交通事故と過失相殺(どのような事情が過失相殺で考慮されるかについて解説しました)

交通事故

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

 

 

 

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1 交通事故と過失相殺

交通事故の被害者となった場合、発生した損害について賠償を受けることができるのが原則です。

しかし、被害者にも過失があるとされた場合、過失相殺がなされ、損害額のうち一部しか賠償してもらえないことになります。

例えば、損害額100万円で過失割合10パーセントの場合、100万円×0・9=90万円が賠償されることになります。

損害額100万円で、うち50万円が治療費であり、保険会社から医療機関に直接払われている場合、90万円-50万円が被害者の手元にくるお金となります。

自賠責の場合は基本的には過失相殺は関係ありません(過失が7割以上の場合は支払金額が減らされます)。

ですから、過失割合によっては、自賠責の金額の方が高くなる場合もありますので注意が必要です。

2 どのように過失割合が判断されるか

過失割合判断で考慮される事項

このように賠償額算定の上で重要な過失割合は「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」によって判断されることがほとんどです。

自動車対歩行者、バイク対歩行者、自転車対歩行者であれば、歩行者の過失割合がかなり小さくなります。

自動車対自転車、バイク対自転車であれば、自転車の過失割合がかなり小さくなります。

自動車対バイクであれば、バイクの過失割合が小さくなります。

その上で、自動車対歩行者、バイク対歩行者、自転車対歩行者の事故で、幹線道路(歩車道の区別があって、車道が片側2車線以上、車道幅員が14メートル以上で車両の交通量が多く高速で走行しているような国道・県道)で発生した場合、夜間で歩行者の発見が困難である場合、歩行者の直前直後横断・急な飛び出し・ふらふら歩き、横断禁止の規制等がある場合等については、歩行者の過失割合が多めに修正されます。

逆に、歩車道の区別のない道路で発生した場合(1メートル以上の路側帯がある場合は歩車道の区別ありとされます)、歩行者が児童(13歳未満の者)・高齢者(65歳以上の者)・障害者であるとき、住宅街・商店街などで発生した場合、集団横断の場合、わき見運転や携帯電話で通話しながらの運転であるなど自動車側に重過失や著しい過失がある場合等については、歩行者の過失割合が小さめに修正されます。

高齢者が被害者の事故と過失割合

高齢者について過失相殺されるのは、高齢者が判断能力・行動能力において衰えがみられ、保護すべき度合いが高いからだと考えられます。

この点、さいたま地裁令和2年11月24日判決は、65歳の高齢者が被害者であった事案において、「原告は本件事故当時65歳であったが就労しており,夜間自転車での移動も行っており,特に保護を要するような判断能力や行動能力の低下があったと認めることはできないので,原告の高齢を理由に過失割合を加減することは相当ではない。」として、年齢だけで過失相殺において考慮されるかどうかは決められないとの判断を示しています。

判決の事案は、横断歩道から離れたところで道路を渡ったというものです。このような事案については、高齢者であっても横断をしないことで事故回避をすることが十分可能と考えられます。高齢者であるからといって過失割合を調整すべき実質的理由がないような場合には、65歳以上であっても過失割合において考慮されないという判断が今後もなされる可能性はあるでしょう。

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