅲ さらに,肺血流シンチ等,肺塞栓症の確定診断のための検査を実施する義務
ⅳ 肺塞栓症と確定診断がされたら,ヘパリンを投与して再発を防ぐべき義務
があったのに、これを怠ったとして、損害賠償義務を認めました。
このように、肺塞栓症が疑われる場合、それが合理的に否定されるまで適切な検査を行うべきことになります。

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