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1 独占禁止法と抱き合わせ販売
人気のある商品を売る場合に、人気のない商品もセットでないと売らないとすると、抱き合わせ販売として独占禁止法に違反する可能性があります。独占禁止法第十九条は、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」と規定しています。参照:独占禁止法
この不公正な取引方法の内容について、公正取引委員会告示「不公正な取引方法」が具体化していますが、その10項が以下のとおり定めています。
「(抱き合わせ販売等)
10 相手方に対し、不当に、商品又は役務の供給に併せて他の商品又は役務を自己又は自己の指定する事業者から購入させ、その他自己又は自己の指定する事業者と取引するように強制すること。」参照:不公正な取引方法これが抱き合わせ販売であり、独占禁止法違反として禁止されることになります。
この抱き合わせ販売については排除措置命令、差し止め請求の対象とされることがありえます。
2 抱き合わせ販売が不公正な取引方法とされる判断基準
抱き合わせ販売は、「抱き合わせにより,従たる商品の市場において他に代わり得る取引先を容易に見いだすことができない競争者の事業活動を困難にさせる場合には,当該行為は排除行為となる。」とされます。その際には、主たる商品及び従たる商品に係る市場全体の状況、主たる商品の市場における行為者の地位、従たる商品の市場における行為者及び競争者の地位、行為の期間及び相手方の数・取引数量、行為の態様が考慮されます。
3 抱き合わせ販売の正当化理由
抱き合わせ販売については、様々な理由でそれが正当だという主張がされることがあります。例えば、安全確保のために抱き合わせが必要だと主張されるような場合です。
しかし、大阪高裁平成5年7月30日判決は、エレベーターメーカ―系列の保守業者が、エレベーターの部品について、取替工事とセットでなければ販売しないとしたことについて、独立系保守業者には当該部品を使った修理に必要な能力があったとして、抱き合わせ販売が正当化されるとは言えないとしました。
大阪高裁判決は、安全性確保は抱き合わせが「不当」なものかどうか判断する上で考慮されるとしています。
しかし、その必要性は、具体的な取引状況に即して厳格に判断されることになります。
3 抱き合わせ販売によるトヨタモビリティ東京株式会社に対する警告
公正取引委員会は、令和7年4月10日、トヨタモビリティ東京株式会社が抱き合わせ販売をしたとして警告を行いました。参照:トヨタモビリティ東京株式会社に対する警告そこでは、以下のような疑いが前提とされています。
トヨタモビリティ東京は、遅くとも令和5年6月頃から令和6年11月頃までの間、トヨタ自動車製の自動車である「アルファード」、「ヴェルファイア」又は「ランドクルーザー」と称する自動車(以下、これらの自動車それぞれを「特定トヨタ車」という。)の新車の購入を希望する者(以下「購入希望者」という。)に対し、不当に、特定トヨタ車の販売に併せて
(ア) トヨタモビリティ東京が販売するボディコーティングの購入
(イ) トヨタモビリティ東京が販売するメンテナンスパックの購入
(ウ) トヨタモビリティ東京が指定するトヨタファイナンス株式会社とのクレジット契約の締結
(エ) トヨタモビリティ東京による購入希望者からの自動車の下取り
をさせていた疑いがある。
メンテナンス、クレジット契約、下取りなどはディーラーから強く求められることの多いサービスです。
今回は、対象自動車のシェア、抱き合わせの期間、対象となった顧客の人数、抱き合わせの強制の度合いなどを考慮し、警告がなされたものと考えられます。
4 抱き合わせ販売、独占禁止法をめぐるお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください
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