交通事故と脳脊髄液減少症

交通事故

1 交通事故と脳脊髄液減少症についての国交省通知

国土交通省は、脳脊髄液減少症について、自賠責保険に基づく支払いが適切になされるよう、各損害保険会社に通知しました。

CSF JAPANのサイトによると、「脳脊髄液減少症とは、脳脊髄液が“減少状態”になるために、頭痛をはじめとする種々の症状が出現する疾患」のことを言います。

交通事故により脳脊髄減少症になったと被害者が主張することは少なくありませんが、従来は中々認められてこなかったものです。

今回の国交省通知はその流れに良い影響を与えるものとして評価できると思います。

2 裁判例における脳脊髄減少症

少数の裁判例においては、交通事故により脳脊髄減少症が発症したと認めてきました。

例えば、広島地裁福山支部平成30年6月21日判決は、以下のとおりの判断を示しています。

「原告に起立性頭痛はなかったと評価しても,脳脊髄液漏出症の患者の10%程度は起立性頭痛が存在しない患者がおり,起立性頭痛が存在しないからといって,そのことのみを理由に原告が脳脊髄液漏出症ではないと判断できるわけではない。」

「むしろ,脳脊髄液漏出症の診断は,画像診断で脳脊髄液が硬膜外に漏出していることが認められれば,最も直接的な証明となると解される。本件では,G医師とH医員がともに原告のCTミエログラフィーで穿刺部位と連続しない造影剤漏出所見が認められると判断しており,「確実」所見が得られていることに照らすと,仮に原告に起立性頭痛がなかったとしても,脳脊髄液漏出症と認められると解する。」

その上で、「原告車が全損となっており,本件事故による原告への衝撃の程度は相当強かったと考えられること,原告には本件事故当日から頭痛が生じていること,C病院で脳脊髄液漏出症が疑われたのは本件事故から1か月も経っていない時期であること,原告には起立性頭痛が生じていると評価すべきこと等に照らすと,本件事故と脳脊髄液漏出症との間に相当因果関係が認められる。」として、事故の衝撃の大きさ、事故と近い時期に発症していることなどを踏まえ、交通事故と脳脊髄液減少症との因果関係を認めました。

このように脳脊髄液減少症が交通事故により発症したと認める裁判例において、画像所見、症状の経過、事故状況などが重視されていることが分かります。これらの点の立証が重要となります。

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