
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 結納金と婚約破棄
結納金は、結婚が成立することを予想し、授受する一種の贈与契約とされます(大審院大正6年2月28日判決)。
結納金の授受は婚約を推認する一要素です。
そして、婚約破棄がされた場合、結納は不当利得金として返還されるべきことになります。
2 結納金と離婚
他方、離婚の場合、通常結納金の返還義務はありません。
この点、広島高裁松江支部昭和38年7月17日判決は、以下のとおり述べ、離婚時における結納金の返還は必要ないとしています。
「控訴人X1と被控訴人が昭和三十五年四月十日結婚式を挙げて同棲し、同年五月十三日婚姻の届出をなし、同年十二月二十一日頃まで同居し、翌三十六年二月二十八日協議離婚をしたこと、控訴人X1が被控訴人に結納金五万円を交付したことは当事者間に争がない。元来結納は婚約の成立を確証し、併せて婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼を厚くする目的を以て授受される一種の贈与であるから、右のように挙式後八ケ月余も夫婦生活を続け、その間婚姻の届出も完了し、法律上の婚姻が成立した場合においては、すでにその目的を達したのであつて、たとえその後結納の受領者たる被控訴人からの申出により協議離婚をするに至つたとしても、被控訴人には右結納金を返還すべき義務はないと解すべきであり、これと異なる慣習の存在することを認むべき資料はない。したがつて控訴人X1の結納金返還の請求は失当である。」
同判決については、最高裁昭和39年9月4日判決が是認しているところです。参照:結納金の返還義務がないとした判例
ただし、両判決とも、結婚後8か月余も夫婦生活を続けていることをもって結納金返還の必要がないとしているところです。
ですから、例えば、結婚後数週間で事実上別居生活となったような場合に返還請求がなりたつ可能性は否定されません。
また、これは協議離婚のケースです。
例えば、結納金を受領した側の重大な不法行為により裁判離婚となったような場合についても結納金の返還請求がなりたつ可能性は否定されないと考えられます。
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