墓じまい、改葬と法律 新潟県の弁護士齋藤裕にご相談ください

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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近年、少子化などの影響で墓じまいや改葬をすることが多くなりました。
しかし、墓じまいや改葬についてのトラブルも多く発生しています。
以下、墓じまいや改葬についての法律問題を解説します。

1 永代供養契約の解約

墓じまいをする場合、永代供養契約を締結していたのであれば、これを解約することになります。
問題は、永代供養契約を解約した場合、返金がありうるかどうかですが、返金を認めた裁判例もあります。
例えば、大阪地裁令和2年12月10日判決は、永代供養契約には、「納骨壇を使用し、供養を受けることができる地位を付与」する部分があり、その部分については返金請求できないとしました。
「返金があるかどうかはあくまで個別の契約内容次第永代使用料及び永代供養料として支払われた金員のうちには,本件納骨壇を使用し,供養を受けることができる地位を付与され,これによって,宗教的感情を満足させる効果が生じたことに対する対価としての性質を有する部分があるとみるのが相当であり,当該部分については,後に本件契約が解除されても返還義務が生じるものではないと解される。」
その上で、以下のとおり、永代供養契約上、「納骨壇を使用し、供養を受けることができる地位を付与」する部分と永代にわたって遺骨などを供養する部分の比率は3:7だとしました。
「そして,永代使用料及び永代供養料における,遺骨又は遺品を永代にわたって保管し,供養することに対する報酬の部分と,それを受けることができる地位を取得するための対価としての部分との割合は,前者が本件契約における債務の本質的内容であり,後者がその前提として付随するものであることからすると,7割対3割と見るのが相当である。」
結論として、永代供養料中、永代にわたって供養等する部分である7割については返金されるべきとしました。

2 離壇料

墓じまいに当たっては、寺院側から離壇料を請求されることがあります。
支払い義務があるかどうかは、檀信徒規約などの契約に離壇料の定めがあるかどうか次第となります。

3 墓じまいと墓埋法施行規則

墓じまいや改葬をする場合には、墓埋法、墓埋法施行規則を遵守する必要があります。
墓埋法第五条は、「埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。」としており、改装については市町村長の許可が必要です。参照:墓埋法
なお、寺院等において、縁故者のない墓の墓じまいをする場合には、墓埋法施行規則に従い、官報掲載などの手続きをとる必要があります。参照:墓埋法施行規則
第三条 死亡者の縁故者がない墳墓又は納骨堂(以下「無縁墳墓等」という。)に埋葬し、又は埋蔵し、若しくは収蔵された死体(妊娠四月以上の死胎を含む。以下同じ。)又は焼骨の改葬の許可に係る前条第
二 死亡者の本籍及び氏名並びに墓地使用者等、死亡者の縁故者及び無縁墳墓等に関する権利を有する者に対し一年以内に申し出るべき旨を、官報に掲載し、かつ、無縁墳墓等の見やすい場所に設置された立札に一年間掲示して、公告し、その期間中にその申出がなかつた旨を記載した書面

4 権利者の同意のない墓じまいと損害賠償

改葬は上記の墓埋法などの手続きを取ったからといって合法になるわけではありません。
あくまで墓の権利者の承諾が必要であり、それなくしてされた改葬は民事上違法となり、損害賠償の対象となりえます。
高松高裁平成26年2月27日判決は、以下のように述べ、調査を尽くさず墓を無縁墓地として改葬したことについて不法行為による損害賠償を認めました。
「墓地を無縁墓地として改葬を行い,墓石を撤去処分し,骨壺や遺骨を搬出するには,さらに相当期間をかけて使用者の有無について調査を尽くす義務があると解される。したがって,被控訴人が本件墓地を無縁墓地であると判断して調査義務を尽くさないで本件改葬行為を行ったことには過失があるというほかなく,本件改葬行為は本件墓地の使用者であったCに対する不法行為を構成するというべきである。」
その上で、原状回復費用139万6500円の損害が認められています。
ですから、改葬を行う場合、戸籍を調べる等して権利者を探し出し、承認を取る必要があります。
当事務所で手続きを代行することもできます。
また、寺院側が永代供養契約をする場合には、本籍や祭祀承継者候補者の住所等を登録させるのも有用でしょう。

5 墓じまい、改葬でのお悩みは弁護士齋藤裕にご依頼ください

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