高速バス、長距離バス、ツアーバスによる交通事故と乗客による損害賠償請求

交通事故
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
新潟県弁護士会の弁護士齋藤裕にご相談ください
高速バス、長距離バス、ツアーバスの事故のお悩みはご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
高速バス、長距離バスについては、多くの乗客が乗ることが多く、被害も甚大になりがちです。
以下、どのような場合に、高速バス、長距離バスの事故で乗客が被害者となった場合に損害賠償義務が生ずるのか、みていきます。

高速バス、長距離バス、ツアーバス運行会社の損害賠償責任

高速バス、長距離バスの運転手の運転に過失があった場合、当然運転手は損害賠償責任を負います。
また、民法715条1項が「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」としているため、バスの運行会社も損害賠償責任を負います。
運転手が居眠り運転をしたことで発生したスキーバスツアー事故についてバス会社の損害賠償責任を認めたものとして、後述の大阪地裁平成21年4月20日判決があります。

旅行会社の損害賠償責任

バスの運行を委託した旅行会社の損害賠償責任が認められることもありえます。
大阪地裁平成21年4月20日判決は、運転手の居眠りによるスキーツアーバスの事故について、バスの運行を委託した旅行会社からバス会社への損害賠償に関する事案です。
同判決は、
ⅰ 旅行会社がバス会社に臨時便の運行を求め、バス会社においてこれを断り切れずに運転手の配置換 えをし、その結果旅行会社のための定期便(事故を起こしたバス便)の運転手の交代要員がなくなっ たこと,
ⅱ そのような事情は旅行会社も知っていたこと
を踏まえ、旅行会社にも、運転手が居眠り運転をして本件事故を起こしたことについて相当程度の責任があるとしています。
トルコで発生したバス事故について、旅行業者の損害賠償責任が問われた事案について、東京地裁平成25年4月22日判決は、旅行会社は,「企画旅行契約上の付随義務として,本件旅行に参加する者が運送等のサービスの提供を受けることができるように手配し,行程を管理する債務を履行するに当たり,旅行者の安全を確保すべき義務をも負うものと解するのが相当である。すなわち,被告は,① 旅行の行程を設定するに当たり,旅行者の安全を確保することができるような旅行行程を設定し,② 旅行者が運送・宿泊サービスの提供を受けることができるように手配するに当たり,旅行者の安全を害するようなおそれのない者を選定し,③ 添乗員を同行させて行程を管理する義務を負う場合には,添乗員が安全に計画どおり旅行を実施できるように旅行行程を管理するに当たり,旅行者の安全を害するようなおそれが明らかであるときには,これに対処するための適切な措置を採るべき義務を負うものというべきである。」としています。
これらの義務に違反した場合、旅行会社も損害賠償義務を負うことになります(東京地裁の事例では損害賠償責任は認められませんでした)。
このように、旅行会社が損害賠償義務を負うこともありえますが、特に外国で事故が発生し、バス運行会社に対する損害賠償請求が困難な場合には、旅行会社に損害賠償請求をするメリットは大きいということになります。

高速バス、長距離バス、ツアーバスの事故をめぐるお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください

必要に応じて現地まで出張いたします。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
弁護士費用はこちらの記事
もご参照ください。
さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です