高齢者による相次ぐ重大交通事故 どうやって再発を防止するか?

交通事故
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長) まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。

1 運転者自身が損害賠償責任を負うのは当然ですが・・・

浜松小学生4人死傷事故など、高齢者が引き起こす悲惨な交通事故が絶えません。
当然、重大な交通事故を起こした場合、加害者は損害賠償責任を負うことになります。
また、結果の重大性、過失の程度等次第では、刑事罰もありえます。
しかし、それらの法的責任が課されたからと言って、被害者の生命は戻ってきません。
高齢ドライバーも、事故を起こした場合の刑事罰は意識しても、運転をしなければ生活が困難であれば、どうしても運転をしてしまうでしょう。
そうであれば、個人責任を問う以外の再発を防ぐ方策が極めて重要です。

2 高齢者の免許更新の厳格化を求めるために

道路交通法は、以下のとおり、75歳以上の者の運転免許の更新について特例を設けています。参照:道路交通法
(七十歳以上の者の特例) 第百一条の四 2 前項に定めるもののほか、免許証等の更新を受けようとする者で更新期間が満了する日における年齢が七十五歳以上のものは、更新期間が満了する日前六月以内に第百二条第一項から第四項までの規定により診断書を提出した場合その他認知機能検査等を受ける必要がないものとして内閣府令で定める場合を除き、当該期間内にその者の住所地を管轄する公安委員会又は第百八条の三十二の三第一項の認定を受けて同項の運転免許取得者等検査を行う者が行つた認知機能検査等を受けていなければならない。 3 前二項に定めるもののほか、免許証等の更新を受けようとする者で更新期間が満了する日における年齢が七十五歳以上のもの・・・は、更新期間が満了する日前六月以内にその者の住所地を管轄する公安委員会又は第百八条の三十二の三第一項の認定を受けて同項の運転免許取得者等検査を行う者が行つた運転技能検査等を受けていなければならない。
具体的には、一定の違反歴がある75歳以上の高齢者は、運転技能検査を受ける必要があります。
しかし、その検査に合格する基準は極めて甘く、危険な運転をする高齢者も免許更新ができることになってしまいます。
例えば、警察庁の運転技能検査等実施要領では、一時停止の検査について、「車体の一部が、停止線を越えるまでに停止せず、かつ、車体の一部が交差道路の側線を延長した線を越えるまでに停止しなかった場合は、検査においては20点の減点とし、実車指導においては一時不停止(大)と評価すること。」としています。参照:運転技能検査等実施要領
第一種免許の場合、70点で合格ですから、この運転技能検査等実施要領では、一時停止に従わず、車両を交差点に進入させるような危険な運転をする人であっても免許更新をなしうるということになります。
このように、運転技能検査は極めて基準が緩く、危険な運転をする高齢者に免許を与えることになります。
甘い運転技能検査の結果免許更新をされた高齢運転手が重大な交通事故を起こした場合、上記のような運転技能検査等実施要領を定めた警察庁の法的責任、国家賠償責任が認められる可能性もあると考えます。
高齢ドライバーによる危険な運転を防止するためには、高齢ドライバーによる交通事故があった場合に、加害者個人のみならず、警察庁(国)の損害賠償責任を問題にすることが重要だと思います。
それが運転技能検査等実施要領の改善につながり、高齢ドライバーによる悲惨な事故を防止していくことにもつながります。

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