揺さぶられっ子症候群(SBS)をめぐる無罪判決

1 揺さぶられっ子症候群(SBS)とは?

最近、揺さぶられっ子症候群(SBS)をめぐる無罪判決が続出しています。

揺さぶられっ子症候群(SBS)とは、SBS検証プロジェクトによると、「赤ちゃんの頭部外表に目立ったケガなどが見られないにもかかわらず、①硬膜下血腫、②網膜出血、③脳浮腫という3つの症状(これは三徴候と呼ばれます)があれば、それは「暴力的な揺さぶり」=虐待によるものだと推測して良いという理論」ということです。

2 各種判決の内容

このSBS理論に基づき、検察が多くの事案で親が虐待をしたとして起訴をしてきました。

しかし、多くの裁判例がSBSでの起訴について無罪判決を言い渡してきています。

広島地裁平成26年4月21日判決は、以下の医師意見を踏まえ、硬膜下血種が強い揺さぶりがなくても生じえたものとして、無罪判決を言い渡しました。

「手術時の所見を踏まえると,明確な原因の特定はできないが,Aの頭部に慢性硬膜下血腫ができて,それが少しずつ膨張し,それによって脳表と硬膜を結ぶ微細な血管が引っ張られ,その血管が自然にあるいは何らかの外部的圧力によって切れたことにより,急性硬膜下血腫を発症したものと考えられる。血管は,引っ張られて切れやすい状態となっていたので,頭部を強く揺さぶらなくても破綻したと考えられる。」

大阪高裁令和1年10月25日判決は、眼底出血や脳浮腫について別原因による可能性があるとした上で無罪を言い渡していますが、以下のとおりSBS理論に対する強い警鐘も鳴らしています。

「SBS理論による事実認定の危うさを示してもおり,SBS理論を単純に適用すると,極めて機械的,画一的な事実認定を招き,結論として,事実を誤認するおそれを生じさせかねないものである。」

3 まとめ

このように各裁判例は、SBS理論に大きく依存した起訴には問題があることを示しています。

起訴に当たっては、SBS理論以外の種々の証拠をもとにした慎重な検討が求められます。

SBS理論は、刑事事件だけではなく、児童相談所長が子どもを乳児院や児童養護施設に強制的に入所させる際の根拠としても使われてきました。

児童相談所も、SBS理論の危うさを認識し、やはり種々の証拠による慎重な虐待認定を行うべきものでしょう。

刑事事件や虐待事件でお悩みの方は、弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。

 

 

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