不貞・不倫のお悩みは新潟県の弁護士齋藤裕へ 【秘密厳守】【初回相談料無料】

離婚問題

執筆:新潟県弁護士会所属 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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以下、不倫・不貞について、

1 不倫・不貞はどう違う?

2 不倫・不貞の証拠

3 不倫・不貞と離婚との関係

4 慰謝料請求との関係

5 枕営業と不貞、不倫

6 単身赴任によって婚姻関係が破綻し、不倫・不貞とならない場合があるか?

7 不倫・不貞と故意・過失

8 不倫相手が離婚について賠償責任を負わないこと

9 不貞とGPS調査

10 LINEのやりとりが不倫・不貞となる?LINEのやりとりが不倫・不貞の証拠になる?

11 興信所の費用を請求できるのか?

の順でご説明しますので、ご参考にしてみてください。

1 不貞・不倫はどう違う?

不貞・不倫は離婚や慰謝料の理由となることがあり、重要な概念です。

浮気現場を見つけた人のイラスト(女性)

東京地裁平成28年11月30日判決は以下のとおり述べます。

「「不倫関係」とは男女関係が人の道に外れている関係,「不貞」とは貞操を守らないこと(配偶者のある者が配偶者以外の者と肉体関係を結ぶこと)という意味で用いる。」

つまり、不貞とは婚姻関係にある者が第三者と性行為を行うことを指し、不倫はそれを含みつつより広い関係を指すとしています。

しかし、多くの裁判例は、不貞と不倫を特に区別することなく、性行為があった場合を指しているように見えます。

キスは不貞には該当しないというのが基本かと思います(キスは認めつつ不貞を認めなかった事例として東京地裁平成17年3月25日判決など)。

少数の裁判例は、性行為以外の性交類似行為があった場合も含め不貞・不倫としています。ですからキスが不倫とされる可能性も否定はできません。

結婚関係があるとしても、長期間別居するなどして婚姻関係が破綻している場合には不倫・不貞は成立しません。

婚約関係・内縁関係にある場合にも不倫・不貞は成立します。

LGBTの内縁のカップルにおいても不倫・不貞は成立します。

2 不倫・不貞の証拠

こっそりシュレッダーを使う人のイラスト

不倫・不貞については否認されることも多いので、証拠集めが重要です。

証拠集めとしては、家に出入りして一夜過ごしたことが分かる写真など、ラブホテルに出入りしたことが分かる写真など、不貞関係を示すLineやメールなどが典型的なものです。

異性同士が一つ屋根の下一定時間を過ごすというのも不貞を推認する事情となります。

しかし、どちらかの自宅に一定時間いたというだけでは中々不貞の認定がされないのが現実です。

以下、裁判例を見ていきます。

目次

仕事をしていたという弁解を認め不倫を認めなかった裁判例

合鍵を持っている関係でも不倫を認めなかった裁判例

ハートマークの絵文字のメールがあっても不倫を否定した裁判例

仕事をしていたという弁解を認め不倫を認めなかった裁判例

しかし、東京地裁平成28年10月4日判決は、妻が男性の家に相当時間いたにも関わらず、不貞を認めませんでした。

この事案では、妻が男性と手をつないで歩いたりする様子が明らかとなっています。

しかし、裁判所は、以下のとおり述べ、それは不貞を示すものではないとします。

Aが原告宅から転居した後の平成27年7月17日,Aは被告とともに台東区松が谷のかっぱ橋道具街にある容器販売店「竹本容器」に行った際,被告がAと楽しげに会話しながら,Aの臀部や腰部に右手を回したり,Aと手をつないだりしながら歩行したことが認められ,被告とAが相当親密な様子であったものということができる。」
「しかしながら,被告らが上記販売店に行ったのは化粧品を充てんする容器を探す目的であるし(被告本人),被告らが新たな事業の準備の過程で気分が高揚したり,被告が従前から従事していた派遣ホストの所作をしたりした結果,かかる相当親密な態度に出たものともみることができる。
そうすると,被告らのかかる態度をもって,被告らの不貞行為の事実まで推認することは困難である

また、同判決は、以下のとおり、妻が男性宅に滞在したことも不貞を推認させるものではないとします。

被告及びAは遅くとも同日午後7時半ころ,被告の自宅に一緒に戻ったが,午後9時半ころ,被告の自宅のバルコニー脇の部屋や玄関ドア隣の窓付近の照明が暗かったりしたことがあったこと,③Aは同日午後10時すぎころ,被告の自宅から退出して近所のカフェに行き,被告とともに食事をしてから同日午後11時すぎに帰宅したが,上記カフェを出る際に被告と手をつないで歩いたりして相当親密な様子であったこと,④Aは,翌12日も,午後1時前ころから午後1時半すぎころまでの間は被告の自宅で,午後2時前ころから午後4時前ころまでの間はAの自宅で,合計2時間半程度を被告とともに過ごしたが,午後2時前ころにはブラウスとスカートであったAの服装が,自宅内で着替え,午後4時前ころにはワンピースに変わっていたことがそれぞれ認められる。
証拠によれば,被告とAとは,同月11日,12日の両日,被告の自宅で,サンプルの成分や包装に関して打合せを行ったり,Aが持参したサンプルのテストをしたりした事実が認められる。」
これらの事実から被告とAが肉体関係を持った事実を推認するのは困難であり,原告の主張は推測の域を出るものではないといわざるをえない。

気分が高揚したから手をつないだというのは、ややこじつけの感があり、手をつなぐなどしたことはかなり親密な関係にあったことを示すと考えられます。

その上で、妻が男性の家に深夜も含め滞在していたことは不貞を推認させるようにも思われ、判決の結論には疑問もあります。

合鍵を持っている関係でも不倫を認めなかった裁判例

東京地裁令和4年1月18日判決も、不貞相手宅の合鍵をもっていて、頻繁に不貞相手宅を訪問していたというケースについて、「自宅は日常生活の場であり,専ら性行為を行うことを目的とした場所などではないのであるから,補助参加人が被告の自宅を訪れて一定時間滞在したことのみをもって直ちに同人らが性行為に及んだとの事実が推認されるものではない。原告が問い質した際も,同人らは,補助参加人が被告の自宅に出入りするような関係にあったことを認めるにとどまっている。そうすると,仮に原告が主張する日時頃に補助参加人が被告の自宅に滞在していたのだとしても,当該事実のみをもって本件各不貞行為の全部または一部を認めることは困難といわざるを得」ないとして、不貞を認めませんでした。

合鍵を持つというのはかなり強い人間関係があることを示すものであり、そのような状況で不貞を認定しなかったことについては疑問が残ります。

ハートマークの絵文字のメールがあっても不倫を否定した裁判例

福岡地裁行橋支部平成30年3月13日判決は、男女がアパートで2人きりで時を過ごし、ハートマークの絵文字を付けて会いたいなどとのメールを送信したこと等の事情があっても、婚姻関係について相談するために話をしていたにすぎないとの主張に反する証拠はないとして、不貞を認めませんでした。

同判決の事案で不貞を認定する裁判所もあるでしょうが、周辺的な証拠が不足しているというところでしょう。

このほかに、肉体関係を示唆するようなラインのやりとりがある、部屋で何をしていたかについての弁解が不自然、より長い時間部屋に滞在していたなどの事情があると不貞が認定された可能性は高いと考えます。

不貞の立証については、総合的な証拠を検討して行う必要があるのです。

3 不倫と離婚との関係

離婚届を叩きつける人のイラスト(女性)

不貞・不倫があると、離婚の理由となります。

民法717条は以下のとおり定めています。

 「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。一 配偶者に不貞な行為があったとき。」
 しかし、不貞・不倫をした方の配偶者は、有責配偶者とされ、相手方配偶者に対し、原則離婚請求をすることができません。
 有責配偶者からの離婚請求については、別居期間がかなり長期間に及ぶ、未成熟子がいないため離婚を認めても過酷ではないなど要素を考慮し、離婚が認めらることはありますが、通常の場合よりかなり離婚のハードルが高くなります。
 離婚については、協議⇒離婚調停⇒離婚訴訟という流れで行うことが多いです。

4 慰謝料請求との関係

お金の入った袋のイラスト「円マーク」

目次

1 不倫・不貞は慰謝料の対象になる

2 不倫・不貞の相手方も慰謝料支払い義務を負う

3 不倫・不貞の慰謝料額

4 不倫・不貞の結果、離婚をしたこと自体の慰謝料

5 配偶者と不倫・不貞相手の賠償責任の関係

6 不倫・不貞の慰謝料の請求の仕方

7 不倫・不貞をしないという合意と違約金

1 不倫・不貞は慰謝料の対象になる

不貞・不倫があると慰謝料請求の対象となります。
金額は不貞・不倫期間、結婚年数、離婚したかどうかなどの要素で違ってきます。

2 不倫・不貞の相手方も慰謝料支払い義務を負う

不貞・不倫は1人ではできませんので、不貞・不倫をした相手方も慰謝料請求の対象となりえます。
ただし、不貞・不倫相手については、不貞・不倫をした配偶者が既婚者であるということを知らないこともありえます。
既婚者であることを知らず、かつ、そのことに過失もないような場合、不貞・不倫相手は賠償責任を負いません。
枕営業については不倫・不貞として慰謝料は認められないという裁判例もありますが、一般的ではないと思われます。

3 不倫・不貞の慰謝料額

目次

不倫・不貞の慰謝料額の基準

不貞期間、不貞回数と慰謝料額

不倫・不貞の慰謝料額の基準

不貞・不倫の慰謝料は、不貞・不倫回数、婚姻期間、子どもの有無、婚姻関係の破綻の程度、離婚をしたかどうか、不貞による妊娠の有無等によってかわってきます。
例えば、東京地裁令和2年8月4日判決は、以下のとおり、不貞により離婚となったこと、夫婦の婚姻期間、不貞期間、不貞の結果妊娠出産したこと、夫婦間で性交渉がなかったこと、子どもがいなかったことなどを踏まえ、慰謝料250万円を認めています。
不貞・不倫相手について賠償責任が認められても、不貞・不倫をした配偶者より慰謝料額は低くなりがちです。
これは不貞をしない義務を直接負っているのは配偶者だからです。

不貞期間、不貞回数と慰謝料額

不貞により慰謝料が請求される場合、不貞期間や不貞回数は慰謝料額算定の上で重要な要素です。

目次

不貞3回で慰謝料180万円の事例

不貞1回で慰謝料120万円の事例

不貞期間が長いと不貞回数は関係ないとした裁判例

不貞と興信所費用の請求

不貞3回で慰謝料180万円の事例

例えば、東京地裁平成28年3月25日判決は、以下のとおり述べ、不貞期間が短く、不貞回数も少ないことを考慮して慰謝料を算定しています。

「被告とAの不貞関係については,その期間が約1か月と比較的短く,不貞関係の回数も,3回とそれほど多くなかったこと,現時点で,原告とAの婚姻関係が維持されていることなどの事情を考慮しても,被告が原告に対して支払うべき慰謝料は,180万円が相当であ」る。

同判決では、被告において責任を免れるためAの名誉を毀損する虚偽の事実を告げるなどしており、そのため慰謝料額がやや高めとなっていますが、不貞期間が長く、不貞回数が多かったら、慰謝料がより高額となっていたものと思われます。

不貞1回で慰謝料120万円の事例

また、東京地裁平成20年6月18日判決は、不貞回数が一回であることを前提に、慰謝料額を120万円としています。

不貞回数が少ないことを理由に慰謝料額が低くなったと考えられます。

このように、慰謝料額を算定する上で、不貞期間、不貞回数が重要な要素であることは疑いの余地がありません。

他方、通常、不貞回数と不貞期間は比例しますが、必ずしも不貞期間と不貞回数が比例しない場合もありえます。

不貞期間が長いと不貞回数は関係ないとした裁判例

東京地裁平成28年11月25日判決で、被告側は、年に数回しか不貞をしておらず、慰謝料額が減額されるべきとの主張をしていたのに対し、裁判所は、不貞期間が長いため、慰謝料額は減額されないとしました。

「Aとの不貞行為があった回数が多くないことを慰謝料の減額事由として主張するが,仮に,被告の主張するように,同人とAとの不貞関係が平均して年数回程度であったとしても,原告は,被告とAの間の性交渉の回数ではなく,その関係が継続していた期間が長期間に渡っていたことによって,精神的苦痛を覚えていたことは明らかであるから,被告の上記主張は,採用できない。」

実際問題、長期間不貞行為がなされていた場合、不貞回数が年に数回だったか、数十回だったか、被害者側で立証するのは著しく困難です。

そうであれば、不貞期間だけで慰謝料額を算定し、不貞回数についてはさほど考慮しないという考え方にも合理性があると思われます。

不貞による損害賠償については、適切な賠償額を得るためには、不貞回数、不貞期間双方の適切な立証が不可欠だということです。

不貞と興信所費用の請求
慰謝料の他に興信所費用の一部を請求できることもあります。

不貞・不倫による慰謝料が500万円認められた事例

東京地裁平成19年7月27日判決は、以下のとおり述べて、離婚や婚姻関係破綻に至っていない事案において、不貞相手について、500万円の慰謝料を認めています。

「被告が,Aに原告という妻がいることを知りながら,Aと肉体関係を持つに至り,昭和60年ころ以降,Aが死亡するまでの約20年間もの長期間にわたり,Aが毎日被告宅に通うようなかたちでAとの関係を継続し,その間に被告はAが認知した2人の子ももうけていること,被告の住居は原告の自宅と同じ町内ないしは近隣であったこと,そうしたことから原告は愛人や隠し子がいるなどといった風評にも悩まされたとうかがわれることなどからすれば,原告は,多大な精神的苦痛を被ってきたものと認めることができる。」
「一方,A死亡に至るまで同人と原告との婚姻生活が破綻に至ったとは認められず,Aとの信頼関係を強調する原告の主張・供述からしても原告は,Aのことは宥恕しているものと解される。」
「慰謝料請求権のうち,本訴提起の日である平成18年8月11日から20年前である昭和61年8月11日より前の分は除斥期間の経過によりもはや行使し得ないものと解されることからすると,結局,原告に認容すべき慰謝料額としては,500万円が相当である。」

このように、不貞期間が20年という長期にわたること、2人の隠し子がいることが重要な要素とされ、500万円の慰謝料が認められています。

なお、20年より前の分は除斥期間として慰謝料額に反映していないことには留意すべきでしょう。

かなり長期間の不貞のケース、隠し子がいるようなケースでは、相場より高めの慰謝料が認められることがあることに注意が必要です

4 離婚をしたこと自体の慰謝料

不倫・不貞をした配偶者に対しては、不貞・不倫自体だけではなく、離婚したことについても慰謝料請求ができます(離婚と慰謝料についての記事をご参照ください)。
不貞・不倫相手は、離婚自体については賠償責任を負いません。

5 配偶者と不倫・不貞相手の賠償責任の関係

不貞・不倫をした配偶者と不貞・不倫相手両方が賠償責任を負う場合、両者は不真正連帯債務を負う関係に立ちます。
つまり、損害が200万円の場合、どちらかが100万を払うと、他方が払うべきは100万ということになります。
また、200万円を払った側は、他方に対し、通常は支払った金額の5割前後の求償請求をすることができます(求償についての記事をご参照ください)。

 6 慰謝料の請求の仕方

裁判長・裁判官のイラスト
慰謝料請求や求償金の請求は、弁護士が交渉して請求することができます。
交渉でも回収できない場合には訴訟を起こすことになります。
もご覧ください。

7 不貞・不倫をしないという合意と違約金

不貞・不倫があった場合に、今後の連絡や不貞について違約金を取り決めることもあり得ます。

5 枕営業と不貞、不倫

不貞があった場合、不貞相手は慰謝料支払い義務を負うのが原則です。

目次

枕営業は不法行為に該当しないとの裁判例

枕営業は不法行為に該当するとの裁判例

枕営業は不法行為に該当しないとの裁判例

ところが、東京地裁平成26年4月14日判決が、ホステスによる枕営業について、肉体関係があったとしても、それが婚姻共同生活の平和を害するとは言えず、不法行為には該当しないとの判断を示し、かつ、大々的に報道されるということがありました。

同判決は以下のとおり述べます。

「ソープランドに勤務する女性のような売春婦が対価を得て妻のある顧客と性交渉を行った場合には,当該性交渉は当該顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず,何ら婚姻共同生活の平和を害するものではないから,たとえそれが長年にわたり頻回に行われ,そのことを知った妻が不快感や嫌悪感を抱いて精神的苦痛を受けたとしても,当該妻に対する関係で,不法行為を構成するものではないと解される。」
「ところで,クラブのママやホステスが,自分を目当てとして定期的にクラブに通ってくれる優良顧客や,クラブが義務付けている同伴出勤に付き合ってくれる顧客を確保するために,様々な営業活動を行っており,その中には,顧客の明示的又は黙示的な要求に応じるなどして,当該顧客と性交渉をする「枕営業」と呼ばれる営業活動を行う者も少なからずいることは公知の事実である。」
「そうすると,クラブのママないしホステスが,顧客と性交渉を反復・継続したとしても,それが「枕営業」であると認められる場合には,売春婦の場合と同様に,顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず,何ら婚姻共同生活の平和を害するものではないから,そのことを知った妻が精神的苦痛を受けたとしても,当該妻に対する関係で,不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。」

しかし、その後、同判決に追随する判決は見られないようです。

枕営業は不法行為になるとの裁判例

むしろ、東京地裁平成30年1月31日判決は、以下のように述べて、枕営業でも不法行為になるとの判断を示しています。

「この行為が,仮に,いわゆる「枕営業」と称されるものであったとしても,被告が亡Aと不貞関係に及んだことを否定することができるものではないし,仮に,そのような動機から出た行為であったとしても,当該不貞行為が,亡Aの配偶者である原告に対する婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益に対する侵害行為に該当する以上,不法行為が成立するというべきである。」

よって、やや流動的な要素はあるものの、枕営業だから不貞にならないとの主張は通りにくいのが現状だといってようように思います。

6 単身赴任によって婚姻関係が破綻し、不倫・不貞とならない場合があるか?

夫婦の一方が、他の人と性的関係を持った場合には、不貞とされ、慰謝料が発生します。

しかし、夫婦が長年月別居している場合、婚姻関係が破綻しているとされ、夫婦の一方が他の人と性的関係を持っても不貞とはされないことがあります。

そこで、どのような場合に別居や婚姻関係破綻といえるかが問題ですが、特に単身赴任の場合には判断が難しい場合があります。

目次

家族間の交流があったので、単身赴任でも婚姻関係破綻とはいえないとした裁判例1

家族間の交流があったので、単身赴任でも婚姻関係破綻とはいえないとした裁判例2

住所も教えなかったために、単身赴任で婚姻関係が破綻したと認定した裁判例

家族間の交流があったので、単身赴任でも婚姻関係破綻とはいえないとした裁判例1

夫が単身赴任中に、別の女性と性的関係を持った事件に関する東京地裁平成30年1月29日判決は、以下のとおり述べて、単身赴任が長くなっても婚姻関係が破綻しているとは言えないとしました。

原告とAは,平成27年10月22日に原告がAの浮気を疑うメールを送信するまでは,原告が単身赴任や子育てについてのAに対する不満や苛立ちが高じて離婚に言及するなどの夫婦喧嘩が少なからずあったものの,実際に離婚に向けた話合いが行われて何らかの合意に至ったとの事情は認められず,かえって,間もなく従前どおりのメールのやり取りに戻り,平成26年には長女も誕生して,Aが山梨に赴いた際には子らを中心として家族の交流が保たれ,家計の管理方法についても変更がなかったことが認められるから,原告とAの婚姻関係が平成27年10月時点で既に破綻していたとの事実は認められないというべきである。また,原告とAは,仕事の都合によりAが単身赴任することに合意した上で婚姻関係を継続していたのであり,同居期間が約6か月間にすぎないことは夫婦関係の悪化を示すものとはいえないし,原告がAの単身赴任先を数回しか訪問しなかった点も,小さい子を同行することが困難との事情を考慮すれば,夫婦関係の悪化の兆候とは認めることができず

家族間の交流があったので、単身赴任でも婚姻関係破綻とはいえないとした裁判例2

また、

・東京地裁令和2年1月23日判決は、「妻と夫は,夫が単身赴任を開始(平成29年4月)してから平成31年2月まで,互いに連絡を取り合い,札幌や東京で会っていたことからすれば,妻及び夫の婚姻関係において,夫と不貞相手との不貞関係前に,離婚に発展するような問題はなかったと認められる。」、東京地裁平成29年12月12日判決は、「Aは,同年,香港に単身赴任したが,原告及び子供らはAを訪問して観光するなどしていたこと,Aが帰国した後も,原告との連絡や子供との交流状況に特段変化はなかったことなどを認めることができる。そうすると,Aと被告が不貞関係を持つに至ったときに原告とAの婚姻関係が破綻していたと評価することはできない。」として、単身赴任中の夫婦間の交流を理由に婚姻関係破綻を否認しました。

住所も教えなかったために、単身赴任で婚姻関係が破綻したと認定した裁判例

・東京地裁令和1年6月28日判決は、「夫が、単身赴任を口実に妻に居所を教えることなく生活するようになった」ことなどを理由に婚姻関係の破綻を認定しています。

このように、夫婦間の交流、離婚についての話がどの程度のレベルでされていたか、家計管理方法の変化などを考慮して婚姻関係の破綻の有無を判断していることが分かります。

単身赴任中の不貞については、このような判断要素で破綻の有無が判断されるのが通常かと思われます。

7 不貞・不倫と故意・過失と損害賠償責任

誰かと婚姻関係にある人と性行為をした場合、その人は不貞をしたとして慰謝料請求の対象となりえます。

しかし、不貞相手については、自分が性行為をしている相手が独身であると名乗っており、誰かと婚姻しているとは知らなかったということもあります。

そのような場合、自分が性行為をしている相手が独身である信じ、そのことについて過失がないとされれば、慰謝料支払い義務はありません。

自分が性行為をしている相手の結婚生活がすでに破綻していると信じ、そのことについて過失がない場合も同じです。

では、どのような場合に、独身であると信じていたとか、過失がなかったと認定されるのでしょうか。

目次

定期的に配偶者に会いに行っていたことから婚姻関係が破綻していない認識があったとした裁判例

不貞相手から婚姻関係が破綻していると聞いただけでは過失があるとした裁判例

自身も配偶者がいたことなどから婚姻関係の認識があったとした裁判例

定期的に配偶者に会いに行っていたことから婚姻関係が破綻していない認識があったとした裁判例

東京地方裁判所平成30年1月29日判決は、婚姻関係が破綻していたことについての認識の有無が争われた事件について以下のとおり判断をしています。

ここで「被告」がAと不貞をしており、その不貞相手Aの配偶者が「原告」となります。

「被告は,Aから原告と婚姻関係にあることや月に1回程度は山梨の原告のもとに行っていることを聞いていたこと,平成27年当時は被告にも配偶者がいたこと,被告が原告及び同行男性と面談した際,直ちに交渉を拒否して面談を終了しなかったことが認められるほか,被告とAの不貞関係に関する上記認定説示に係る各証拠があるにもかかわらず,なおも不合理な主張をして不貞行為自体を否認する態度を貫いていることも併せ考慮すれば,被告は,Aが原告と婚姻関係にあること及び同婚姻関係が破綻に至っていないことを知りながら,Aとの不貞行為に及んでいたと解するのが合理的であり,被告には,Aとの不貞行為につき故意があったと認めるのが相当である。」

ここでは、被告においてAが妻のところに定期的にいっていたことの認識があったこと、被告においてAとの関係をやましいものだととらえていたこと(原告らとの交渉を拒否したこと、不貞行為自体を否認していること)をもって婚姻関係が破綻していないことについて認識していたと認定しています。

これは形式的な婚姻関係があることが明らかであった事件であり、不貞が成立することが原則といえる状況について被告について認識していたため、比較的簡単な認定で認識が認められていると考えられます。

不貞相手から婚姻関係が破綻していると聞いただけでは過失があるとした裁判例

東京地裁平成28年1月27日判決も、以下のとおり述べて、不貞相手において婚姻関係破綻と認識していたことについて過失があったとし、損害賠償義務を認めました。

まず、同判決は、一応、婚姻関係破綻の認識があったとします。

しかし、以下のとおり述べて、請求者の配偶者(交際相手)からの話や噂話のみに基づき婚姻関係破綻と認識していたとして、過失があったものとしました。

「被告が原告とAとの間の婚姻関係が破綻していると信じるに至ったのは,交際しようとしているAや,Aから話を聞いたというその友人から聞いたことだけが基本となっている(なお,被告は,平成23年11月11日に弁護士がAに対し原告とAとの間の婚姻関係が破綻していると話しているのを聞いたと主張するものの,そのような事実が認められないことは上述したとおりである。)のであるから,被告が原告とAとの間の夫婦関係が破綻していると信じたことについてやむを得ないものであったとは認められない。」

ただし、請求者と配偶者との間の離婚訴訟で離婚が棄却されてから、控訴審で離婚が認容されるに至るまでの間については、以下のとおり述べ、過失がなかったものとしました。

「もっとも,被告は,平成24年7月には,Aから離婚訴訟の第一審において原告とAとを離婚するという判決がされたということを聞かされていることが認められる。このことに照らすと,同年12月に控訴審において第一審判決を取り消してAによる離婚請求を棄却する判決がされ,それを被告が聞かされるまでの間については,被告が原告とAとの間の婚姻関係が破綻していたと信じ,またそのことについてやむを得ないものであったと認められる。」

婚姻関係が破綻していると思っていた旨の抗弁は、噂話や配偶者(交際相手)の話程度では裏付けられないという点に注意が必要です。

自身も配偶者がいたことなどから婚姻関係の認識があったとした裁判例

東京地裁令和5年3月7日判決は、ある時期以前における婚姻関係の認識について、

・不貞相手自身婚姻していたのに、原告の配偶者と不貞をしていたこと(原告の配偶者において婚姻関係を隠す動機に乏しい)

・転職を機に婚姻関係について話したという原告の配偶者の供述の不自然性

・不貞相手の婚姻関係についての認識時期について変遷があること

・不貞相手が本人尋問の期日に理由なく欠席したこと

・不貞相手において、婚姻関係を知ったとされるとき以降も、不貞相手と原告の配偶者が親密な内容のLineをしていること

から、不貞相手は、不貞行為の当初から、原告の配偶者が婚姻している事実を認識していたと考えるのが自然であるとしました。

このように、事実経過に即して丁寧に不貞相手の供述等の信用性を吟味することが重要となります。

8 不倫相手が離婚について賠償責任を負わないこと

目次

1 不倫をめぐる新しいルール

2 不貞相手への慰謝料請求において離婚は慰藉料額算定で考慮されないのか?

1 不倫をめぐる新しいルール

最高裁が、不倫相手に対する慰謝料についての判決を平成31年2月19日に言い渡しました。

これは、妻が不倫をし、その後それをきっかけに夫婦が離婚したので、離婚後に夫が不倫相手に慰謝料請求をしたところ、請求時点で不倫を知ってから3年以上経過していたという事案です。

この事件では、地裁、高裁とも慰謝料請求を認めていました。

不貞により離婚し、その離婚を損害として慰謝料請求する場合、不貞をした配偶者との関係では、離婚時から3年の時効が進行するというのが争いのない扱いです。

これに対し、不貞相手については、離婚時から3年で時効になるという裁判例が多いものの、不貞をした配偶者とは扱いが違うこともありうるという見解もありました。

離婚は不貞の結果生じた損害です。

ですから、離婚により損害が生じたときから時効が進行する、不貞相手についても同様である、という見解は十分ありえます。

しかし、不貞相手にとって、不貞配偶者らが離婚するかどうかは関与できない問題であり、予測可能性がありません。

ですから、不貞相手からして、不貞(あるいは被害者である配偶者が不貞を知ってから)から長期間経過した後に離婚となるかどうかは想定しづらいともいえます。

ですから、不貞から長期間経過後の離婚という損害は不貞相手にとって予測可能性がなく、責任を負わせることができない、よって不貞相手との関係で離婚の時点から時効をスタートさせるのは許されない、被害者である配偶者が不貞を知ってから3年経過すれば慰謝料債権は時効となる、という考え方もありうるように思います。

最高裁は「夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対して,上記特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当である」としました。

離婚にともなう慰謝料を請求できないのですから、離婚時からではなく、不倫を知った時から時効が進行することになります。

今後、不貞の慰謝料を請求するとき、不貞を知ってから3年以内に慰謝料請求をしないと時効消滅するので注意が必要です。

参照:不貞相手が離婚について慰謝料支払義務を負わないとする最高裁判例

2 不貞相手への慰謝料請求において離婚は慰藉料額算定で考慮されないのか?

なお、不倫相手に慰謝料請求をする際、従来、不倫の結果、離婚したかどうかが慰謝料額を定める上で重要な要素とされてきました。

この点、最高裁判決はどのような変化をもたらすでしょうか?

東京地裁令和2年10月7日判決は、以下のとおり述べ、離婚自体は慰謝料額に影響しないとしています。

「本件の不貞行為が原因でAと反訴原告が離婚に至ったという主張は,本件の不貞行為が反訴原告に与えた衝撃が,離婚を決意させるほどに大きなものであったという意味において,不貞行為に伴う慰謝料額を定めるにあたって考慮事由となり得るものである。しかし,離婚をしたこと自体や,離婚をしたことによって反訴原告に生じた様々な変化,負担は,正に離婚に伴う影響であるから,離婚に伴う慰謝料額を定めるに当たり考慮事由となることはともかく,不貞行為に伴う慰謝料額を定めるに当たり考慮すべき事情ではない。」

現実には離婚自体が慰謝料額に反映するという扱いをする裁判所も多いように思います。

現時点では両方の考え方が存在しており、また慰謝料額にどの程度反映するかについても固まった見解はないと言えるでしょう。

9  不貞とGPS調査

1 GPSによる不倫調査がストーカーに該当するか

最近ではGPSにより不貞・不倫の調査を行う方も増えており、その調査結果が不貞・不倫の認定の上で重要な証拠となることもあります。

これまで、GPSの利用などがストーカーとして検挙されることもありました。

例えば、福岡高裁平成29年9月22日判決は、以下のとおり、GPSを利用して不倫調査をした件についてストーカー規正法違反となるとしました。

この件では、被告人は、GPS調査の調査結果を利用して、被害者の自動車に張り紙を貼ったり、不貞関係の解消とは関係ない事項も含めて被害者に監視している旨を伝えたり、義務のないことを要求するなどしていました。

裁判所はこのような事実関係の上で、GPS調査に、ストーカー規制法2条が定める「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」があるとしました。

また、「行為の性質上,身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法(ストーカー規制法2条2項,以下,「不安方法」という。)によるものである」として、ストーカー規制法2条2項の要件も満たすとしました。

さらに、同判決は、不貞調査目的だからといってストーカー規正法による処罰対象から外れることにはならないとしました。

このように、不貞調査であるとしても、後述する改正ストーカー規制法施行後は、ストーカー規制法での規制対象となることはありえます。

2 2021年5月18日のストーカー規制法改正の影響

ところで、上記福岡高裁判決について、最高裁令和2年7月30日判決は、GPSでの監視はストーカー規制法で禁止された「見張り」には該当しないとの判断を示していました。

しかし、2021年5月18日、位置情報無承諾取得等をストーカー規制法の対象とする法改正が成立しています。

よって、最高裁判決にかかわらず、改正ストーカー規制法施行後にはGPS調査がストーカー規制法の対象となることはありうることになります。

ただし、不貞調査のためGPS調査が必要であり、かつ、その調査結果を目的外利用していないような場合においては、ストーカー規制法2条の要件を満たさず、ストーカーとはされないと考えられます。

10 LINEやメールでのやりとりが不貞・不倫になるか?、不倫・不貞の証拠になるか?

目次

1   LINEやメールでのやりとりが不貞・不倫になるか?

2 LINEやメールだけで不貞が認定されるか?

1   LINEやメールでのやりとりが不貞・不倫になるか?

不貞・不倫とは、婚姻関係にある人が配偶者以外の人と性行為を行うことを指すと解釈するのが一般です。

ですから、SNSやメール、電話で卑猥なやりとりをしても不貞・不倫には該当しませんし、損害賠償の対象とはならないことが大原則です。

しかし、東京地裁平成29年9月26日判決は、LINEでのやりとりが不貞に準ずるものだとして、損害賠償を命じています。

同判決は、以下のとおり述べます。

「被告Y1が,Aとの間で,平成27年2月26日から翌日にかけて,LINEで別紙記載の内容を含むやり取りをしたことは争いがなく,その前後の部分(甲2の1)も併せてみると,やり取り①は,その内容からして,被告Y1とAが,従前,性的関係を有していたことを前提として,性的行為の内容を露骨に記載して性交渉を求めるものであり,やり取り②は,前日のやり取り①も踏まえると,被告Y1が,Aに対し,性交渉を求めるものであると認められる。
そして,上記のように,従前,性的関係を有していたことを前提として,性的行為の内容を露骨に記載して性交渉を求めることは,不貞行為には該当しないものの,その記載内容にも照らすと,これに準ずるものとして,社会的に許容される範囲を逸脱するものといえ,婚姻関係の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害するものであるというべきであるから,被告Y1の上記行為は,原告に対する不法行為を構成すると認められる。」

つまり、以前、被告と原告の配偶者が性的関係を持ってきたことを前提に、性的行為の内容を露骨に記載して性交渉を求める行為については不貞に準ずるものであり、損害賠償の対象となるとしています(不貞行為そのものではないこと、密行的に行われるものであることから、30万円の慰謝料が認められています)。

他方、以前性行為がなかった被告との関係では、恋愛感情を示したり、面会を求めるメールについて不貞に準ずるものとはされませんでした。

ここからすると、ⅰ 以前性的関係があった者同士のメールであること、ⅱ それを踏まえ、露骨に性的関係を求めるメールであること、の2要件を満たす場合には、不貞に準ずるという判断がなされる可能性があるということになります。

しかし、ⅰとⅱのどちらかだけである場合にどのような判断がなされるのか、不明な点が残るといえるでしょう。

2 LINEやメールだけで不貞が認定されるか?

それでは、LINEやメール自体を不貞とは言えないとして、LINEやメールだけで性行為=不貞を推認させる証拠となるでしょうか?

この点、東京地裁令和3年1月27日判決は、メール上において、渋谷で会う約束をしていた、「心から愛し合って」、「いとおしく思っている」等のやりとりをしていた事例において、メールから親密な関係にあったこと、会うこともあったことまでは認定できても、不貞関係までは認定できないとしています。

例えば、メールに性行為をしたことが記載されていれば、メールだけから不貞が認定される場合はあるでしょう。

あるいは、メールで親密な関係があることが推認され、かつ、2人がアパートの一室などで数時間過ごしていた事実が認められるのであれば、やはり不貞が認定される場合はあるでしょう。

しかし、メールだけで不貞が認定されるケースはさほど多くはないと考えられます。

11 不倫調査のための興信所・探偵の費用と損害賠償

不貞・不倫は密室でなされます。

そのため、不貞・不倫を立証するため、興信所・探偵に依頼することもあります。

この費用については、全額損害賠償として認められることはあまりありません。

目次

129万円中10万円の興信所費用を賠償対象とした裁判例

162万円中30万円の興信所費用を賠償対象とした裁判例

興信所費用について全く賠償の対象としなかった裁判例

129万円中10万円の興信所費用を賠償対象とした裁判例

東京地裁平成28年10月27日判決は、以下のとおり、興信所費用の一部についてのみ賠償対象として認めました。

原告は,調査会社に支払った調査費用129万6000円(消費税込み)についても本件の損害である旨主張する。
そこで検討するに,本件訴訟における被告の応訴内容からすると,調査会社による調査の必要性自体は否定できないが,調査結果は立証方法の一つにすぎないこと,原告は,本件訴訟において書証として提出されている調査報告書に係るもの以外にも複数回の調査を調査会社に依頼しており(原告本人),調査の全てにつきその必要性があったか否かは明らかでないこと,調査内容は,基本的には被告の行動を調査して書面により原告に報告するというものであり,そこまで専門性の高い調査とはいえないことなどに照らすと,上記調査費用のうち,10万円について,被告の不法行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

162万円中30万円の興信所費用を賠償対象とした裁判例

東京地裁令和4年2月16日判決も、以下のとおり、興信所費用の一部の賠償のみ認めました。

Aは原告との別居に当たって被告の存在を隠していたところ,原告は,Aの浮気を疑って興信所にAの行動調査を依頼したこと,興信所の調査の結果,男性がAと二人で夜にA住居に入り翌朝に出ていく様子等が報告されたこと,原告は,興信所から受け取った本件報告書における上記男性の写真,勤務先,住居が入っているビルの名称及び所在地の情報を基にして当該男性が被告であること及び被告の住所を特定するに至ったことが認められる。
上記の経緯に照らすと,本件の被告の不貞行為につき原告が被告に損害賠償請求をするには,上記の興信所の調査が必要であったというべきである。もっとも,原告が興信所に支払った調査費用162万0400円は調査結果に照らして高額であることが否定できず,上記のうち30万円の限度で本件の被告の不貞行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

興信所費用について全く賠償の対象としなかった裁判例

東京地裁平成29年5月24日判決は、以下のとおり述べ、調査費用について全く賠償を認めませんでした。

原告は,興信所に調査を依頼している。しかし,被告が答弁書においてAとの性交渉を認めていることに照らすと,本件においては,興信所の調査費用は必ずしも支出しなければならなかったとはいえない。よって,興信所の調査費用は本件不法行為と相当因果関係があると認めるには足りない。

以上から、裁判所は、興信所の費用について、かなり厳密に必要性を検討する姿勢を示しています。

どの程度の証拠があれば不貞が認定されるのか、判決をもらってみないと何ともいえない部分もあります。

よって、必要性を厳密に考える裁判所の姿勢については疑問がないわけではありません。

また、必要性がある場合についても、興信所の費用が高額すぎるという前提で、金額を削ることもあります。

よって、不貞の調査のため、興信所に依頼する場合は、さまざまな既存の証拠だけでは不貞の立証ができないかどうか、きちんと検討してからの方がよいと思います。

そして、興信所の調査費用については、最終的には自分持ちになるリスクがあることも踏まえ依頼することが重要です。

12 新潟で不倫、不貞のお悩みは弁護士齋藤裕にご相談ください

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