新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕へ【迅速対応】【初回相談無料】

交通事故

執筆:弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属。2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

交通事故は弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください。

新潟県での交通事故の相談は弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください。初回相談料無料です
初回相談料無料、県外出張、電話やテレビ電話相談もあります。

まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
夜間・土日のお問合せは電話050-5572-2908 (朝6時から夜9時)か、メール(365日24時間ご利用いただけます)にお願いします。

弁護士費用の一例は以下のとおりです(詳細は第1「弁護士費用」をご覧ください)。

交通事故は新潟県の弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお任せください。初回相談料無料

以下、交通事故について解説します。

目次

第1 交通事故の弁護士費用

第2 交通事故の被害に遭ったらすべきこと

第3 交通事故と治療費

第4 入院・通院に応じた慰謝料

第5 入院付添費用・通院付添費用

第6 後遺障害と損害賠償

第7 死亡と損害賠償

第8 休業損害・営業損害

第9 交通事故で必要となった学習費と賠償

第10 交通事故と過失相殺

第11 交通事故と刑事事件

第12 交通事故と保険

第13 交通事故と健康保険

第14 交通事故と福祉制度

第15 症状固定とは?

第16 交通事故の事故態様の悪質さ、事故後の悪質さで慰謝料は高くなるのか?

第17 自動車の名義貸しと損害賠償責任

第1 交通事故の弁護士費用

交渉・訴訟とも着手金無料(ただし、特に困難な事件については5~30万円、弁護士特約に加入している場合にはその基準上の金額をいただくことがあります)

種類支払い時期基準
相談料相談時無料
着手金受任時交渉・訴訟とも着手金無料(ただし、特に困難な事件については5万5000円~33万円、弁護士特約に加入している場合にはその基準上の金額をいただくことがあります)
報酬金解決後増額分の13・2%(3,000万円を越える総額については9・9%)
加害者・保険会社側からの提示がない段階で受任した場合には、得られた金額の6・6%(回収金額の3,000万円を越える部分については5・5%)
保険会社からの提案がない段階で受任し、保険会社から1000万円入金があった場合、報酬66万円をいただきます。保険会社から50万円の提案があり、その後受任し、最終的に950万円入金があった場合、950万円-50万円=900万円の13・2%である118万8000円を報酬としていただきます。

第2 交通事故の被害に遭ったらすべきこと

交通事故の被害はそう遭うものではありませんので、慌てふためくことが多いでしょう。

しかし、以下の点には是非注意してください。

1 不用意な約束はしない

交通事故に遭った直後は興奮していて、痛みなどを感じないことが多くあります。

しかし、その後、痛みが出てくるというのはよくあります。

ですから、事故の場で、安易に、お金を請求しないなどの約束をしないようにしましょう。

そのような約束をすると、加害者がお金を出し渋る原因になりかねません。

2 加害者が誰か把握しておく

自動車のナンバーや免許証を写メで写すなどして証拠を押さえておきましょう。

3 警察・保険会社に連絡をする

警察を呼んで、事故状況を記録してもらうのは、その後の賠償請求にとって重要となる可能性があります。

保険金を請求するためには保険会社にすぐに連絡することも重要です。

4 証拠を押さえる

事故態様に争いがありそうであれば、目撃者の連絡先などを聞いておきましょう。

また、近隣の店舗の防犯カメラ、近くを通りかかったバスやタクシーのドライブレコーダーに事故状況が映っていた可能性がある場合、保存をお願いしましょう。

自分の車のドライブレコーダーも保存しておきましょう。

5 事故証明を取る

事故証明は交通事故における損害賠償の上で基礎となる書面です。

警察にお願いして、早期に取得しましょう。

6 とりあえず弁護士に相談

交通事故被害に遭ったときは、速やかに、さいとうゆたか法律事務所の弁護士にご相談ください。

初回相談料は無料です。

第3 交通事故と治療費

病院・医院の建物イラスト(医療)

交通事故でケガ等をした場合、加害者に治療費等を請求できる可能性があります。

原則として治療費は症状固定までの分となりますが、それ以降の分を請求できることもあります。

特別室使用料・差額ベッド代を請求できる場合もあります。

接骨院や整骨院での施術費用は常に賠償の対象となるわけではないので、ご注意ください。

交通事故の治療が自由診療でなされ、医療機関が過大な治療費を請求した場合、治療費全額が賠償されないこともあります。

治療費についての記事もご覧ください。

通院の交通費も賠償の対象となります。

公共交通機関利用の場合は実費、自家用車ならキロ15円が通常です。

タクシーについては、足のケガなどにより公共交通機関に乗ることが困難、医師の指示等があった場合にのみ認められます。参照:タクシー代の賠償を否定した裁判例

第4 入院・通院に応じた慰謝料

目次

交通事故で通院・入院した場合の慰謝料額の基準

交通事故による長期間にわたる通院と慰謝料

ギプス固定と慰謝料

他覚所見がないむち打ちと通院慰謝料

交通事故の慰謝料の交渉は弁護士にお任せを

交通事故で通院・入院した場合の慰謝料額の基準

交通事故で入院・通院をした場合、入院・通院期間に応じた慰謝料が支払われることになります。

金額としては、一般的に赤本と呼ばれる本に記載された表に基づき算定されることになります(重傷の場合、青本という本に記載された表に基づき算定した方が有利となります)。

例えば、赤本で、1月通院した場合の慰謝料は、28万円、1月入院した場合は53万円となります。

青本の場合、1月通院した場合の慰謝料は16から29万円、1月入院した場合は60から32万円となりますが、特に症状が重い場合には2割増しもありうるとされています。

赤本や青本よりかなり高額な慰謝料を認めた事例としては大阪地裁令和4年7月26日判決があります。

同判決は、約7か月入院し,通院期間は約18か月の事案です。
同判決は、「原告の傷害結果は,外傷性出血性ショック,十二指腸水平脚~空腸起始部縦断裂,膵鉤部損傷,穿孔性汎発性腹膜炎,L2(第2腰椎)破裂骨折,腰椎脱臼骨折,脊髄損傷といった重篤なものであり,原告は「歩いて9月に自宅に帰ることは難しい。今後は車椅子の生活になる。」という告知を受けた後も「昨日の話で目標(お誕生日に外泊する,8月の下旬に退院して9月1日から学校に行く)決めた。それまでに何を頑張らないといけないかな」などと懸命にリハビリテーションに取り組んで車椅子による日常生活動作を獲得したもので,その過程においては「歩きたい,車椅子で学校行きたくない(号泣)。周りに歩ける人ばっかりは嫌や,歩けん人の気持ちなんかわからんもん…学校で何言われるかわからんし…いじめる人もおるもん(号泣)。もう学校なんかいきたくないわぁ…(事故)相手のおじいちゃんなんて一生牢屋から出てきてほしくない(号泣)」などと弱音を漏らしたことがあるように,歩行できないこと等による多大な精神的苦痛を乗り越えてきたものであることに照らすと,原告X1の入通院治療に係る身体的・精神的苦痛を慰謝するための慰謝料額は402万円とするのが相当である」としています。

赤本であれば326万円程度、青本上限でも393万円になると思われますが、傷病の重篤さと精神的苦痛の大きさを踏まえ、高額の慰謝料を認めています。

入院や通院の慰謝料は現実の入院、通院期間に応じて算定されます。

しかし、入院、通院が一定期間見込まれていたものの、やむを得ない理由で入院、通院できなかった場合には、想定された入院、通院期間に応じた慰謝料が支払われます。

大分地裁平成21年4月16日判決は、交通事故で外傷性頚部症候群となり入院したものの、心筋炎となり、4日で外傷性頚部症候群の治療をやめた事例について、一般的に2ケ月の入院・通院を要した等として70万円の慰謝料を認めています。参照:実際の入院等期間によらず慰謝料を認めた判決

交通事故による長期間にわたる通院と慰謝料

通院慰謝料における通院期間基準と実通院日数基準

通院期間基準と実通院日数基準についての裁判例

通院したくとも通院できない場合の通院慰謝料

通院慰謝料における通院期間基準と実通院日数基準

通常は通院期間・入院期間に応じて慰謝料額が決まりますが、通院が長期にわたる場合には実通院日数の3・5倍程度を算定基礎とする場合もあります。青本に記載されているとおり、1年以上にわたり通院頻度が極めて低く1ケ月に2から3回の程度にも達しない場合かどうかを基準とすべきと考えます。

通院期間基準と実通院日数基準についての裁判例

名古屋地裁令和4年9月14日判決は、右手関節TFCC損傷により約19ケ月通院、通院回数51回、4日間入院という事案で、160万円の慰謝料を認めました。

同判決は、「通院期間と比較すると通院頻度は少ない」ことを金額算定の理由としてあげています。

19ケ月通院なら赤本別表Ⅰで慰謝料172万となります。実通院日数×3・5の基準では178日となり、約116万となります。

同事案は、月あたり平均通院実日数が2・7日くらいであり、1ケ月に2から3回の程度という目安は満たさないものです。

そのため、裁判所は、通院期間基準と実通院日数基準との中間的な金額を定めたと考えられます。

那覇地方裁判所令和3年3月17日判決は、12ケ月間通院・実通院日数30日の事案で、「原告は,本件事故により左橈骨遠位端骨折の傷害を受け,これに対し観血的整復固定術を施行されたところ,当該施術部位の骨癒合が確認され術後抜釘術を受けたのは,本件事故から約10か月後の平成30年1月であるから,通院期間が長期に及んでいるとしても,上記治療経過に照らし実通院日数を慰謝料算定の目安とするのは相当ではない。」として実通院日数基準を採用しないとしています。

通院が長期化しても、治療経過によっては通院期間基準が適用されるということです。

通院したくとも通院できない場合の通院慰謝料

なお、通院したくても通院ができず、本来はもっと通院すべきなのに実通院日数が少なくなるような場合もありますが、通院できなかった事情によっては実通院日数×3・5の基準を使わない場合もあります。

例えば、受刑者の作業中の事故についての仙台高裁令和4年8月31日判決は、1年2ケ月の通院期間、実通院日数7日という事案において、受刑者として自由に刑務所外での通院を自由になしうる状況でなかった等として、実通院日数×3・5という基準での算定を否定しました。

ギプス固定と慰謝料

入院をしていない場合でも、ギプス固定中については入院と同じように慰謝料を算定することもあります。

他覚所見がないむち打ち

他覚所見のない頚椎捻挫については、一般の傷害より金額の低い算定表により計算をします。この基準では、通院1月で19万円、入院1月で35万円となります。打撲や挫創のような比較的軽度なケガについても、これに準じて計算されることがあります。その際、通院が長期にわたるようであると、実通院期間の3倍程度を慰謝料算定の基礎とすることが多いです。

交通事故の交渉は弁護士にお任せを

交通事故に関し保険会社が損害賠償額の提示を行う場合、ほとんどの場合にこの通院・入院をした場合の慰謝料がかなり安くなっていますので、注意が必要です。

一回は弁護士に相談してから対応、できれば弁護士に依頼をして対応した方がよいと思われます。

弁護士に依頼した場合、赤本基準の8から9割前後で解決する事例が多いと思います。

第5 入院付添費用・通院付添費用

通院介助をする人のイラスト(女性)

近親者等が入院・通院に付き添った場合の費用を請求できる場合があります。

入院の場合は、被害者本人の病状の重さ等に応じて必要性が判断されます。

通院の場合は、被害者が歩けない場合、被害者が幼少である場合等に認められます。

入院付添費用・通院付添費用についての記事をご覧ください。

第6 後遺障害と損害賠償

車椅子に乗る人と階段のイラスト

交通事故の損害賠償においては、後遺障害がある場合とない場合、等級がどのくらいかで請求できる金額がかなり違ってきます。

等級に応じて後遺障害慰謝料を請求できます。後遺障害慰謝料の記事をご覧ください。

後遺障害のために家屋改造、自動車改造が必要となる場合の費用も一定程度で賠償されることがあります。

介護に必要な費用も賠償の対象となります。

第7 死亡と損害賠償

お葬式のイラスト「おじいちゃんの遺影」

死亡による慰謝料

慰謝料とは精神的苦痛についての損害賠償のことです。

交通事故や労災事故で死亡やケガをした場合に発生します。

赤本という裁判所も基準としている本によると、一家の支柱が死亡した場合の慰謝料2800万円、母親・配偶者が志望した場合の慰謝料2500万円、その他の場合2000から2500万円が標準とされます。親族が固有に請求できる慰謝料もここに含まれます。

この枠内でも、年齢が若い人であれば慰謝料は高くなりがちであり、高齢者であれば低くなりがちです。加害者の悪質性によっても増額される場合があります。

例えば、仙台地裁平成22年10月22日判決は、被害者が2歳であったことを理由に2400万円の慰謝料を認めています。参照:二歳児について2400万円の死亡慰謝料を認めた判決

また、東京地裁平成20年8月26日判決は、34歳の大手監査法人職員の交通死亡事故について、以下のように被害者が結婚して子どもも設けようとしていた状況において亡くなった無念などを考慮し本人分の慰謝料3000万円を認定の上、妻200万、父母各100万、合計3400万の慰謝料を認めているところです。

「Aは,大学在学中の平成4年4月ころに短期大学在学中の原告X1といわゆるサークル活動を通じて知り合った後,上記のとおり平成14年8月に原告X1と婚姻をして,円満な家庭生活を送り,平成18年には子をもうけることを考えていたところであり,また,両親である原告X2及び原告X3との間においても,その唯一の子として十分な愛情を受けて育てられ,原告X1と婚姻をした後も良好な関係にあったことが認められ,これらの事情からうかがわれるAの無念の情については,これを察するに余りあるものというべきである。」
「これらの事情を勘案し,本件事故によりAが受けた精神的苦痛に対する慰謝料の金額としては,3000万円をもって相当と認める。」

一般的な慰謝料で納得できない場合には訴訟をすべきことになりますし、訴訟になった場合にはさまざまな増額要素を主張すべきことになります。

死亡による逸失利益

交通事故で死亡した場合、労働能力が失われますが、そのことについての逸失利益の損害賠償も認められます。

死亡逸失利益の基礎収入

被害者に収入があった場合、その収入をもとに、その収入が将来にわたり得られたはずだったのに、それが失われたとして逸失利益の計算をします。

若年で就労していない被害者や専業主婦・専業主夫については賃金センサスという平均収入についての統計、就労していない高齢者については年金をもとに計算がされます。

死亡逸失利益の就労可能年数

通常は67歳まで働くことができたという前提で逸失利益の計算をします。

高齢まで働く人の多い職種については、67歳を超えて働く前提で計算することがあります。

67歳までの年数が平均余命までの年数の半分を下まわる被害者については、平均余命までの年数の半分の年数働くという前提で計算をします。

年金の場合は平均余命までの期間収入があったものとして計算します。

死亡逸失利益の中間利息控除

本来は給料などは、将来にわたり支払われるものです。

それをある時点で先取りしてもらうため、被害者としては利息分について得をすると考えられます。

そのため、中間利息控除という計算をして、利息分についての減算をします。

死亡逸失利益の生活費控除

被害者が生存していた場合には、生活費がかかったはずですが、死亡により生活費がかからなくなります。

そのため生活費控除という計算も行い、生活費分を損害額から控除します。

この生活費控除は、被扶養者1名の場合40%、被扶養者2名以上の場合30%、女性の場合30%(上記に当たらない場合)、男性の場合50%(上記に当たらない場合)等とされます(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部 民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準 上巻(基準編) 2025(令和7年)197頁以下)。

死亡逸失利益の計算式

以上をまとめると、収入等から求められる基礎収入×67歳までの年収×生活費控除率に中間利息控除をした金額が死亡の逸失利益額となります。

葬儀費用の損害賠償

葬儀費用も賠償対象です。

150万円を上限とした実費が賠償対象となりますが、被害者が若年であったとか、社会的地位が高かったなどの事情により葬儀が大規模となった場合、150万円を上回る葬儀費用が賠償されることもあります。

第8 休業損害・営業損害

交通事故で仕事をやすんで収入が減った場合、休業損害や営業損害の賠償請求ができます。

休業損害は給料や所得などが基準となり休業損害が計算されます。

家事従事者の場合には女性の平均賃金が基準に休業損害が算定されます。

休業損害の記事もご覧ください。

第9 交通事故で必要となった学習費と賠償

子どもが交通事故で入院などした場合、退院後に勉強を取り戻すための学習費(塾や家庭教師)がかかる場合があります。

また、入院などにより、塾などに行くことができず、それまで払った授業料などが無駄となることもあります。

そのような場合、学習にかかわる費用について賠償が認められることがあります。

学習の遅れを取り戻すための家庭教師代の賠償を認めた裁判例

例えば、横浜地方裁判所平成26年12月26日判決は、以下のとおり述べて、勉強の遅れを取り戻すための家庭教師代の賠償を認めています。

「原告は,上記認定のとおり,本件事故後,トリマー専門学校の専門課程(2年間)に進学し,毎週月曜日に通学していたが(8割以上の出席が要件),本件事故により十分な技術の習得・訓練ができず,進級及びライセンスの取得が困難となる可能性が生じたため,平成22年6月から9月にかけてトリミングの家庭教師の指導を受け,7万5000円を出捐したことが認められ,これに照らすと,原告が家庭教師を依頼したことには相当な理由があるから,本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。」

大分地裁平成20年3月31日判決は、「原告Aは,解離性健忘のために,E高校における学習の記憶が失われ,本件事故後,学習塾を利用して,再度学習し直し,これに26万3470円を要した」として、学習塾代の損害賠償を認めました。参照:学習塾代の損害賠償を認めた裁判例

岡山地裁倉敷支部兵営14年6月28日判決は、高次脳機能の被害者について家庭教師代30万5520円の損害賠償を認めています。参照:家庭教師代の賠償を認めた判決

交通事故による留年の場合の学費等の損害賠償を認めた裁判例

交通事故による入院等により留年せざるをえなかった場合、追加で必要となる学費等について損害賠償の対象となる可能性があります。

岡山地裁平成9年5月29日判決は、以下のとおり述べ、事故による入通院のために留年を余儀なくされた場合に、追加でかかる学費及び賃料の損害賠償を認めました。

「原告は本件事故による入通院のため五ヶ月余にわたり大学の講義を受けることができず、単位修得に重大な支障を来し、一年間の留年を余儀なくされたこと、納付すべき一年間の学費は九七万六〇〇〇円であることが認められ、右認定事実によれば、原告は同額の損害を蒙ったものと認めるのが相当である。」
「原告は前項の留年に伴い、一年間余分にアパート住まいを余儀なくされたこと、一年間のアパート賃貸料五五万六八〇〇円であることが認められ、右認定事実によれば、原告は同額の損害を蒙ったものと認めるのが相当である。」

不必要に払うことになった学費の賠償を認めた裁判例

交通事故のため、学校に通うことができなくなった場合に、無駄になった支出済の学費等について損害賠償請求の対象となることがありえます。

東京地裁平成24年11月28日判決は、以下のとおり述べて、無駄になった支払い済の入学金についての損害賠償を認めました。

「亡Aは本件事故前に,△△大学に73万3200円の学費を支払い,うち25万円(入学金相当額)については返還されないことが認められる。この25万円については,本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。」

なお、大阪地裁平成30年4月16日判決は、以下のとおり述べて、不必要に支払うことになった学費についての賠償を認めつつ、4月に退院した年度の学費については賠償の対象としては認めませんでした。

「本件事故により被告が余分に負担を余儀なくされた学費費等ということができるのは,平成26年度前期の授業料65万3200円及び同年度後期の休学手数料6万0000円の合計額に相当する71万3200円であり,同額をもって,本件事故と相当因果関係のある損害と認める。」

このように、退院などした後に留年などをしたとしても、それが交通事故と因果関係にあること(学習能力が衰えたとか、通院にかなり日数を要したなど)について具体的に主張立証しないと、賠償の対象とはなりにくいということになります。

交通事故で遅れた学習を取り戻すための学習費が賠償の対象となることがあります。

第10 交通事故と過失相殺

交通事故の被害者となった場合、発生した損害について賠償を受けることができるのが原則です。

しかし、被害者にも過失があるとされた場合、過失相殺がなされ、損害額のうち一部しか賠償してもらえないことになります。

例えば、損害額100万円で過失割合10パーセントの場合、100万円×0・9=90万円が賠償されることになります。

損害額100万円で、うち50万円が治療費であり、保険会社から医療機関に直接払われている場合、90万円-50万円が被害者の手元にくるお金となります。

自賠責の場合は基本的には過失相殺は関係ありません(過失が7割以上の場合は支払金額が減らされます)。

ですから、過失割合によっては、自賠責の金額の方が高くなる場合もありますので注意が必要です。

どのように過失割合が判断されるか

過失割合判断で考慮される事項

このように賠償額算定の上で重要な過失割合は「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」によって判断されることがほとんどです。

自動車対歩行者、バイク対歩行者、自転車対歩行者であれば、歩行者の過失割合がかなり小さくなります。

自動車対自転車、バイク対自転車であれば、自転車の過失割合がかなり小さくなります。

自動車対バイクであれば、バイクの過失割合が小さくなります。

その上で、自動車対歩行者、バイク対歩行者、自転車対歩行者の事故で、幹線道路(歩車道の区別があって、車道が片側2車線以上、車道幅員が14メートル以上で車両の交通量が多く高速で走行しているような国道・県道)で発生した場合、夜間で歩行者の発見が困難である場合、歩行者の直前直後横断・急な飛び出し・ふらふら歩き、横断禁止の規制等がある場合等については、歩行者の過失割合が多めに修正されます。

逆に、歩車道の区別のない道路で発生した場合(1メートル以上の路側帯がある場合は歩車道の区別ありとされます)、歩行者が児童(13歳未満の者)・高齢者(65歳以上の者)・障害者であるとき、住宅街・商店街などで発生した場合、集団横断の場合、わき見運転や携帯電話で通話しながらの運転であるなど自動車側に重過失や著しい過失がある場合等については、歩行者の過失割合が小さめに修正されます。

高齢者が被害者の事故と過失割合

高齢者について過失相殺されるのは、高齢者が判断能力・行動能力において衰えがみられ、保護すべき度合いが高いからだと考えられます。

この点、さいたま地裁令和2年11月24日判決は、65歳の高齢者が被害者であった事案において、「原告は本件事故当時65歳であったが就労しており,夜間自転車での移動も行っており,特に保護を要するような判断能力や行動能力の低下があったと認めることはできないので,原告の高齢を理由に過失割合を加減することは相当ではない。」として、年齢だけで過失相殺において考慮されるかどうかは決められないとの判断を示しています。

判決の事案は、横断歩道から離れたところで道路を渡ったというものです。このような事案については、高齢者であっても横断をしないことで事故回避をすることが十分可能と考えられます。高齢者であるからといって過失割合を調整すべき実質的理由がないような場合には、65歳以上であっても過失割合において考慮されないという判断が今後もなされる可能性はあるでしょう。ⅰ

第11 交通事故と刑事事件

刑事・警察官のイラスト

交通事故について、加害者が刑事処罰されることがあります。

被害者として参加等をし、意見を述べたり、質問をしたりすることができることもあります。

被害者参加についての記事をご参照ください。

第12 交通事故と保険(交通事故で払われる保険、損益相殺)

保険会社のイラスト

交通事故の被害者は任意保険、自賠責保険から支払いを受けることができることがあります。

人身傷害保険については、損害賠償請求との準備次第で損をする場合もあるので、注意が必要です。

人身傷害保険についての記事もご覧ください。

交通事故被害者が予め保険に入っていて、交通事故により保険金が出た場合、その保険金を損害賠償額から控除すべきかどうか(損益相殺すべきかどうか)も問題となります。

生命保険金については、以下のとおり、最高裁昭和39年9月25日判決が、生命保険金を損害額から控除すべきではないとしています。参照:生命保険金の損益相殺について判断した判例

「生命保険契約に基づいて給付される保険金は、すでに払い込んだ保険料の対価の性質を有し、もともと不法行為の原因と関係なく支払わるべきものであるから、たまたま本件事故のように不法行為により被保険者が死亡したためにその相続人たる被上告人両名に保険金の給付がされたとしても、これを不法行為による損害賠償額から控除すべきいわれはないと解するのが相当である。」

それに対し、所得補償保険については、損害額から控除すべきというのが判例の立場です。

最高裁平成1年1月19日判決は、以下のとおり述べ、所得補償保険について損益相殺を認めました。参照:所得補償保険と損益相殺についての判例

「本件所得補償保険は、被保険者の傷害又は疾
病そのものではなく、被保険者の傷害又は疾病のために発生した就業不能という保険事故により被つた実際の損害を保険証券記載の金額を限度として填補することを目的とした損害保険の一種というべきであり、被保険者が第三者の不法行為によつて傷害を被り就業不能となつた場合において、所得補償保険金を支払つた保険者は、商法六六二条一項の規定により、その支払つた保険金の限度において被保険者が第三者に対して有する休業損害の賠償請求権を取得する結果、被保険者は保険者から支払を受けた保険金の限度で右損害賠償請求権を喪失するものと解するのが相当である。」

このように、代位関係が発生することを理由に損益相殺を認めています。

近年の最高裁は、代位関係発生の有無を損益相殺がされるかどうかについての重要な判断要素としていると考えられます。

第13 交通事故と健康保険、福祉等諸制度

ケアマネジャーのイラスト(女性)

交通事故でも使える健康保険

交通事故で傷害を負い治療を受ける場合、健康保険を使わないで、自由診療で治療を受けることが多いです。

そのためもあってか、交通事故の場合、健康保険を使うことができないと思っている方も多いですが、使うことは可能です。

ただし、健康保険を使う場合には、保険者に対し、第三者行為による傷病届をしていただく必要があります。参照:協会けんぽにおける第三者行為による傷病届書式

その際、「交通事故、自損事故、第三者(他人)等の行為による傷病(事故)届」、「負傷原因報告書」、「事故発生状況報告書」、「損害賠償金納付確約書・念書」、「同意書」などの書類を出してもらうことになります。

これを受け、保険者は、加害者に対して治療費分の請求を行うことになるのです。

交通事故で健康保険を使うメリット

健康保険を使う場合、被害者側のメリットもありえます。

それは、健康保険の方が診療の点数、つまり治療費が低いということです。

結局保険会社が治療費を払ってくれるので同じではないかと思われる方もいるかもしれません。

確かに、加害者が人身無制限の任意保険に加入し、被害者の過失がゼロの場合にはあまり健康保険を使うメリットはないかもしれません。

しかし、被害者の過失がいくらかある場合、治療費が安い方が被害者の手取り金額が大きくなります。

例えば、慰謝料200万円、被害者の過失割合2割として、自由診療で治療費100万円と保険診療で治療費50万円の場合を考えてみましょう。

治療費100万円のとき、被害者は200万円+100万円=300万円の8割である240万円を受給します。

うち100万円は医療機関に支払われるので、手取りは140万円です。

他方、治療費50万円のとき、被害者は200万円+50万円=250万円の8割である200万円を受給します。

うち50万円は医療機関に支払われるので、手取りは150万円です。

被害者に過失がある案件では健康保険を利用した方が被害者に有利ということです。

その他、自由診療の場合、点数が高すぎると裁判所に治療費を削られ、結局その分が被害者負担ともなりうるという問題もあります。

交通事故で健康保険を使うと医療機関がいい顔をしない(点数が低いので)ということもありえますが、交通事故で受診される場合には健康保険を利用することも積極的にご検討ください。

第14 交通事故と福祉制度

目次

1 交通事故と重度心身障害者医療費助成制度

2 NASVAの介護料支払い

3 身体障害者手帳

4 療育手帳

5 精神保健福祉手帳

6 新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕へ

1 交通事故と重度心身障害者医療費助成制度

交通事故に遭い、重度の心身障害が残った場合、医療費の助成を受けることができる場合があります。

これを重度心身障害者医療費助成制度といいます。参照:新潟県の重度心身障害者医療費助成制度サイト

この制度の内容は自治体によって違います。

以下、新潟市の制度についてご説明します。

新潟市では、身体障害者手帳1から3級、療育手帳A,精神障害者保健福祉手帳1級の方は、医療費助成を受けることができます。

その場合の自己負担額は以下のとおりです。

・外来  月4回まで1日530円、5回目以降0円

・入院  1日1200円

・薬局  0円

・訪問看護 1日250円

・治療用装具 0円

これは保健診療についてのみ適用される制度であり、自由診療では適用されません。

申請時には、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳、健康保険証、印鑑、本人確認ができるものなどが必要となります。

この制度については自治体により違いがありますので、申請時には各自治体に予めお問い合わせいただけるとよいと思います。

同制度を利用したために、医療費がかからなかった分については損害賠償請求の対象とはなりません。

しかし、将来の医療費を請求する場合については、将来においても同制度が存続しているか、しているとして要件か支給額などが同一かどうかは定かではないため、同制度の利用を考慮しない損害賠償額の算定がなされます。

例えば、札幌地方裁判所平成28年3月30日判決は、以下のとおり、過去の医療費については同制度による助成額を控除した額を損害額としつつ、将来の医療費については同制度による助成額を控除しない扱いとしています。

「原告X1は,平成28年1月まで,国民健康保険法に基づく保険給付及び江別市重度心身障害者医療費助成条例に基づく助成を受け,入院に伴う医療費を支払っていないが,その後は,同様の保険給付等の存続が確実であるということはできないから,損害から控除すべき保険給付等は,当初の3年のものであるというべきである。」

このような扱いは、将来制度がどうなるか判然としないということを理由として福祉的給付全般について共通になされているものです。

交通事故で重い障害を負った場合については、重度心身障害者医療費助成制度の利用も含めてご検討されるとよいと思います。

そのために健康保険を使った方がよい場合も多いでしょう。

2 NASVAの介護料支払い

1 NASVAの介護料支払(交通事故)

NASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)は交通事故被害者のために様々な活動をしています。

今回は、NASVAによる介護料の支払いについて御紹介します。

2 NASVAの介護料支給の要件

NASVAの介護料は、以下の方に支給されます。

Ⅰ 最重度

脳損傷がある場合

自力移動が不可能

自力摂食が不可能

失禁状態にある

意味のある発語が不可能

目をあけ、手を握れという簡単な命令にはかろうじて応ずることはあるものの、それ以上の意思疎通が不可能

脊髄損傷がある場合

自力移動不可能

自力摂食不可能

失禁状態

人工介添呼吸が必要

Ⅱ 常時要介護

後遺障害等級別表第一1級1号、2号

Ⅲ 随時要介護

後遺障害等級別表第一2級1号、2号

3 NASVAの介護料支給額

以上の区分に応じ、以下のとおり月毎に介護料が支払われます。
 最重度   8万2810円から20万9430円
 常時要介護 7万0790円から16万5150円
 随時要介護 3万5400円から8万2580円
 これらの対象となるサービスは、ホームヘルプサービス、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリ、デイサービスです。
 これらの対象となる介護用品は、介護用ベッド、介護用イス、じゅくそう予防用具、吸引器など、特殊尿器、移動用リフト、スロープ、消耗品(購入のみ)です。
 これらのサービスを受けたり、介護用品を購入・レンタル・修理したときに、領収書など事業主発行の証明書を提出することにより介護料が支給されます。
 親族によるサービス提供については介護料の支給はなされません。

4 NASVAの介護料の手続

 これらの介護料の支給を受けるためには、受給資格の認定申請が必要となります。
 その際には、所定の書類を提出する必要があります。

5 損害賠償金との関係

基本的には介護料は損害賠償額から引かれないという扱いでよろしいかと思われます。

例えば、名古屋地裁平成23年2月18日判決は以下のとおり述べています。

  「独立行政法人自動車事故対策機構の介護料は,交通事故被害者に対する支援という社会福祉的な施策の一環として捉えられるべきものであり,損害の填補としての性質を有しないというべきであり,損害からの控除をすることは認められない。」

3 身体障害者手帳

1 交通事故と身体障害者手帳

交通事故により身体障害が生じた場合、身体障害者手帳の交付を受けることができる可能性があります。

この身体障害者手帳を受ける人は、障害の程度に応じ、1級から7級までの級別に分けられ、級により受けられるサービスが異なります。

例えば、上肢について言うと、両上肢の機能を全廃した場合、あるいは両上肢を手関節異常で欠く場合には1級に認定されます。

また、1上肢の機能の軽度の障害、一上肢の肩関節・肘関節又は手関節のうちいずれか一関節の機能の軽度の障害、一上肢の手指の機能の軽度の障害、ひとさし指を含めて一上肢の二指の機能の著しい障害、一上肢のなか指・薬指・及び小指を欠くもの、一上肢のなか指・薬指及び小指の機能を全廃したものに該当すると7級に認定されます。

2 手帳を所持している交通事故被害者が受けることのできるサービス

身体障害者手帳をもっている人は、障害者総合支援法に定める福祉サービスなどを受けることができます。

障害者総合支援法が定める福祉サービスには、居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所(ショートステイ)、療養介護、生活介護、施設入所支援(障害者支援施設での夜間ケアなど)、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A型=雇用型、B型)、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助(グループホーム)、移動支援などがあります。

3 身体障害者手帳と損害賠償金との関係

交通事故による損害賠償金から障害者総合支援法にもとづく福祉サービスにより受給などした分を引くかどうかについては、裁判例において引かなくてもよいとの判断がなされているところです。

例えば、名古屋地裁平成29年10月17日判決は、以下のとおり、過去分・将来分含めて引かなくて良いとの判断を示しています。

「このように,Aに必要な介護費用は,現状,その大部分が公的給付によって賄われているが,障害者総合支援法に基づく公的給付は,障害者の福祉の増進を図ることを目的とするもので(同法1条参照),損害の補填を目的とするものではない。同法には,給付を行った市町村等による代位の規定も設けられていない。かえって,介護保険給付が障害者総合支援法に基づく給付に優先するとされ(同法7条),かつ,介護保険給付については,第三者から損害賠償を受けたときは,市町村は,その価額の限度において,保険給付を行う責を免れるとされている(介護保険法21条2項)。そうすると,将来にわたって,Aに対して現在と同水準の公的給付が維持されるという蓋然性までは認め難く,困難な将来予測の場面で,現状の公的給付を所与の前提として将来介護費を算定することは,相当ではない。したがって,同法に基づく公的給付は,既給付及び将来給付の分も含めて,損益相殺的調整を図るべきものではないと解するのが相当である。」

ですから、障害者総合支援法による支給分については考慮しないで損害賠償請求するという取扱いでよろしいかと思われます。

4 療育手帳

1 交通事故と療育手帳制度について

交通事故で精神機能などに障害が生じた場合、療育手帳の交付を受け、様々なメリットを受けることができることがあります。

この制度については自治体毎に違いがありますが、以下、新潟県療育手帳制度についてご説明します。

2 療育手帳制度の対象者

対象者は以下のとおりとされています。

障害程度A(重度)

1 知能指数がおおむね35以下で、日常生活において常時介助または監護を必要とする人

2 肢体不自由、盲、ろうあなどの障害(身体障害者手帳1級、2級または3級に該当するもの)を有し、知能指数がおおむね50以下であって、日常生活において常時介助または監護を必要とする人

障害程度B(その他)

A(重度)に該当しない人

3 療育手帳制度の手続

市福祉事務所、町村役場の福祉担当課に申請していただきます。

児童相談所または知的障害者更生相談所の面接判定を受けることになります。

4 療育手帳所持のメリット

療育手帳を持っていると、以下の手続において措置を受けやすくなるとされています。

・特別児童扶養手当

受給資格の認定の際、Aの表示があり、直近の判定などから2年以内の手帳の提示がある場合、必要な診断書の提出を省略して差し支えないとされています。

・心身障害者扶養共済

手帳所持者の障害証明は、市町村長がしてさしつかえないとされています。

・国税・地方税の諸控除・減免税

手帳を提示することにより、Aの表示のある手帳所持者は所得税、住民税とも特別障害者控除が適用されます。

Bの表示のある手帳所持者は障害者控除が適用されます。

その他、自動車税、軽自動車税又は自動車取得税の減免税に関し、県福祉事務所長または市社会福祉事務所長が証明を行う場合、Aの記載がある手帳によって障害認定をして差し支えないとされています。

・公営住宅の優先入居

手帳所持者について、県福祉事務所長又は市町村長が資格を証明してさしつかえないとされています。

・NHK受信料の免除

手帳所持者について、市町村長が資格を証明して差し支えないとされています。

・重度心身障害者医療助成事業

市町村長は手帳にAの記載があるかどうかにより障害の確認を行ないます。

・旅客鉄道株式会社等の旅客運賃割引

5 精神保健福祉手帳

1 交通事故と精神障害者保健福祉手帳

交通事故により精神機能に障害が生じることがままあります。

脳が損傷することにより記憶などが障害されることもあれば、うつ病になることもあります。

そのようなとき、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けると、様々なサービスを受けることができるようになりますので、取得をご検討いただけるとよいと思います。

2 障害等級

精神障害者保健福祉手帳においては3段階の障害等級に分類されます。

1級 精神障害であって日常生活の用を弁することを不可能ならしめる程度のもの

器質性精神障害によるものにあっては、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、社会的行動障害のいずれかがあり、そのうち一つ以上が高度のものが該当します。

2級 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

器質性精神障害によるものにあっては、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、社会的行動障害のいずれかがあり、そのうち一つ以上が中等度のものが該当します。

3級 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

器質性精神障害によるものにあっては、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、社会的行動障害のいずれかがあり、いずれも軽度のものが該当します。

3 精神障害者保健福祉手帳所持により受けられるサービス

精神障害者保健福祉手帳を持っていることで、障害等級に応じて様々なサービスを受けることができます。

サービスは自治体によって違いますが、例えば長岡市では以下のサービスが受けられるようになります。

・自立支援医療(精神通院)の手続簡素化

・精神障害者医療費助成の手続簡素化

・重度障害者医療費助成制度の適用

・生活保護法の障害者加算

・タクシー利用券の交付・自動車燃料税の助成

・後期高齢者医療制度への早期加入

・国民健康保険料の減免

・税制上の優遇措置

・公共料金等の割引

・施設入館料及び使用料の免除・軽減

・日常生活用具(頭部保護帽)の給付

第15 症状固定とは?

1 症状固定とは?

症状固定とは、それ以上治療をしても症状の改善が見込まれない状態を言います。

交通事故や労災において、

ⅰ 原則として症状固定時までしか治療費が支払われない

ⅱ 症状固定時点の症状をもとに後遺障害の判断がされる

ⅲ 症状固定時点が時効の起算点とされる

等、症状固定は重要な意味を持ちます。

2 症状固定の具体的判断

この症状固定については裁判で争われる事例が多くあります。

例えば、大阪地裁令和4年4月13日判決は、医師において平成27年7月(治療から約7年後)に、以降は治療効果がないと判断していたという事案において、被害者は以降も別の医療機関で別の治療法での治療を受けていたところ、平成27年7月以降の治療について「(被害者の症状について)適応があってその必要性及び相当性を認めることができ、実際に十分な治療効果が得られたのであれば、同年7月以降も治療効果が見込まれたものとして、その時点では症状固定に至っていなかったと評価できる余地がある。」としました。

その上で、

・当該治療法について、ある病院において適応の有無が検討された結果、治療効果が期待しにくく、むしろ、副作用を発症する危険性があることから、実施が見送られたものであること

・被害者の自覚症状が著しいものではなかったこと

等を踏まえ、平成27年7月を症状固定日としています。

症状固定日については、

・治療を担当した医師の意見

・治療内容(単なる痛みを緩和するものに過ぎないかどうか)

・発症からの期間(発症から長期間経過していれば症状固定と認められやすい)

・治療により症状が実際に改善したか

・当該治療方法が臨床において受容されていたかどうか

・被害者の苦痛等が激しく、治療の必要性が高かったか

・事故態様

等を踏まえ判断されることになります。

なお、労災保険における症状固定も、損害賠償における損害賠償と、概念的には同じものですが、労災保険の方が症状固定を先延ばしにしてくれる(主治医が症状固定としない限り症状固定とはしない)傾向があります。

ですから、労災交通事故のような場合、労災保険の申請は必ずすべきです。

第16 交通事故の事故態様の悪質さ、事故後の悪質さで慰謝料は高くなるのか?

事故の悪質さ、事故後の対応の悪質さが理由で慰謝料が高くなることもあります。

事故態様の悪質さを理由に慰謝料を増やした裁判例

交通事故で被害者が死亡した場合、赤本では死亡慰謝料は2000から2800万円とされます。

しかし、これはあくまでも目安であり、それを超える場合(下回る場合)もあります。

例えば、秋田地裁平成22年7月16日判決は、以下のような事情が認められる事例において、死亡慰謝料3400万円を認めています。

同判決では、

ア 被告Y1及びその運転態様
(ア) 被告Y1は,衝突事故を起こした場合,極めて重大な結果を発生させ得る10トンの貨物自動車の職業運転手であり,通常の自動車運転手に比べても高度な注意義務が要求されていたこと
(イ) 被告Y1は,はみ出し禁止区間である上に,降雪の影響により路面状態の悪い片側1車線の道路のトンネル入口付近で追越しをして本件事故を起こしているが,そもそもこのような状況で追越しを行うこと自体が危険極まりなく到底許されないものであること
(ウ) 被告Y1は,本件事故前に,先行車両への過剰な接近と左右への進路変更の繰り返しという,先行車両に対して威圧を与える,いわゆる「あおり運転」をし,その「あおり運転」の果てに(イ)のような無謀な追越しに及んで本件事故を起こしているのであって,自動車を安全に走行させるという基本的な意識が欠如していたといわざるを得ないこと
(エ) 本件事故現場付近は,見通しも良く,対向車線を進行してくる対向車を発見することは容易であったにもかかわらず,被告Y1は,対向車線の安全をほとんど確認することなく進行を続けた上,本件事故現場でも安全確認せず,いきなり追越しを行ったため,本件事故を発生させたものであること
が考慮され、かなり高額の慰謝料となっています。

つまり、加害者の運転の悪質性が重視されていることが分かります。

京都地裁平成29年10月31日判決も、無免許運転者による居眠り運転という悪質性・救護措置なしとの点から慰謝料を高額としています。参照:無免許運転者による居眠り運転について高額慰謝料を認めた判決

ひき逃げ、無免許運転、酒酔い運転、信号無視、極端なスピート違反、携帯のながら運転、センターオーバーがあったような場合、慰謝料額が増額される可能性があると言えるでしょう。

事故後の加害者の態度が慰謝料を高くするか?

事故後の加害者の態度が悪質な場合も慰謝料額が増額される可能性があります。

東京地裁平成16年2月25日判決は、以下の事情があることを理由として、事故後における加害者の悪質性を考慮し、計3100万円というかなり高額な死亡慰謝料を認定しています(なお、事故態様自体も、酒酔い、反対車線に進入、20キロメートル以上速度違反等、かなり悪質です)。

・加害者は救急車等が到着するまで約20分間,加害車両内に閉じこもり,救急車到着後,車外に出て,携帯電話をかけたり,小便をしたり,煙草を吸ったりするだけで,被害者に対する救助活動を一切しなかった。
・加害者は,通夜,葬儀,四十九日,一周忌のいずれの機会にも,遺族である原告らを慰謝するに十分な対応を採っていない。

・加害者は,捜査段階において,自らの罪を免れるため,被害者がセンターラインを先にオーバーしてきたなどと不自然な供述を繰り返すなど,反省の態度がみじんも認められない。

その他、罪証隠滅なども慰謝料増額事由となるでしょう。

 加害者の悪質性によりどのくらい慰謝料額が増額されるか?

加害者の悪質性によりどの程度慰謝料額が増額となるでしょうか?

この点、髙取真理子裁判官「慰謝料増額事由」(赤本2005年版)は、通常の慰謝料の2~4割増し程度に収まるというのが目安だとします。

裁判例の実勢に合致していると思われます。

ただし、悪質さの度合いに応じて、この目安を超えることもありうるところです。

17 自動車の名義貸しと損害賠償責任

 自動車損害賠償保障法第三条は以下のとおり定めています。

 「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。」参照:自動車損害賠償保障法

つまり、自動車を運転していなくても、自己のために自動車を運行の用に供し、その自動車の運行によって人が死んだり、傷害を負ったりした場合、損害賠償責任を負うことになります。

自動車運転者が任意保険に入っていなかった場合、この規定が適用されると被害者保護にとって大きな意味を持つことになります。

そこで、どのような場合にこの運行供用者とされるのかが問題となります。

この点、最高裁平成30年12月17日判決は、以下のとおり述べ、当該事案において運行供用者に該当するとの判断を示しています。

「被上告人は、Aからの名義貸与の依頼を承諾して、本件自動車の名義上の所有者兼使用者となり、Aは、上記の承諾の下で所有していた本件自動車を運転して、本件事故を起こしたものである。」

「Aは、当時、生活保護を受けており、自己の名義で本件自動車を所有すると生活保護を受けることができなくなるおそれがあると考え、本件自動車を購入する際に、弟である被上告人に名義貸与を依頼したというのであり、被上告人のAに対する名義貸与は、事実上困難であったAによる本件自動車の所有及び使用を可能にし、自動車の運転に伴う危険の発生に寄与するものといえる。」

「また、被上告人がAの依頼を拒むことができなかったなどの事情もうかがわれない」

「そうすると、上記のとおり被上告人とAとが住居及び生計を別にしていたなどの事情があったとしても、被上告人は、Aによる本件自動車の運行を事実上支配、管理することができ、社会通念上その運行が社会に害悪をもたらさないよう監視、監督すべき立場にあったというべきである」

「したがって、被上告人は、本件自動車の運行について、運行供用者に当たると解するのが相当である」

このように、生活保護受給のために自動車所有ができない兄弟からの依頼を受けて名義貸しをした場合に、運行供用者として自動車損害賠償保障法により責任を負うものとしました。

判断に当たっては、名義貸しをしなければ運転者が自動車を運転をすることはできなかった、名義貸しを拒否することも可能だったという点が考慮されており、生活保護が関わらない名義貸しの事案においても参考になるものと思われます。

第18 新潟県で交通事故のお悩みは弁護士齋藤裕へ

交通事故のお悩みは弁護士齋藤裕にご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
夜間・土日のお問合せは電話050-5572-2908 か、メールにお願いします。

弁護士費用はこちらの記事をご参照ください。
さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です