
1 人身傷害保険
人身傷害保険は、自動車事故で傷害等を負った被害者が、契約した保険会社から約款に従った保険金の支払を受けることができるものです。
現在では、ほとんどの自動車保険に付保されています。
この契約の一番のメリットは、被害者に過失があった部分も含め支払いを受けることができることです。
しかし、この人身傷害保険については、加害者への損害賠償との関係が複雑で、これまで多くの裁判で争われてきました。
以下、現時点における判例などをもとに整理をします。
2 人身傷害保険から保険金を受け取った後の損害賠償請求額
被害者が人身傷害保険から保険金を受け取った後に損害賠償請求をする場合、被害者が請求できるのは、総損害額から人身傷害保険より払われた額を引いた額となります(過失相殺される部分より人身傷害保険から支払われる額が小さいとき、総損害額に過失相殺をした額)。
例えば、損害額1000万円、過失割合4割(400万円)、人身傷害保険の保険金500万円の場合、1000万円-500万円=500万円を加害者に請求できます。最終受取額は1000万円であり、総損害額と同額です。
損害額1000万円、過失割合6割(600万円)、人身傷害保険の保険金500万円の場合、1000万円×0・4(6割の過失相殺)=400万円を加害者に請求できます。最終受取額は900万円となります。
なお、人身傷害保険金を受け取った後で、人身傷害保険の保険会社が自賠責の請求をすることがあります。
この自賠責部分について、最高裁令和4年3月24日判決は、加害者が支払うべき賠償金から自賠責分は引かれないとの判断を示しています。
3 損害賠償を受け取った後の人身傷害保険額
被害者が損害賠償を受け取った後で、人身傷害保険の請求をした場合の取り扱いは、訴訟で解決した場合と交渉で解決した場合とで異なる可能性があります。
訴訟で解決した場合、2と基本的には同じ最終受取額となります。
交渉で解決した場合、人身傷害保険の約款上の基準額をもとに算定することになり、訴訟で解決するより不利となる可能性があります。
よって、損害賠償請求を先行させるのであれば、訴訟で請求すべきことになります。
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