交通事故と休車損

さいとうゆたか弁護士

1 休車損

営業車については、交通事故の被害に遭い、それが営業に使えないことにより損害が発生した場合、休車損ということで賠償請求ができることがあります。

以下、説明します。

 

2 遊休車・代替車両の不存在

営業車が損傷等しても、被害者において遊休車を有している場合、その遊休車を使えばよいので、遊休車があると休車損が認められない可能性があります。

この点、東京地裁平成10年11月25日判決は、「原告X1は、タクシー会社であるから、代替車両が存在するのが通常と考えられ、本件においては、代替車両の存否を含めて休車損害の発生の根拠について、主張も立証もない。したがって、休車損害は認められない。」として、通常遊休車があるような場合に遊休車の不存在を主張立証しないことで休車損を認めませんでした。

ですから休車損を請求する場合には遊休車の不存在について主張立証できるようにしておくことが重要です。

3 休車損額

休車損については、

ⅰ その営業車にかかる売り上げから変動経費を除いた額

ⅱ 営業車を使えないことで外部委託した場合の費用

が賠償額となることが多いです。

例えば、大阪地裁令和2年1月16日判決は、

・「原告は,33台のトラックを保有しており,1年間の運送収入は5億6244万9000円(日額154万0956円)であることが認められ,これを1台当たりの日額で計算すると4万6695円(=154万0956円÷33台)」

・「変動経費については,証拠(甲7)によると,1年間の燃料油脂費が1億0622万円,1年間の修繕費が4481万3000円,1年間の道路使用料が5797万9000円と合計2億0901万2000円(日額57万2635円)であることが認められ,これを1台当たりの日額で計算すると1万7352円(=57万2635円÷33台)となり,変動経費の運送収入に対する比率は37.2%である。」
「1日当たりの休車損害は2万9324円(=4万6695円×[1-0.372])となり,20日分の休車損害は58万6480円(=2万9324円×20日)」

として、自動車1台あたりの売上を算出し、そこから変動経費を控除し、休車損の計算をしています。

4 損害賠償が認められる期間

休車損は、営業車を修理・買い替えするのに相当な期間について発生するのが原則となります。

5 新潟で交通事故のお悩みは弁護士齋藤裕へ

まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。

交通事故についての一般的な記事

弁護士費用はこちらの記事

もご参照ください。

さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です