執筆者 新潟県弁護士会所属 弁護士齋藤裕(2019年新潟県弁護士会会長、2023年日弁連副会長)
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1 割増賃金・残業代の請求はお任せください
1 割増賃金・残業代の請求はお任せください
新潟の残業代・割増賃金請求は弁護士齋藤裕にお任せください
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
夜間・土日のお問合せは電話050-5572-2908 (朝6時から夜9時)か、メール(365日24時間ご利用いただけます)にお願いします。
一日8時間などの法定の労働時間を超えて労働をした場合には、時間外労働として25パーセントの割増賃金、休日労働については35パーセントの割増賃金、午後10時から午前5時までの深夜労働については25パーセントの割増賃金が発生します。
1ケ月60時間を超える時間外労働の割増賃金は50パーセントとなります
2 さいとうゆたか法律事務所の弁護士費用
初回相談料は0円です。
交渉の着手金は5万5000円・報酬は得られたお金の11%ですが、証拠等がしっかりしている場合には着手金0円・報酬22%とすることができる場合があります。
訴訟の着手金は22万円、報酬は得られたお金の22%となります。
3 割増賃金・残業代と時効
割増賃金は3年で時効となります。ですから早めに請求することが必要です。
時効が差し迫っているときは、とりあえず文書で請求をすると6ケ月時効の完成が延長されるので、その間に裁判などを提訴することになります。
4 割増賃金が生じない例外的場合
割増賃金の請求に対し、使用者側が、当該労働者が管理監督者であったなどとして割増賃金が発生しないと主張することもあります。
しかし、単に管理職であるからといって割増賃金が発生しないことにはならず、管理職でも割増賃金が発生する場合が多くあります。
管理職であるがために割増賃金をもらっていない方は是非ともご相談ください。
5 タクシー運転手の残業代についての最高裁判決
令和2年3月30日最高裁第一小法廷判決は、タクシー運転手の残業代についての判断を示しています。
この最高裁判決は、歩合給の計算にあたり、売上高の一定割合に相当する金額から割増金(残業手当)に相当する金額を控除することを定めるタクシー会社の賃金規則の効力について判断を示しました。
判決は、以下のとおりの判断を示しました。
「本件賃金規則の定める上記の仕組みは、その実質において、出来高払制の下で元来は歩合給(1)として支払うことが予定されている賃金を、時間外労働等がある場合には、その一部につき名目のみを割増金に置き換えて支払うものというべきである」
「そうすると、本件賃金規則における割増金は、その一部に時間外労働等に対する対価として支払われるものが含まれているとしても、通常の労働時間の賃金である歩合給(1)として支払われるべき部分を相当程度含んでいるものと解さざるを得ない。そして、割増金として支払われる賃金のうちどの部分が時間外労働等に対する対価に当たるかは明らかでないから、本件賃金規則における賃金の定めにつき、通常の労働時間の賃金に当たる部分と労働基準法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することはできないこととなる」
「したがって、被上告人の上告人らに対する割増賃金の支払により、労働基準法37条の定める割増賃金が支払われたということはできない」
また、割増金については、通常の労働時間の賃金として扱われ、割増賃金額計算の算定根拠に組み入れられることも示されました。参照:タクシー運転手の残業代についての判例
最高裁の立場では、割増賃金として取り扱われるのは、通常の労働時間の賃金と判別することができるものとされてきました。
そのため、今回の最高裁判決は、割増賃金が発生すると歩合給が減るというような、つまり割増賃金と歩合給との境界が不明確になるような場合には、全体として割増賃金の支払があったとはいえないとしたものであり、従来の最高裁の立場の延長にあるものと理解できます。
いずれにせよ、同様の賃金形態をとっているタクシー会社においては大きな影響を持つ最高裁判決といえます。
6 残業代を裏付ける証拠
残業代の請求には、タイムカード、パソコンのログ、業務日誌などの残業時間を裏付ける証拠が必要です。
しかし、客観証拠がなくとも残業時間が認定されることがあります。
福岡地裁令和1年9月10日判決は、特別養護老人ホームの職員の残業代が争われた事件についての判決です。
この事案では、労働時間を裏付ける客観証拠に乏しく、労働者の供述を主な根拠として労働時間の認定がなされています。
同判決は、「原告がショートステイサービス部門在籍中、所定の終業時刻後にショートステイサービス部門に移動してきた併用者への対応を要したことは合理的に推認することができる。また、原告が各部門在勤中の業務として日々作成すべき書類等を日中の所定労働時間内に利用者のケアをしながら並行して作成することは、安全や衛生に相当の配慮をしつつ多数の利用者に順次対応するという介護業務の性質に照らし、困難であることも想定されるところであり、サービスの提供が終了した後にまとめて書類作成等の業務を行い、そのために上記主張程度の時間を要していたとの原告の供述は合理性がある」としています。
つまり、業務の性質や量等を裏付けとして、労働者の労働時間についての供述の信用性を肯定しているわけです。
津地裁令和5年3月23日判決も、浴場清掃にかかった時間の労働時間について、浴場の規模、清掃従事人数等も踏まえ労働時間を認定しています。
ですから、労働時間についての客観証拠がなくとも労働者主張の労働時間が肯定されることもありえます。
しかし、同判決も、「原告の残業時間に関する供述は、感覚的ないし印象的な側面が存するようにうかがわれ、さほどの業務量が存していたのかも十分には立証されているとはいえず、日によっては定時に帰宅することもあったと考えられることなどからすれば、その日々の残業時間は、原告が主張するよりも控えめに見ざるを得ない」としているところです。
やはりメモやGPS記録等の記録があるとないとでは全然違いますので、できるだけ残業時間については記録を取っておくべきです。
7 使用者が労働時間を管理していなかった場合の取扱い
使用者が客観証拠によって労働時間を管理していなかった場合、労働者にとっては労働時間の立証が困難ということになります。
だから労働時間を認定しないということではなく、裁判所は、使用者が労働時間を管理していなかった場合、労働者の主張する労働時間に客観的根拠がなくとも認定する傾向にあります。
例えば、津地裁令和5年3月23日判決は、「実作業時間を具体的かつ、明確に認めるに足りる証拠はないが、これは、本件会社において、原告が就業規則上の「管理職」に該当するものと取り扱っていたことから、時間外労働を把握する必要と認めていなかったことに起因するとも考えられるから、およそ仮眠時間の労働時間性について立証ができていないとすることはできない」として、労働者の行うべき業務から労働時間を認定しているところです。
このように、使用者の怠慢により労働時間の認定が難しいケースでは、労働時間立証のハードルが下がります。
労働安全衛生法66条の8の3,労働安全衛生規則52条の7の3で使用者は労働時間を客観的に把握する義務を負います。
その義務を果たさなかった場合に、労働時間の立証の上で使用者が不利益を被るのはやむを得ないと言えるでしょう。
8 新潟で割増賃金・残業代の請求は弁護士齋藤裕へ
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