
1 交通事故による休業損害
交通事故で傷害を負い、仕事ができなくなった場合、休業損害の賠償がされることがあります。
後遺障害が残った場合、労働能力が喪失したことについて逸失利益の賠償がなされます。
これに対し、休業損害については、後遺障害が残る前、症状固定前の収入減少が対象となります。
客観的に業務はできる状態であっても、勤務先が安全確保の観点から休業させたような場合も休業損害の対象となります。医学的には復職できるものの会社判断で復職できなかった場合の休業損害をご参照ください。
休業損害は、事故に起因して休業したと認められる関係があれば認められ、事故のために傷害を負う等していない人についても認められる余地はあります。
被害者が亡くなって葬儀等のために休業した場合、被害者が亡くなって遺族が悲しみのために休業した場合(1・2月)について休業損害を認めた事例もあります。
大阪地裁令和4年2月18日判決は、家事育児を平等に分担していた夫婦の一方が事故死し、約3ケ月半後に育児休業が明け職場復帰が予定されていたものの、他方配偶者の受けた精神的衝撃が大きかったこと、発達課題のある子も含めた3人の子を養育しなければならなかったことから、他方配偶者が職場復帰を延期したという事案について、「本件事故から,予定されていた職場復帰の時期までには約3か月半の期間があり一定の時間的猶予があったこと,損害賠償の問題については,早期に弁護士に委任することで負担を軽減することができること,一般に,配偶者のいない母親が小さな子ら3人を養育しつつ働いている者もいることからすると,原告X1が,予定されていた時期に職場復帰をすることは,決して容易ではないが不可能ではないと考えられる。」として休業損害を認めませんでした。ただし、そのような事情は慰謝料において考慮されています。
2 給与所得者の休業損害
給与所得者については、事故前の収入と比較して収入が減少した分について休業損害が認められます。
事故時点後の昇給などが確実だったといえる場合には、昇給後の給与額を基準に休業損害が認められます。
退職金に影響がある場合、その減額分を休業損害として認める事例もあります。
治療などのために有給休暇を取得した場合、その部分も休業損害の対象となります。
被害者が傷害のため退職したような場合、退職後についても休業損害が認められます。
もご参照ください。
3 自営業者の休業損害
自営業者についても、事故前の収入と比較して収入減少があった分について休業損害の対象となります。
自営業者については、確定申告書などをもとに事故前の収入を認定することが多いです。
この確定申告書の記載が実際より過少な場合、裁判所は中々確定申告書の記載を超える金額を前提とした休業損害を認めません。収入を示すものがない被害者の休業損害をご参照ください。
しかし、確定申告書の記載を超える収入があったことを裏付ける証拠などがある場合には、確定申告書の記載を超える金額を前提とした休業損害が認められることもあります。
自営業者については確定申告書の所得金額を基礎として休業損害が算定されます。
それに休業中支出をせざるを得なかった経費分を足して計算をすることになります。
をご参照ください。
もご参照ください。
4 その他の休業損害
会社役員については、報酬のうち、労務提供の対価部分を基準として休業損害の計算をすることになります。会社役員と休業損害をご参照ください。
対価部分については、現場仕事を実際にしているかどうか、報酬額がどの程度かなどにより決まってきます。
家事従事者については、賃金センサスという統計を基準として休業損害が算定されることになります。主婦・主夫の休業損害をご参照ください。
パートなどに従事している主婦については、パート収入と賃金センサスの数値と大きい方を基準に休業損害の計算がされることになります。
無職であった人でも、事故がなかった場合の就労の可能性があったようなときには休業損害が認められることがありえます。
休職活動中であったかどうかが重要な要素となります。
5 新潟で交通事故のご相談は弁護士齋藤裕へ
交通事故でお悩みの方は弁護士齋藤裕にご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
もご参照ください。
さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。