
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

新潟の交通事故のお悩みはご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
1 信号機のない優先道路・非優先道路交差点での直進自動車同士事故の過失割合
信号機のない優先道路・非優先道路交差点での直進自動車同士事故の過失割合について、別冊判例タイムズ「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」図105は以下のとおり基本的過失割合を示しています。
優先車:劣後車(基本) 10:90
劣後車の明らかな先入 10%優先車に加算
優先車の著しい過失 15%優先車に加算
優先車の重過失 25%優先車に加算
劣後車の著しい過失 10%劣後車に加算
劣後車の重過失 15%劣後車に加算
この過失割合の修正について、例えば、東京高裁令和1年9月4日判決は、交差点手前で優先車が進路変更をしたことで20%の修正をしています。
2 そもそも優先道路とは?
一時停止規制がある場合に、規制がない方の道路が優先道路だと勘違いしている人がいます。
しかし、優先道路については、道路交通法36条2項が以下のとおり定めています。
つまり、優先道路かどうかは、道路標識で示されている場合、優先道路の中央線が交差点まで入り込んでいるかどうかで判断されます。
それでは中央線が消えかかっている場合はどうなるでしょうか?
大阪地裁令和3年1月29日判決は、「東西道路が優先道路であるものの,中央線が摩耗していたことにより,それを認識し難い状態にあったこと」を踏まえ、ほぼ一時停止規制がある場合の過失割合に準じて判断をしています。
このように、優先道路としてわかる状況であることが優先道路としての過失割合判断がなされる前提と言えるでしょう。
3 積雪等の事情で優先性が不明であるときの過失割合
上述のとおり、優先道路かどうかは、中央線の有無等で判断されます。
しかし、積雪などのため中央線が見えない場合はどう考えるべきでしょうか?
この点、旭川地裁令和5年3月16日判決は、
・路面の積雪で中央線が確認できなかった
・道路の幅員は6・8と6・4でその差がほとんどなかった
・道路脇に雪があったので幅員の判断が困難であった
・一時停止標識も積雪のため確認できなかった
などの事情を前提に、非優先車線走行車両について、優先関係を認識しなかった点の過失はなかったとしました。
ただし、この事例は、幅員の差がほとんどない事例についてのものであり、幅員の差が大きい場合、中央線がみえないとしても、優先関係を認識しなかった点に過失が認められうる、つまりそれが過失割合に反映しうることに注意が必要です。
4 新潟で交通事故のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)へ
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
もご参照ください。
さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。