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転落事故は労災の中でも頻繁に発生するものです。
作業現場によって対策は違うものの、高所作業においては防網を設置し、親綱の使用を指導すべきとされることが多く、使用者がその設置をしなかった場合には損害賠償責任が生ずるのが原則です。
目次
防網・親綱を設置する義務があるとした裁判例
ヘルメットの着用が義務付けられるとした裁判例
安衛則と転落事故
防網・親綱を設置する義務があるとした裁判例
例えば、東京地裁平成29年10月13日判決は、以下のとおり述べて、使用者が親綱や防網を設置しなかったことが安全配慮義務違反に該当するとしています。「被告においては,ネットの取付作業をしているときは,安全帯のフックを金網や横ワイヤーに掛けるのみで親綱を使用せずに作業をすることが常態化し,親綱を常に使用しなければならないとの指導・教育はされていなかったものと認められ,Cにおいても,本件作業のうちネットの取付作業においては,親綱を常に使用しなければならないものとの認識がなかったものといえる。」 「その結果,Cは,法面上での作業に際しては常に親綱をロリップに装着させるべきところ,そのようにしなかったために転落したものであるところ,親綱を使用していれば本件事故は起きなかったものと認められるから,ネットの取付作業をしているときには,安全帯のフックを金網や横ワイヤーに掛けるのみで親綱を使用せずに作業をすることを常態化させていた被告の責任は重いというべきである。」
「防網は,高所の作業において労働者が転落するという事故が発生することを前提とする安全対策であって,本件現場においても,防網が設置されていたのであれば,Cが負傷する本件事故は生じなかったものといえる。したがって,本件現場において,安全な労務環境を提供する義務を負っていた被告,B及びAは,防網を設置しなかったことについて注意義務違反があるというべきである。」
ヘルメットの着用が義務付けられるとした裁判例
また、東京地裁令和4年12月9日判決は、棚の天板上に乗って天板の溶断をしていた労働者が、棚の倒壊に伴い転落した事故について、「一定程度墜落の危険性がある本件解体工事に従事させる以上、被告には少なくともヘルメットを着用させる、安全教育等の措置を採るなどの義務」があるとしました。
このように、高所で作業する場合には親綱の使用を指導したり、防網を設置することが必要なのが原則です。それが困難でも、ヘルメットなどの着用や安全教育は最低限必要です。それらを怠った場合、使用者には安全配慮義務違反があるとして損害賠償責任が生ずることが多いのです。
安衛則と転落事故
なお、安衛則は、以下のとおり、転落事故を防止するための基準を設けており、それに違反した場合には安全配慮義務違反となる可能性があります。518条 作業床の設置義務。それができない場合の防網設置、要求性能墜落制止用器具を使用させる義務
519条 開口部等に囲い、手すり、多い等を設置する義務。それができないときに防網設置、要求性能墜落制止用器具を使用させる義務
522条 強風、大雨、大雪等の悪天候時に作業をさせない義務
523条 必要な照度を確保する義務
524条 踏み抜き防止のために歩み板や防網を設置する義務
526条 安全に昇降するための設備を設置する義務
527条 適切な移動ハシゴを使う義務
528条 適切な脚立を使う義務
529条 作業指揮者を定め、労働者に作業手順等を周知すべき義務
530条 関係労働者以外を立ち入らせない義務
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