事故物件の告知義務とガイドライン

さいとうゆたか弁護士

1 事故物件ガイドライン

報道によると、国土交通省は、殺人などがあった事故物件について、告知義務の範囲などを明らかにするガイドラインを策定するということです。

殺人などの事故物件については、物質的には通常の物件とかわらず、知らないでそこで過ごす分には何も問題はありません。

他方、やはり殺人などの事故物件を嫌う人も多く、ガイドラインで明確化することは意義深いと思います。

2 裁判例

これまで裁判例においても、事故物件に関する告知義務が争られたものがあります。

同判決の事実関係は以下のとおりです。

ⅰ 原告は,被告との間で,平成28年2月20日,不動産を代金800万円で買い受ける旨の契約を締結した,

ⅱ 原告は,被告に対し,同日,本件契約に基づき,手付金として50万円を支払った

ⅲ 本件建物の居住者であったAは,平成17年6月18日頃,本件建物内で首つり自殺をした

ⅳ 被告は,本件契約締結当時,本件自殺を知っていたものの,これを原告に告知しなかった

以上の事実関係を踏まえ、裁判所は以下の判断を示しました。

「売買の目的物に瑕疵があるというのは,その物が通常保有する性質を欠いていることをいい,目的物に物理的欠陥がある場合だけでなく,目的物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景に起因する心理的欠陥も含まれると解される。そして,本件自殺は,心理的欠陥に当たると認められるから,原告は,被告に対し,本件自殺が心理的瑕疵に当たることを理由に本件契約を解除することができるとともに,被告は,原告に対し,瑕疵担保責任による損害賠償義務を負う。」

このように、裁判所は、自殺があったという心理的瑕疵がある場合において契約の解除を認めています。

これを裏面から言うと、自殺があった物件について、売り主はそれを告知する義務があったということになります。

なお、自殺は12年前のことでしたが、裁判所はそれでも心理的瑕疵に該当するとの判断を示しました。

3 例えば自殺が20年前であった場合でも心理的瑕疵に当たるのかなど、これまでの裁判例に照らしても不明な点は残ります。

ガイドラインによる告知義務の明確化が望まれます。

 

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