
1 夫婦間の貸金と時効
お金を貸した場合、その貸金債権は10年で時効となります(会社が関わる案件では商法により5年。2020年4月1日に改正債権法が施行されたことから、同日以降に債権が発生した場合については債権者が権利を行使できることを知ったときから5年、あるいは権利を行使することができるときから10年で時効になります。会社が関わる案件では商法が適用されて5年で時効となります)。
夫婦間でお金の貸し借りをした場合にも基本的にはこのルールが適用されることになります。
そうはいっても、夫婦間では厳格に時効管理するわけではありません。
そこで杓子定規に時効の規定を適用してよいかどうか問題となります。
夫婦間については、民法159条により、婚姻解消のときから6ケ月は時効消滅しないとされています。
しかし、夫婦のどちらかが代表者を務める会社については、民法159条がそのままは適用されません。
そこで時効についてどのように考えるべきかが問題となります。
この点、福岡高等裁判所平成29年2月21日判決は、妻が夫が代表者を務める同族会社に貸金の返還を求める請求について、夫婦関係の継続中は事実上貸金の返済請求は困難だったなどとして、時効の成立を認めませんでした。
同判決では、貸金請求をされている妻が夫の同族会社の資金繰りに協力していたという事情も根拠としてあげています。
このように夫婦間の貸金については、それが会社の貸金である場合でも、必ずしも杓子定規に時効の規定が適用されるわけではありません。
しかし、福岡高裁判決は、借主の資金繰りに協力してきた同族企業に関する特例的な判断と解することができ、それなりの規模の会社には妥当しない可能性がありますし、同族企業であっても借主と会社との関係によっては妥当しない可能性があります。
よって、特に会社の貸金の場合には時効適用の危険性もありますので、夫婦関係が怪しくなってきたら債権の請求をしたり、承認を求めるなどの手立てを取った方がよいでしょう。
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