駅、デパート、スキー場等でのエスカレーター事故と損害賠償

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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エスカレーターは挟まれた場合に死亡等の重大な結果を招く危険性も有した装置です。
これまでもエスカレーターによる人身事故が多く発生してきましたし、設置者等の損害賠償責任も認められてきました。
以下、どのような場合にエスカレーターによる事故について損害賠償責任が認められてきたのか、みていきます。

1 どのような場合にエスカレータの欠陥が認められるかについて判断した裁判例

民法717条は、以下のとおり定め、土地工作物に欠陥があり、その結果、損害が発生した場合、損害賠償責任が生じると規定します。
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任) 第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
最高裁昭和46年4月23日判決は、土地工作物責任における瑕疵は、保安設備と一体として評価されるべきとしています。参照:土地工作物責任についての判例
エスカレーターが土地工作物に該当することは問題ありません。
そうすると、問題は、どのような場合に瑕疵があると言えるかです。
実際問題、どのような欠陥が事故に結び付いたのか、事後的な検証でも解明できないことがあります。
しかし、利用者が通常ありうる方法でエスカレーターを利用していたのに重大な事故が発生した場合、瑕疵が推認されることがありえます。
大阪地裁昭和50年9月30日判決は、以下のとおり述べ、被害者が通常の利用方法でエスカレーターを利用していたのに事故が発生したという場合について、事故の原因となる瑕疵を特定しないまま、工作物責任を認定しています。
「本件事故の際において慶が通常のエスカレーターの利用方法と異なり、ことさら本件事故発生の原因となるような乗り方をしていたと認め得る証拠はないのであるから、かかる通常の利用方法に従って本件エスカレーターを利用していたにも拘わらず慶のゴム長靴が右エスカレーターの機械にはさまれたという事実がある以上、本件エスカレーターの機械設備そのものが、その性質上本来備えているべき安全性を欠いているものといわざるを得ない。」

2 エスカレーター近辺に事故防止を任務とする職員を配置すべき義務

松山地裁昭和48年2月19日判決は、以下のとおり述べ、子どもなどが利用することが想定される場所にあるエスカレーターについて、事故防止のための職員を配置等する義務があったとしました。
「本件エスカレーターの乗入口付近にかような幼児子供や老人が接近しつつあるときは、エスカレーターに乗移ることを事前に防止するか、もしくは安全にエスカレーターを利用することができるように正しく誘導するなどして、本件エスカレーターに起因する事故の発生を未然に防止すべきであり、したがってそれが可能なように右事故防止を任務とする職員をそれが可能な位置に配置してその体勢を整えておくべきものであるといわなければならない。」
重大事故を防ぐ機能が備わっている等の場合は別として、子どもらが利用する可能性のあるエスカレーターにおいて、事故防止のための職員を配置しておらず、その結果、重大な事故が発生した場合、損害賠償義務が生ずる可能性があります。

3 エスカレーターでの事故をめぐるお悩みは弁護士齋藤裕にご相談ください

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