
執筆者 新潟県弁護士会所属 弁護士齋藤裕(2019年新潟県弁護士会会長、2023年日弁連副会長)

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弁護士齋藤裕が以下離婚についてご説明します。
目次は、
です。
1 我が国の離婚手続き
目次
協議離婚
協議離婚
日本の場合、当事者が合意し、離婚届けが提出されれば離婚は成立します。これを協議離婚といいます。
なお、夫婦喧嘩の際に、双方が離婚届用紙に記載をし、それがそのまま提出されないまま長年月が過ぎるということがよくあります。
そのような場合、離婚届用紙には双方の署名等がなされているので、提出して良いかと聞かれることが良くあります。
しかし、長年月経過した場合、離婚の意思が継続しているのかどうか不明と言わざるを得ない場合が多いと思います。
ですから、法的責任を問われたり、トラブルとなることを防ぐという観点で、相手の許諾なく離婚届をするのは控えた方が良いと思います。
そのような場合は、改めて離婚意思を確認し、それでらちがあかない場合には離婚調停を申し立てるなどのことを検討すべきでしょう。
この点、東京地裁令和4年3月28日判決は、以下の事情において、妻の署名押印のある離婚届用紙により、作成の3日後に離婚届出をした夫について、妻の真意を確認することなくその届出をし、よって妻としての地位を不安定な状態にしたとして、その過失、ひいては不法行為の成立を認め、賠償責任を認めました。
・夫婦間で口論がなされ、その勢いの赴くまま、妻が離婚届用紙に署名押印した
・当事者間では事後の具体的な生活についての話し合いもなされていなかった
・離婚届用紙に署名した翌日、妻が、夫に、早く帰ってくるようにという、離婚の意思とはおよそ矛盾する言葉を発していた
この事例は、離婚届の作成後3日後に離婚届がなされたという事案についての判決です。
離婚届の作成後、離婚届もなされないまま長年月が経過したような場合、長年月が経過したとまでは言えないにしても同居を継続したり夫婦間の交流がそれなりに継続していたような場合には、離婚意思がなくなったことが推認され、勝手に離婚届をしたことについて不法行為責任を問われる、あるいは離婚確認訴訟等の法的トラブルに発展する可能性があると言わなくてはなりません。
離婚調停
協議が成立しない場合、どちらかが家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
調停は原則として相手方の居住地の家庭裁判所に申し立てることになります。
遠隔地の場合でも、電話等による調停が認められているので、毎回出頭しなければならないということはありません。
調停は、1~2ケ月に1回期日が開かれ、それぞれが調停委員2名から話を聞かれ、調停委員が調整をしていきます。
そこで離婚の合意が成立すれば、やはり離婚が成立することになります。
その場合には、裁判所が作成する調停調書を役所に持参し、離婚届をすることになります。
お金の支払いについて調停調書に記載されると、調停調書に基づき給料等の差し押さえが可能となる場合があります。
審判離婚
審判離婚が成立することもあります。
家事事件手続法284条は以下のとおり定めます。
このように、調停が成立しない場合に、家裁は審判をすることができます。その際、子の引き渡しや財産分与等について定めることもできます。
この審判に対しては2週間以内に異議を申し立てることができるとされています。異議が申し立てられると審判の効力は失われます。
異議が申し立てられない場合、審判は確定判決と同じ効力を有することになります。
このように審判は異議で効力を失うこととなりますので、それが原因で利用が低調だったとされます。
しかし、離婚調停をしていて、例えば離婚自体については合意が成立しているものの、細かい点で合意に達しないという場合があります。そのような場合でも、当事者らとしては、裁判所の判断が示された場合でもそれに従わないという気持ちまでは持っていないということもあります。
そのようなときに審判離婚を活用すれば、細かい点のためにわざわざ離婚訴訟を起こす必要もなく、当事者らの負担を軽減させることができます。
今後は審判離婚の活用について模索が続けられるべきだと思います。
離婚訴訟
離婚調停をしても離婚の合意ができない場合、離婚訴訟を起こすことになります。
離婚訴訟は自分の住んでいる地域の家庭裁判所に提訴することができます。
離婚訴訟では、双方が主張や証拠を出し合います。
事実関係に争いが残った場合、尋問をすることもあります。
この離婚訴訟の途中で、話し合いによる和解が成立し、離婚となることが多いです。
しかし、最後まで離婚の合意がなされない場合、判決となります。
判決で離婚が認められるためには、民法770条1項の定める事由の存在が必要となります。
2 離婚ができる理由
目次
民法が規定する離婚理由
民法が規定する離婚理由
民法770条1項は以下の場合に離婚ができるとしています。
1 配偶者に不貞な行為があったとき。
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(※2026年度施行の改正民法で削除予定)
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
不貞・不倫と離婚理由
1の不貞な行為とは、配偶者以外の者と性行為をすることを言います。
厳密には性交類似行為やキスなどは含まれないでしょうが、場合によってはそれが5号により離婚理由に該当することもあるでしょう。
5については、暴力や別居期間の長期化、ギャンブルなどが該当します。
ギャンブルと離婚理由
ギャンブルは離婚事由となるでしょうか?
この点、東京地裁平成16年11月8日判決は、以下のとおり述べ、ギャンブルを繰り返し、止めると言ったのに止めなかった場合について婚姻を継続しがたい重大な事由があり、離婚が認められるとしました。
「被告はこれまでギャンブルから足を洗うと何度も原告に誓いながら,結局誓いは守られなかったこと,②被告は,その本人尋問において,今後競馬をしないと言える根拠として,もう金を貸してくれる所もないからと述べるなど,改善の意志も強固とは窺われないことからすれば,被告の供述を信用することはできない。」
「よって,原・被告間の婚姻関係は,被告の責めによって破綻し,回復する事が不可能な状況にあるといえ,婚姻を継続し難い重大な事由があると認められる。」
このように、ギャンブルを繰り返し、かつ、止めることもできないような状況であれば、ギャンブルが離婚理由となる可能性があります。
離婚理由があっても離婚できない場合
民法770条1項の離婚理由があれば離婚ができるのが原則です。
しかし、同条2項は「裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができ」と定めます。
また、婚姻関係破綻について専ら責任がある配偶者からの離婚請求については信義誠実の原則から離婚が認められないとするのが判例です。
例えば、不貞行為をした配偶者が、他方配偶者に対して離婚請求をした場合、有責配偶者からの離婚請求として原則として離婚は認められません。
しかし、別居期間の長期化、未成熟子の不在、有責配偶者から他方配偶者への経済的配慮など事情があれば離婚が認められることもあります。
また、双方が有責であるような場合、有責配偶者からの離婚請求として離婚が認められないということはありません。
3 離婚とお金
離婚するまでの間、一方配偶者が他方配偶者に婚姻費用を請求できることがあります(婚姻費用をご参照ください)。
相手にDV,不貞などがあれば慰謝料請求ができます(慰謝料をご参照ください)。
離婚時に夫婦に財産があれば、財産分与がなされる可能性があります(財産分与をご参照ください)。
離婚後に子どもを育てる側の親は、他方に養育費を請求できます(養育費をご参照ください)。
厚生年金等については離婚時年金分割も可能です(離婚時年金分割をご参照ください)。
離婚と結納金もご参照ください。
4 離婚と子ども
離婚前後を問わず、非監護親は子どもと親子交流・面会交流することができるのが原則です(親子交流・面会交流をご参照ください)。
離婚時には親権を取り決める必要があります。
話し合いで決めることができない場合、裁判で決められます。
親権をご参照ください。
日本の家庭裁判所は現状尊重の傾向が強く、別居後に誰が子どもを監護するかが重要となります。
連れ去りがあったような場合、子どもの監護権を確保したい場合、子の引き渡しの仮処分・審判などの方法を検討すべきです(連れ去り、子どもの引き渡しをご参照ください)。
5 不倫
不倫があると、離婚理由となったり、慰謝料請求がなされたりします(不倫をご参照ください)。
不倫に基づく慰謝料請求は、不倫相手にも請求できますが、不倫相手が、自分が交際しているのが既婚者だと知らず、かつ、そのことについて落ち度もなかった場合には慰謝料請求できないことになります。
不倫が原因で離婚した場合には、離婚について慰謝料請求できます。
離婚をしない場合でも、不倫自体についての慰謝料請求をすることもできます。
配偶者に対する慰謝料請求は、不倫や加害者を知った時から3年ですが、離婚慰謝料の場合については離婚のときから3年となります。
しかし、不貞相手に対する慰謝料請求については、離婚をした場合でも、不倫や加害者を知ってから3年であり、離婚から3年とならないことに注意が必要です。
6 DV
DVは離婚理由となったり、慰謝料請求の対象となります。
DVがあると、被害者から住民票の秘匿を求めることができる場合があります。
被害者が申し立てた保護命令により接近禁止や家からの退出等が命じられることもあります(DVをご参照ください)。
DVについては、直後に写真をとっておく、すぐに受診する、日記につけるなどの対応をとり、証拠化することが重要です。
7 離婚と税金
目次
財産分与と税金
1 財産分与と税金
目次
財産分与と贈与税
財産分与と不動産取得税
財産分与と贈与税
清算的財産分与は、実質的には夫婦共有財産であったものを、離婚に伴い分けるものでしかありません。
ですから、贈与には当たらず、通常贈与税は課税されません。
しかし、財産分与としては説明できないような金額のお金等が行き来等する場合には、実質的には贈与とされ、贈与税が課税されることもありうるので注意が必要です。
財産分与と不動産取得税
不動産を取得する際の都道府県税として不動産取得税があります。
財産分与について、不動産取得税がかかるかどうかはケースバイケースということになります。
東京地裁昭和45年9月22日判決等は、実質的な共有財産を清算する趣旨での不動産の移転について不動産取得税は課税されないとしており、税務当局においても、結婚後、夫婦で住宅ローンを支払ってきたような不動産を清算的財産分与するために名義移転するような場合、不動産取得税を課税しないという扱いをするのが一般的です。
それ以外の場合には不動産取得税が課税される可能性があります(実際、私の方で、そのような事例を経験したことはありませんが)。
例えば、慰謝料や財産分与の支払等として、特有財産に該当する不動産(夫婦のどちらかが相続等により取得したり、結婚前に得たお金で購入したような不動産)の名義を他方配偶者に移転するような場合、不動産取得税が課税される可能性があります。
財産分与と譲渡所得税
不動産が購入時より増額したような場合、その不動産を財産分与することで譲渡所得税が課税されることがありえます。
ただし、少なくとも、実質的夫婦共有財産である不動産を分与した場合に譲渡所得税を課税することについては学説上の批判が強く、裁判で争った場合に課税が取り消される可能性もないとは言えません。
なお、現在の新潟県において、不動産の価格が目立って増額するということがほとんどないため、現実には課税されることはほとんどないと考えられます。
2 慰謝料と税金
慰謝料については税金は課税されません。
8 離婚と弁護士費用
以下はすべて消費税別です。
期間が延びたからといって着手金などを追加でいただくことはありません。
初回相談料 無料
離婚交渉 着手金11万円
報酬11万円(財産分与や慰謝料など経済的利益がある場合にはその11パーセントと11万円の大きい方)
離婚調停 着手金22万円
報酬22万円(財産分与や慰謝料など経済的利益がある場合にはその11パーセントと22万円の大きい方)
離婚訴訟 着手金22万円(調停から引き続き受任した場合の着手金は16万5000円)
報酬22万円(財産分与や慰謝料など経済的利益がある場合にはその11パーセントと22万円の大きい方)
面会交流調停・審判
着手金22万円
報酬22万円(離婚調停などとともに行う場合、着手金5万5000円、報酬5万5000円)
婚姻費用調停・審判
着手金22万円
報酬22万円(離婚調停などとともに行う場合、着手金5万5000円、報酬5万5000円)
子の引渡しの仮処分など
着手金22万円
報酬22万円
慰謝料交渉 着手金5万5000円
報酬11%
慰謝料訴訟 着手金22万円
報酬11%
例
離婚の交渉の依頼を受ける際には、まず11万円をいただきます。
その後、交渉が妥結せず、調停を起こしたらさらに16万5000円をいただきます。
調停の中で、相手方が慰謝料300万円を払うことになった場合、離婚調停の報酬22万円と、300万円の11パーセントである33万円を比較し、大きい方の33万円が報酬となります。
9 新潟で離婚のお悩みは弁護士齋藤裕へ
もご参照ください。
離婚・不倫でお悩みの方は弁護士齋藤裕にご相談ください。
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弁護士費用はこちらの記事をご参照ください。
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