食道がんの見落としなど、食道がんの医療過誤と損害賠償請求

さいとうゆたか弁護士
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
新潟県の弁護士齋藤裕に医療過誤はお任せ下さい。
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食道がんは、食道にできるがんで、半数近くは食道の中央にできるとされます。参照:食道がんについて
食道がんは上部消化管内視鏡検査などで発見しますが、見落としをして、手遅れになる場合もあります。
以下、どのような場合に食道がんの見落としが損害賠償の対象となるのか、みていきます。

1 食道がんの見落としと損害賠償

食道癌の見落としを注意義務違反とした裁判例

食道がんについて、上部消化管内視鏡検査を適時に行わなかった場合、行ってもがんを見落とした場合、損害賠償の問題となることがありえます。
東京地裁昭和58年2月17日判決は、
ⅰ 患者が嗄声、嚥下障害、頚部腫瘍の症状を訴えていたこと
ⅱ 胸部のレントゲンフイルムに縦隔部に陰影があったこと
ⅲ 触診の結果、右頸部の鎖骨上窩に小鶏卵大の腫瘍を覚知したこと
などを踏まえ、医療機関としては内視鏡検査等の検査などをすべきであったのに、これを怠ったとして、注意義務違反を認定しているところです。

食道癌の見通しがあった場合の逸失利益について判断した裁判例

静岡地裁令和6年1月25日判決の事例は、食道がんの見通しが注意義務違反とされることについて争いはないものの、余命、ひいては逸失利益をめぐり争われたものです。
病院側は、見落としがなくとも、予後の悪い食道がんについては長期の稼働は困難であった等として、1年のみの逸失利益を認定すべきとしました。
判決は、見落とし時のがんがStageⅡ(cT1bN1M0)であったことを前提に、死亡時から「2年程度生存していた蓋然性を認めることは可能であるものの、これを超えて生存していた蓋然性を認めることは困難」として2年の逸失利益のみを認めました。
このように、がんの見落としの場合、平均余命などを前提とした逸失利益は認められないことが多く、病期に相応した平均余命に即した逸失利益が認定されることがあります。

2 食道癌手術後のウェルニッケ脳症と損害賠償

食道癌の手術後、絶食となり、輸液栄養管理がなされることがあります。
そのような場合に適切にビタミンB1を投与しなければウェルニッケ脳症となる可能性があります。
よって、医療機関側は、適切にビタミンB1を投与する義務があります。
ビタミンB1不投与によるウェルニッケ脳症り患について損害賠償を認めたものとして名古屋地裁平成28年7月15日判決があります。

3 食道癌患者に対する標準的治療方法とは異なる治療を行う場合と説明義務

他の疾患に対する場合も同様ですが、食道癌患者に標準的治療方法とは異なる治療を行う場合には、医師において、そのメリットデメリットについて具体的に説明する義務があります。
その義務に違反した場合、説明義務違反として損害賠償責任が発生することがありえます。
東京地裁平成24年7月26日判決は、「標準的な治療方法が可能な患者に対する新免疫療法単独の治療実績はなく,その効果についての十分なデータはないこと,及びb)特に,食道癌については,新免疫療法単独で根治は考えられないことを説明すべきであったというべきである。」として、標準的治療方法とは異なる治療方法の限界について適切に説明すべきであったのに、それを怠ったとして、損害賠償義務を認めています。

4 食道癌患者の誤嚥についての損害賠償

食道癌については、食道の狭窄を招くことがあり、それが誤嚥の原因となることがありえます。
よって食道癌患者が入院している医療機関としては、誤嚥を防止するための措置をとるべきということになります。
新潟地裁平成20年5月29日判決は、「このような状態の本件患者に食事を提供するに当たっては,本件患者の食事中の観察を怠らず,誤嚥の徴候が観察された場合には直ちに食事の摂取を中止させ,誤嚥が生じた場合には即座に吸引等の処置をし,もって,誤嚥及びこれによる気道閉塞の発生を防止する注意義務があったというべきである。」として、食道癌患者が入院する病院では、誤嚥防止のため観察等の義務があるとしました。
そして、その義務違反を認め、損害賠償も認めました。

5 食道癌の手術中の手技上のミスと損害賠償

食道癌の手術において手技上のミスがあり、損害が生じた場合、当該医師などは損害賠償義務を負うことになります。
さいたま地裁平成17年12月14日判決は、食道癌の手術中、体動を抑制するために有形力を行使等して体動を抑止して手術を行う等すべきであったのに、そのような措置をせず、体動によりスネアという器具を食道に突き刺すに至ったという事故について、医療機関側の損害賠償義務を認めています。

6 食道がんの手術と気道確保義務

食道癌の手術に伴い喉頭浮腫となることがありますし、そのために呼吸困難となることもあります。
最高裁平成15年11月14日判決は、医療機関において、食道癌の手術により喉頭浮腫が発生したというケースについて、「抜管後,太郎の吸気困難な状態が高度になったことを示す胸くうドレーンの逆流が生じた上記時点(前同日午前10時55分ころ)において,太郎のこう頭浮しゅの状態が相当程度進行しており,既に呼吸が相当困難な状態にあることを認識することが可能であり,これが更に進行すれば,上気道狭さくから閉そくに至り,呼吸停止,ひいては心停止に至ることも十分予測することができたものとみるべきであるから,A医師には,その時点で,再挿管等の気道確保のための適切な処置を採るべき注意義務があり,これを怠った過失があるというべきである。」として、医療機関側に過失があるとしました。参照:食道癌の医療過誤についての判例
喉頭浮腫について挿管などの気道確保策を取らなかった場合、医療機関に賠償責任が認められることがあるわけです。

7 食道癌手術後の呼吸管理と医療過誤

食道癌手術後の呼吸管理は難しいとされます。
適切な呼吸管理がなされず、死亡などの結果が発生することもあります。
千葉地裁平成14年6月3日判決は、食道癌手術後の呼吸管理について、「肺雑音が観察され,同日午前1時50分,心拍数が一過性に130ないし140となり,心房細動が認められたことを認識したときに,人工呼吸を再開し必要な積極的治療をしなかった経過が,Fのその後の呼吸不全状態を引き起こす原因になったこと,この時点でこれを行っていれば,Fのその後の呼吸不全状態を回避し得た蓋然性が高かったことが認められ」とし、肺雑音などがみられたのにもかかわらず積極的治療をしなかったことを過失とし、損害賠償を認容しました。
食道癌手術後においては、肺雑音や心房細動などの動きに注意し、適切な呼吸管理を行う必要があるのです。

8 医療過誤のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお問合せください


さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。 まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
食道がんは、食道にできるがんで、半数近くは食道の中央にできるとされます。参照:食道がんについて
食道がんは上部消化管内視鏡検査などで発見しますが、見落としをして、手遅れになる場合もあります。
以下、どのような場合に食道がんの見落としが損害賠償の対象となるのか、みていきます。

1 食道がんの見落としと損害賠償

食道癌の見落としを注意義務違反とした裁判例

食道がんについて、上部消化管内視鏡検査を適時に行わなかった場合、行ってもがんを見落とした場合、損害賠償の問題となることがありえます。
東京地裁昭和58年2月17日判決は、
ⅰ 患者が嗄声、嚥下障害、頚部腫瘍の症状を訴えていたこと
ⅱ 胸部のレントゲンフイルムに縦隔部に陰影があったこと
ⅲ 触診の結果、右頸部の鎖骨上窩に小鶏卵大の腫瘍を覚知したこと
などを踏まえ、医療機関としては内視鏡検査等の検査などをすべきであったのに、これを怠ったとして、注意義務違反を認定しているところです。

食道癌の見通しがあった場合の逸失利益について判断した裁判例

静岡地裁令和6年1月25日判決の事例は、食道がんの見通しが注意義務違反とされることについて争いはないものの、余命、ひいては逸失利益をめぐり争われたものです。
病院側は、見落としがなくとも、予後の悪い食道がんについては長期の稼働は困難であった等として、1年のみの逸失利益を認定すべきとしました。
判決は、見落とし時のがんがStageⅡ(cT1bN1M0)であったことを前提に、死亡時から「2年程度生存していた蓋然性を認めることは可能であるものの、これを超えて生存していた蓋然性を認めることは困難」として2年の逸失利益のみを認めました。
このように、がんの見落としの場合、平均余命などを前提とした逸失利益は認められないことが多く、病期に相応した平均余命に即した逸失利益が認定されることがあります。

2 食道癌手術後のウェルニッケ脳症と損害賠償

食道癌の手術後、絶食となり、輸液栄養管理がなされることがあります。
そのような場合に適切にビタミンB1を投与しなければウェルニッケ脳症となる可能性があります。
よって、医療機関側は、適切にビタミンB1を投与する義務があります。
ビタミンB1不投与によるウェルニッケ脳症り患について損害賠償を認めたものとして名古屋地裁平成28年7月15日判決があります。

3 食道癌患者に対する標準的治療方法とは異なる治療を行う場合と説明義務

他の疾患に対する場合も同様ですが、食道癌患者に標準的治療方法とは異なる治療を行う場合には、医師において、そのメリットデメリットについて具体的に説明する義務があります。
その義務に違反した場合、説明義務違反として損害賠償責任が発生することがありえます。
東京地裁平成24年7月26日判決は、「標準的な治療方法が可能な患者に対する新免疫療法単独の治療実績はなく,その効果についての十分なデータはないこと,及びb)特に,食道癌については,新免疫療法単独で根治は考えられないことを説明すべきであったというべきである。」として、標準的治療方法とは異なる治療方法の限界について適切に説明すべきであったのに、それを怠ったとして、損害賠償義務を認めています。

4 食道癌患者の誤嚥についての損害賠償

食道癌については、食道の狭窄を招くことがあり、それが誤嚥の原因となることがありえます。
よって食道癌患者が入院している医療機関としては、誤嚥を防止するための措置をとるべきということになります。
新潟地裁平成20年5月29日判決は、「このような状態の本件患者に食事を提供するに当たっては,本件患者の食事中の観察を怠らず,誤嚥の徴候が観察された場合には直ちに食事の摂取を中止させ,誤嚥が生じた場合には即座に吸引等の処置をし,もって,誤嚥及びこれによる気道閉塞の発生を防止する注意義務があったというべきである。」として、食道癌患者が入院する病院では、誤嚥防止のため観察等の義務があるとしました。
そして、その義務違反を認め、損害賠償も認めました。

5 食道癌の手術中の手技上のミスと損害賠償

食道癌の手術において手技上のミスがあり、損害が生じた場合、当該医師などは損害賠償義務を負うことになります。
さいたま地裁平成17年12月14日判決は、食道癌の手術中、体動を抑制するために有形力を行使等して体動を抑止して手術を行う等すべきであったのに、そのような措置をせず、体動によりスネアという器具を食道に突き刺すに至ったという事故について、医療機関側の損害賠償義務を認めています。

6 食道がんの手術と気道確保義務

食道癌の手術に伴い喉頭浮腫となることがありますし、そのために呼吸困難となることもあります。
最高裁平成15年11月14日判決は、医療機関において、食道癌の手術により喉頭浮腫が発生したというケースについて、「抜管後,太郎の吸気困難な状態が高度になったことを示す胸くうドレーンの逆流が生じた上記時点(前同日午前10時55分ころ)において,太郎のこう頭浮しゅの状態が相当程度進行しており,既に呼吸が相当困難な状態にあることを認識することが可能であり,これが更に進行すれば,上気道狭さくから閉そくに至り,呼吸停止,ひいては心停止に至ることも十分予測することができたものとみるべきであるから,A医師には,その時点で,再挿管等の気道確保のための適切な処置を採るべき注意義務があり,これを怠った過失があるというべきである。」として、医療機関側に過失があるとしました。参照:食道癌の医療過誤についての判例
喉頭浮腫について挿管などの気道確保策を取らなかった場合、医療機関に賠償責任が認められることがあるわけです。

7 食道癌手術後の呼吸管理と医療過誤

食道癌手術後の呼吸管理は難しいとされます。
適切な呼吸管理がなされず、死亡などの結果が発生することもあります。
千葉地裁平成14年6月3日判決は、食道癌手術後の呼吸管理について、「肺雑音が観察され,同日午前1時50分,心拍数が一過性に130ないし140となり,心房細動が認められたことを認識したときに,人工呼吸を再開し必要な積極的治療をしなかった経過が,Fのその後の呼吸不全状態を引き起こす原因になったこと,この時点でこれを行っていれば,Fのその後の呼吸不全状態を回避し得た蓋然性が高かったことが認められ」とし、肺雑音などがみられたのにもかかわらず積極的治療をしなかったことを過失とし、損害賠償を認容しました。
食道癌手術後においては、肺雑音や心房細動などの動きに注意し、適切な呼吸管理を行う必要があるのです。

8 医療過誤のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお問合せください


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食道がんは、食道にできるがんで、半数近くは食道の中央にできるとされます。参照:食道がんについて
食道がんは上部消化管内視鏡検査などで発見しますが、見落としをして、手遅れになる場合もあります。
以下、どのような場合に食道がんの見落としが損害賠償の対象となるのか、みていきます。

1 食道がんの見落としと損害賠償

食道癌の見落としを注意義務違反とした裁判例

食道がんについて、上部消化管内視鏡検査を適時に行わなかった場合、行ってもがんを見落とした場合、損害賠償の問題となることがありえます。
東京地裁昭和58年2月17日判決は、
ⅰ 患者が嗄声、嚥下障害、頚部腫瘍の症状を訴えていたこと
ⅱ 胸部のレントゲンフイルムに縦隔部に陰影があったこと
ⅲ 触診の結果、右頸部の鎖骨上窩に小鶏卵大の腫瘍を覚知したこと
などを踏まえ、医療機関としては内視鏡検査等の検査などをすべきであったのに、これを怠ったとして、注意義務違反を認定しているところです。

食道癌の見通しがあった場合の逸失利益について判断した裁判例

静岡地裁令和6年1月25日判決の事例は、食道がんの見通しが注意義務違反とされることについて争いはないものの、余命、ひいては逸失利益をめぐり争われたものです。
病院側は、見落としがなくとも、予後の悪い食道がんについては長期の稼働は困難であった等として、1年のみの逸失利益を認定すべきとしました。
判決は、見落とし時のがんがStageⅡ(cT1bN1M0)であったことを前提に、死亡時から「2年程度生存していた蓋然性を認めることは可能であるものの、これを超えて生存していた蓋然性を認めることは困難」として2年の逸失利益のみを認めました。
このように、がんの見落としの場合、平均余命などを前提とした逸失利益は認められないことが多く、病期に相応した平均余命に即した逸失利益が認定されることがあります。

2 食道癌手術後のウェルニッケ脳症と損害賠償

食道癌の手術後、絶食となり、輸液栄養管理がなされることがあります。
そのような場合に適切にビタミンB1を投与しなければウェルニッケ脳症となる可能性があります。
よって、医療機関側は、適切にビタミンB1を投与する義務があります。
ビタミンB1不投与によるウェルニッケ脳症り患について損害賠償を認めたものとして名古屋地裁平成28年7月15日判決があります。

3 食道癌患者に対する標準的治療方法とは異なる治療を行う場合と説明義務

他の疾患に対する場合も同様ですが、食道癌患者に標準的治療方法とは異なる治療を行う場合には、医師において、そのメリットデメリットについて具体的に説明する義務があります。
その義務に違反した場合、説明義務違反として損害賠償責任が発生することがありえます。
東京地裁平成24年7月26日判決は、「標準的な治療方法が可能な患者に対する新免疫療法単独の治療実績はなく,その効果についての十分なデータはないこと,及びb)特に,食道癌については,新免疫療法単独で根治は考えられないことを説明すべきであったというべきである。」として、標準的治療方法とは異なる治療方法の限界について適切に説明すべきであったのに、それを怠ったとして、損害賠償義務を認めています。

4 食道癌患者の誤嚥についての損害賠償

食道癌については、食道の狭窄を招くことがあり、それが誤嚥の原因となることがありえます。
よって食道癌患者が入院している医療機関としては、誤嚥を防止するための措置をとるべきということになります。
新潟地裁平成20年5月29日判決は、「このような状態の本件患者に食事を提供するに当たっては,本件患者の食事中の観察を怠らず,誤嚥の徴候が観察された場合には直ちに食事の摂取を中止させ,誤嚥が生じた場合には即座に吸引等の処置をし,もって,誤嚥及びこれによる気道閉塞の発生を防止する注意義務があったというべきである。」として、食道癌患者が入院する病院では、誤嚥防止のため観察等の義務があるとしました。
そして、その義務違反を認め、損害賠償も認めました。

5 食道癌の手術中の手技上のミスと損害賠償

食道癌の手術において手技上のミスがあり、損害が生じた場合、当該医師などは損害賠償義務を負うことになります。
さいたま地裁平成17年12月14日判決は、食道癌の手術中、体動を抑制するために有形力を行使等して体動を抑止して手術を行う等すべきであったのに、そのような措置をせず、体動によりスネアという器具を食道に突き刺すに至ったという事故について、医療機関側の損害賠償義務を認めています。

6 食道がんの手術と気道確保義務

食道癌の手術に伴い喉頭浮腫となることがありますし、そのために呼吸困難となることもあります。
最高裁平成15年11月14日判決は、医療機関において、食道癌の手術により喉頭浮腫が発生したというケースについて、「抜管後,太郎の吸気困難な状態が高度になったことを示す胸くうドレーンの逆流が生じた上記時点(前同日午前10時55分ころ)において,太郎のこう頭浮しゅの状態が相当程度進行しており,既に呼吸が相当困難な状態にあることを認識することが可能であり,これが更に進行すれば,上気道狭さくから閉そくに至り,呼吸停止,ひいては心停止に至ることも十分予測することができたものとみるべきであるから,A医師には,その時点で,再挿管等の気道確保のための適切な処置を採るべき注意義務があり,これを怠った過失があるというべきである。」として、医療機関側に過失があるとしました。参照:食道癌の医療過誤についての判例
喉頭浮腫について挿管などの気道確保策を取らなかった場合、医療機関に賠償責任が認められることがあるわけです。

7 食道癌手術後の呼吸管理と医療過誤

食道癌手術後の呼吸管理は難しいとされます。
適切な呼吸管理がなされず、死亡などの結果が発生することもあります。
千葉地裁平成14年6月3日判決は、食道癌手術後の呼吸管理について、「肺雑音が観察され,同日午前1時50分,心拍数が一過性に130ないし140となり,心房細動が認められたことを認識したときに,人工呼吸を再開し必要な積極的治療をしなかった経過が,Fのその後の呼吸不全状態を引き起こす原因になったこと,この時点でこれを行っていれば,Fのその後の呼吸不全状態を回避し得た蓋然性が高かったことが認められ」とし、肺雑音などがみられたのにもかかわらず積極的治療をしなかったことを過失とし、損害賠償を認容しました。
食道癌手術後においては、肺雑音や心房細動などの動きに注意し、適切な呼吸管理を行う必要があるのです。

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