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交通事故の後遺障害等級は慰謝料や逸失利益の計算の前提となる重要なものです。
以下、解説します。
目次
第1 腕の後遺障害等級認定(交通事故)
第5 新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕へ
第1 腕の後遺障害等級認定(交通事故)
目次
腕の後遺障害等級認定の基準
腕の後遺障害等級認定の基準
腕に障害が残った場合の後遺障害認定は以下のとおりとなります。
両上肢をひじ関節以上で失ったもの⇒1級
両上肢を手関節以上で失ったもの⇒2級
1上肢をひじ関節以上で失ったもの⇒4級
1上肢を手関節以上で失ったもの⇒5級
両上肢の用を全廃したもの⇒1級
1上肢の用を全廃したもの⇒5級
1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの⇒6級
1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの⇒8級
1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの⇒10級
1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの⇒12級
1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの⇒7級
1上肢に偽関節を残すもの⇒8級
長管骨に変形を残すもの⇒12級
腕の後遺障害認定等級基準に使われる用語の意味
上肢の用を廃したとは、肩・ひじ・手の3大関節のすべてが強直し、かつ、手指全部の用を廃したことです。
関節の用を廃したとは、関節が強直したもの、関節の完全弛緩性麻痺あるいはそれに近いもの、人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち可動域が健側の2分の1以下に制限されるもののいずれかに該当するものです。
関節の機能に著しい障害を残すものとは、関節の可動域が健側の2分の1以下に制限されるか、人工関節・人工骨頭を挿入したものです。
関節の機能に障害を残すものとは、関節の可動域が健側の3/4以下に制限されるものです。
偽関節を残し、著しい運動障害を残すものとは、骨幹部等の一定部位に癒合不全を残し、かつ、常に硬性補装具を必要とするものです。
偽関節を残すとは、一定部位に癒合不全を残すものです。
長管骨に変形を残すとは、上腕骨あるいはとう骨・尺骨に変形を残し外部から見える程度のもの(15度以上屈曲して不正癒合したもの)、上腕骨、とう骨・尺骨の骨端部に癒合不全を残すもの、とう骨又は尺骨の骨幹部などに癒合不全を残すもので硬性補装具を必要としないもの、上腕骨・とう骨・尺骨の骨端部のほどんとを欠損したもの、上腕骨の直径が3分の2以下に減少したもの、とう骨もしくは尺骨の直径が2分の1以下に減少したもの、上腕骨が50度以上外旋又は内旋癒合しているものです。
このように、後遺障害に該当するかどうかについてはきちんと要件が定められています。後遺障害の等級に納得がいかない場合には、自賠責に対する異議申立てや訴訟の中で争うこともできます。
第2 手指の後遺障害等級(交通事故)
目次
手指の後遺障害等級の基準
手指の後遺障害等級の基準
手指に障害が残った場合、以下のとおり後遺障害等級が認定されることになります。
両手の手指を全部失ったもの 3級
両手の手指の全部の用を廃したもの 4級
1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの 6級
1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの 7級
1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの 7級
1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの 8級
1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの 8級
1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの 9級
1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの 9級
1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの 10級
1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの 11級
1手のこ指を失ったもの 12級
1手のこ指の用を廃したもの 13級
1手のおや指の指骨の一部を失ったもの 13級
1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 14級
1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの 14級
手指の後遺障害等級の基準に使われる言葉の意味
以上の基準の用語の意味は以下のとおりです。
手指を失ったもの
-母指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節異常を失ったもの
指骨の一部を失ったもの
-1指骨の一部を失っている(遊離骨片の状態を含む)ことがエックス線写真等により確認できるもの
手指の用を廃したもの
-手指の末節骨の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(母指におっては指節関節)に著しい運動障害を残すもの
遠位指節間関節を屈伸することができないもの
-遠位指節間関節が硬直するか、屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって自動で屈伸ができないか、それに近い状態にあるもの
示指を失ったものとして扱われる場合
右示指の中手骨と基節骨の一部を欠損したため、残った中手骨と基節骨を接合した結果、約5cmの短縮を生じ、中手指節関節は存在しない、近位指節間関節・遠指節間関節は完全硬直している、右示指は完全に知覚鈍麻しているという場合には、示指を失ったものとして扱うとされています(参考通達・昭和51年9月10日 基収第1297号の2 労働省労働基準局長より都道府県労働基準局長あて)。これに類した状態にある場合も指を失ったものとされる可能性はあります。
実際にはどの基準に該当するのか微妙なケースもありうるでしょうし、等級に応じた逸失利益の賠償が必ず得られるとも限りません。
手話がしにくくなった場合と後遺障害
手話は指を使って行いますので、指等の後遺障害のために手話がしにくくなった場合、後遺障害が認められることがあります。
名古屋地裁平成21年11月25日判決は、手指や腕の後遺障害のために手話が通じにくくなったという事例で、12級相当の後遺障害が残ったと認定しています。参照:手話が困難になったことについて後遺障害を認めた裁判例
第3 足の後遺障害等級(交通事故)
1 足の後遺障害等級(交通事故)
目次
足の後遺障害等級の基準
足の後遺障害等級の基準
足(下肢)に後遺障害が残った場合、以下のとおり後遺障害認定されます。
その等級に応じて慰謝料や逸失利益の賠償がなされうることになります。
1級 両下肢を膝関節以上で失ったもの
1級 両下肢の用を全廃したもの
2級 両下肢を足関節異常で失ったもの
4級 1下肢を膝関節以上で失ったもの
4級 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
5級 1下肢を足関節以上で失ったもの
5級 1下肢の用を全廃したもの
6級 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
7級 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
7級 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの、偽関節を残すもの、5メートル以上短縮したもの
10級 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
10級 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
12級 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
12級 長管骨に変形を残すもの
13級 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
足の後遺障害等級の基準に使われる言葉の意味
上記の基準における用語の意味は以下のとおりです。
○下肢の用を全廃したもの
=3大関節(股関節、ひざ関節及び足関節)のすべてが強直したもの
○関節の用を廃したもの
=ⅰ、ⅱ、ⅲのいずれか
ⅰ 関節が強直したもの、
ⅱ 関節の完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態にあるもの、
ⅲ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域確度の2分の1以下に制限されているもの
○関節の機能に著しい障害を残すもの
=ⅰ、ⅱのいずれか
ⅰ 関節の可動域が健側の可動域確度の2分の1以下に制限されているもの
ⅱ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節
○関節の機能に障害を残すもの
=関節の可動域が健側の可動域確度の4分の3以下に制限されているもの
○偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
=ⅰからⅲのいずれかに該当し、常に硬性補装具を必要とするもの
ⅰ 大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
ⅱ 脛骨及び腓骨の両方の骨幹部等に癒合不全を残すもの
ⅲ 脛骨の骨幹部等にゆごう不全を残すもの
○偽関節を残すもの
=ⅰからⅲのいずれか
ⅰ 大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
ⅱ 脛骨及び腓骨の両方の骨幹部等に癒合不全を残すもの
ⅲ 脛骨の骨幹部等にゆごう不全を残すもの
これらのうちどの等級に認定されるかは損害額に大きく関わってきます。
可動域の測定方法
関節の可動域の測定については、障害のない側(健側)の可動域角度とある側の可動域角度を比較するのが原則です。
ただし、健側の関節にも障害がある場合には、参考可動域角度との比較により評価を行います。
測定は、原則として、日常の動作にとって最も重要なものである主要運動についてなされます。
股関節の場合、屈曲・伸展、外転・内転です。
ひざ関節の場合、屈曲・伸展です。
足関節の場合、屈曲・伸展です。
他方、
股関節の場合、外旋・内旋は参考運動とされ、それ自体の可動域制限では後遺障害の認定はされないのが原則です。
しかし、原則として主要運動が5度だけ基準を満たさない場合(股関節の場合は10度)には、参考運動を基準に可動域制限が認定されます。
なお、屈曲と伸展のような同一面にある運動については、双方の可動域の数値を足して、制限の程度を測定します。
第4 脊柱の後遺障害(交通事故)
脊柱の後遺障害の基準
脊柱に著しい変形を残すものとは?
脊柱に変形を残すものとは?
脊柱に著しい運動障害を残すとは?
脊柱に運動障害を残すとは?
脊柱の後遺障害と逸失利益について
脊柱の後遺障害の基準
交通事故で脊柱に障害が残った場合、以下の基準で後遺障害等級が認定されます。
前提として、頚椎と胸腰椎は異なる機能を担っているため、異なる部位としてそれぞれ等級が認定されます。
脊柱に著しい変形を残すもの 6級 (労働能力喪失率67%・慰謝料1180万円が一応の目安)
脊柱に著しい運動障害を残すもの 6級 (労働能力喪失率67%・慰謝料1180万円が一応の目安)
脊柱に運動障害を残すもの 8級 (労働能力喪失率45%・慰謝料830万円が一応の目安)
脊柱に変形を残すもの 11級 (労働能力喪失率20%・慰謝料420万円が一応の目安)
脊柱に著しい変形を残すものとは?
脊柱に著しい変形を残すものとは、
ⅰ 脊椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じているもの
(前方椎体高が著しく減少とは、減少した全ての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計の紗が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さ以上であるものをいいます)
ⅱ 脊椎圧迫骨折等により一個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生ずると共に、コブ法による側彎度が50度以上となっているもの
(前方椎体高が減少したとは、減少したすべての椎体の後方椎体の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの50パーセント以上であるものをいいます)
のいずれかに該当するものを言います。
なお、コブ法とは、エックス線写真により、脊柱のカーブの頭側及び尾側においてそれぞれ水平面からもっとも傾いている脊椎を求め、頭側でもっとも傾いている脊椎の椎体上縁の延長戦と尾側でもっとも傾いているせき椎の椎体の下縁の延長戦が交わる角度である側彎度を測定する方法です(一般財団法人労災サポートセンター「労災補償障害認定必携」236ページ)。
3 脊柱に変形を残すものとは?
脊柱に変形を残すものとは、
ⅰ せき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの、
ⅱ せき椎固定術が行われたもの、
ⅲ 3個以上のせき椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの、
のいずれかに該当するものです。
4 脊柱に著しい運動障害を残すとは?
脊柱に著しい運動障害を残すとは、
ⅰ 頚椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎圧迫骨折等が存在しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの、
ⅱ 頚椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎固定術が行われたもの、
ⅲ 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの、
のいずれかに該当するものです。
5 脊柱に運動障害を残すとは?
脊柱に運動障害を残すものとは、
ⅰ 頚部又は胸腰部の可動域が参考可動域角の2分の1以下に制限されたもののうち一定の要件を満たすもの、
ⅱ 頭蓋・上位頚椎間に著しい異常可動性が生じたもの
のいずれかに該当するものです。
6 逸失利益について
民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻2021所収の「脊柱変形の障害による労働能力の喪失について」(小沼日加利裁判官)は、脊柱変形による逸失利益(労働能力喪失率)に関する裁判例を分析し、
・6級の場合、具体的症状等を踏まえ労働能力喪失率を修正(50~67%)
・8級の場合、多くは20%台から45%の労働能力喪失率であり、喪失率は脊柱の機能がどの程度維持されているかによる
・11級の場合、41件の裁判例中16件で20%、23件でそれより低い喪失率ないし逓減、ごく少数は労働能力喪失を否定
としています。
他の後遺障害の場合もそうですが、後遺障害の等級に従った労働能力喪失率・逸失利益が常に認められるわけではありません。
症状や支障も含めて検討することが重要です。
第5 新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕へ
第1 腕の後遺障害等級認定(交通事故)
腕に障害が残った場合の後遺障害認定は以下のとおりとなります。
両上肢をひじ関節以上で失ったもの⇒1級
両上肢を手関節以上で失ったもの⇒2級
1上肢をひじ関節以上で失ったもの⇒4級
1上肢を手関節以上で失ったもの⇒5級
両上肢の用を全廃したもの⇒1級
1上肢の用を全廃したもの⇒5級
1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの⇒6級
1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの⇒8級
1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの⇒10級
1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの⇒12級
1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの⇒7級
1上肢に偽関節を残すもの⇒8級
長管骨に変形を残すもの⇒12級
上肢の用を廃したとは、肩・ひじ・手の3大関節のすべてが強直し、かつ、手指全部の用を廃したことです。
関節の用を廃したとは、関節が強直したもの、関節の完全弛緩性麻痺あるいはそれに近いもの、人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち可動域が健側の2分の1以下に制限されるもののいずれかに該当するものです。
関節の機能に著しい障害を残すものとは、関節の可動域が健側の2分の1以下に制限されるか、人工関節・人工骨頭を挿入したものです。
関節の機能に障害を残すものとは、関節の可動域が健側の3/4以下に制限されるものです。
偽関節を残し、著しい運動障害を残すものとは、骨幹部等の一定部位に癒合不全を残し、かつ、常に硬性補装具を必要とするものです。
偽関節を残すとは、一定部位に癒合不全を残すものです。
長管骨に変形を残すとは、上腕骨あるいはとう骨・尺骨に変形を残し外部から見える程度のもの(15度以上屈曲して不正癒合したもの)、上腕骨、とう骨・尺骨の骨端部に癒合不全を残すもの、とう骨又は尺骨の骨幹部などに癒合不全を残すもので硬性補装具を必要としないもの、上腕骨・とう骨・尺骨の骨端部のほどんとを欠損したもの、上腕骨の直径が3分の2以下に減少したもの、とう骨もしくは尺骨の直径が2分の1以下に減少したもの、上腕骨が50度以上外旋又は内旋癒合しているものです。
このように、後遺障害に該当するかどうかについてはきちんと要件が定められています。後遺障害の等級に納得がいかない場合には、自賠責に対する異議申立てや訴訟の中で争うこともできます。
第2 手指の後遺障害等級(交通事故)
手指に障害が残った場合、以下のとおり後遺障害等級が認定されることになります。
両手の手指を全部失ったもの 3級
両手の手指の全部の用を廃したもの 4級
1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの 6級
1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの 7級
1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの 7級
1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの 8級
1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの 8級
1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの 9級
1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの 9級
1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの 10級
1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの 11級
1手のこ指を失ったもの 12級
1手のこ指の用を廃したもの 13級
1手のおや指の指骨の一部を失ったもの 13級
1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 14級
1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの 14級
以上の基準の用語の意味は以下のとおりです。
手指を失ったもの
-母指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節異常を失ったもの
指骨の一部を失ったもの
-1指骨の一部を失っている(遊離骨片の状態を含む)ことがエックス線写真等により確認できるもの
手指の用を廃したもの
-手指の末節骨の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(母指におっては指節関節)に著しい運動障害を残すもの
遠位指節間関節を屈伸することができないもの
-遠位指節間関節が硬直するか、屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって自動で屈伸ができないか、それに近い状態にあるもの
右示指の中手骨と基節骨の一部を欠損したため、残った中手骨と基節骨を接合した結果、約5cmの短縮を生じ、中手指節関節は存在しない、近位指節間関節・遠指節間関節は完全硬直している、右示指は完全に知覚鈍麻しているという場合には、示指を失ったものとして扱うとされています(参考通達・昭和51年9月10日 基収第1297号の2 労働省労働基準局長より都道府県労働基準局長あて)。これに類した状態にある場合も指を失ったものとされる可能性はあります。
実際にはどの基準に該当するのか微妙なケースもありうるでしょうし、等級に応じた逸失利益の賠償が必ず得られるとも限りません。
第3 足の後遺障害等級(交通事故)
1 足の後遺障害等級(交通事故)
足(下肢)に後遺障害が残った場合、以下のとおり後遺障害認定されます。
その等級に応じて慰謝料や逸失利益の賠償がなされうることになります。
1級 両下肢を膝関節以上で失ったもの
1級 両下肢の用を全廃したもの
2級 両下肢を足関節異常で失ったもの
4級 1下肢を膝関節以上で失ったもの
4級 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
5級 1下肢を足関節以上で失ったもの
5級 1下肢の用を全廃したもの
6級 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
7級 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
7級 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの、偽関節を残すもの、5メートル以上短縮したもの
10級 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
10級 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
12級 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
12級 長管骨に変形を残すもの
13級 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
上記の基準における用語の意味は以下のとおりです。
○下肢の用を全廃したもの
=3大関節(股関節、ひざ関節及び足関節)のすべてが強直したもの
○関節の用を廃したもの
=ⅰ、ⅱ、ⅲのいずれか
ⅰ 関節が強直したもの、
ⅱ 関節の完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態にあるもの、
ⅲ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域確度の2分の1以下に制限されているもの
○関節の機能に著しい障害を残すもの
=ⅰ、ⅱのいずれか
ⅰ 関節の可動域が健側の可動域確度の2分の1以下に制限されているもの
ⅱ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節
○関節の機能に障害を残すもの
=関節の可動域が健側の可動域確度の4分の3以下に制限されているもの
○偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
=ⅰからⅲのいずれかに該当し、常に硬性補装具を必要とするもの
ⅰ 大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
ⅱ 脛骨及び腓骨の両方の骨幹部等に癒合不全を残すもの
ⅲ 脛骨の骨幹部等にゆごう不全を残すもの
○偽関節を残すもの
=ⅰからⅲのいずれか
ⅰ 大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
ⅱ 脛骨及び腓骨の両方の骨幹部等に癒合不全を残すもの
ⅲ 脛骨の骨幹部等にゆごう不全を残すもの
これらのうちどの等級に認定されるかは損害額に大きく関わってきます。
2 可動域の測定方法
関節の可動域の測定については、障害のない側(健側)の可動域角度とある側の可動域角度を比較するのが原則です。
ただし、健側の関節にも障害がある場合には、参考可動域角度との比較により評価を行います。
測定は、原則として、日常の動作にとって最も重要なものである主要運動についてなされます。
股関節の場合、屈曲・伸展、外転・内転です。
ひざ関節の場合、屈曲・伸展です。
足関節の場合、屈曲・伸展です。
他方、
股関節の場合、外旋・内旋は参考運動とされ、それ自体の可動域制限では後遺障害の認定はされないのが原則です。
しかし、原則として主要運動が5度だけ基準を満たさない場合(股関節の場合は10度)には、参考運動を基準に可動域制限が認定されます。
なお、屈曲と伸展のような同一面にある運動については、双方の可動域の数値を足して、制限の程度を測定します。
第4 脊柱の後遺障害(交通事故)
目次
脊柱の後遺障害の基準
脊柱の後遺障害の基準
交通事故で脊柱に障害が残った場合、以下の基準で後遺障害等級が認定されます。
前提として、頚椎と胸腰椎は異なる機能を担っているため、異なる部位としてそれぞれ等級が認定されます。
脊柱に著しい変形を残すもの 6級 (労働能力喪失率67%・慰謝料1180万円が一応の目安)
脊柱に著しい運動障害を残すもの 6級 (労働能力喪失率67%・慰謝料1180万円が一応の目安)
脊柱に運動障害を残すもの 8級 (労働能力喪失率45%・慰謝料830万円が一応の目安)
脊柱に変形を残すもの 11級 (労働能力喪失率20%・慰謝料420万円が一応の目安)
脊柱に著しい変形を残すものとは?
脊柱に著しい変形を残すものとは、
ⅰ 脊椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じているもの
(前方椎体高が著しく減少とは、減少した全ての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計の紗が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さ以上であるものをいいます)
ⅱ 脊椎圧迫骨折等により一個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生ずると共に、コブ法による側彎度が50度以上となっているもの
(前方椎体高が減少したとは、減少したすべての椎体の後方椎体の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が、減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの50パーセント以上であるものをいいます)
のいずれかに該当するものを言います。
なお、コブ法とは、エックス線写真により、脊柱のカーブの頭側及び尾側においてそれぞれ水平面からもっとも傾いている脊椎を求め、頭側でもっとも傾いている脊椎の椎体上縁の延長戦と尾側でもっとも傾いているせき椎の椎体の下縁の延長戦が交わる角度である側彎度を測定する方法です(一般財団法人労災サポートセンター「労災補償障害認定必携」236ページ)。
脊柱に変形を残すものとは?
脊柱に変形を残すものとは、
ⅰ せき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの、
ⅱ せき椎固定術が行われたもの、
ⅲ 3個以上のせき椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの、
のいずれかに該当するものです。
脊柱に著しい運動障害を残すとは?
脊柱に著しい運動障害を残すとは、
ⅰ 頚椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎圧迫骨折等が存在しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの、
ⅱ 頚椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎固定術が行われたもの、
ⅲ 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの、
のいずれかに該当するものです。
脊柱に運動障害を残すとは?
脊柱に運動障害を残すものとは、
ⅰ 頚部又は胸腰部の可動域が参考可動域角の2分の1以下に制限されたもののうち一定の要件を満たすもの、
ⅱ 頭蓋・上位頚椎間に著しい異常可動性が生じたもの
のいずれかに該当するものです。
脊柱の後遺障害の逸失利益について
民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準下巻2021所収の「脊柱変形の障害による労働能力の喪失について」(小沼日加利裁判官)は、脊柱変形による逸失利益(労働能力喪失率)に関する裁判例を分析し、
・6級の場合、具体的症状等を踏まえ労働能力喪失率を修正(50~67%)
・8級の場合、多くは20%台から45%の労働能力喪失率であり、喪失率は脊柱の機能がどの程度維持されているかによる
・11級の場合、41件の裁判例中16件で20%、23件でそれより低い喪失率ないし逓減、ごく少数は労働能力喪失を否定
としています。
他の後遺障害の場合もそうですが、後遺障害の等級に従った労働能力喪失率・逸失利益が常に認められるわけではありません。
症状や支障も含めて検討することが重要です。
第5 新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕へ
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交通事故についての一般的な記事
後遺障害等級認定についての記事
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