執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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1 別居中の夫婦における家財の引き渡し請求
別居中の夫婦において、家を出て行った側の配偶者が、他方配偶者に必要な物の引き渡しなどを求めても、引き渡しに応じてくれない場合があります。
最終的には離婚時の財産分与において解決されるとしても、当面の生活に必要な物を引き渡してくれない場合、どのような対応方法がありうるでしょうか?
2 別居中の夫婦間において動産の引き渡し請求を認めた裁判例
大阪高裁平成1年11月30日決定は、「別居中の夫婦であっても、また既に離婚訴訟が裁判所に係属していても、夫婦である限り原則として右規定にいう協力扶助の義務を免れることはできず、その一方は他の一方に対し事情に応じた協力扶助を求めることができるものと解するのが相当であるから、その一態様として、別居中の夫婦の一方が他の一方に対し生活上必要な衣類や日用品等の物件の引渡を求めた場合には、他の一方は自己の生活に必要でない限り、これに応じる義務を負うものといわなくてはならない。」としています。
つまり、家を出て行った側の生活に必要な物品については、他方配偶者の生活に必要ではない限りにおいて、引き渡し請求が認められるということです。
ちなみに、この裁判例の申立は家裁になされています。
これは、家裁が夫婦間の協力扶助の問題を取り扱う裁判所だからです。
しかし、引き渡しを求める物の中に自己の物が含まれている場合、所有権に基づく引き渡し請求ということで、地裁に申し立てを行うべきではないかという疑問がありえます。
この点、大阪高裁は、「別居中の夫婦の一方が他の一方に対して引渡を求める物件の中に自己の所有物件が含まれている場合、これについては民事訴訟法上の仮処分によってその引渡を求めることができるとしても、そのために右仮処分とは趣旨・目的を異にする家事審判法による審判前の保全処分が許されないものとする理由はない。」として、自己の物も含めて家裁に申し立てができると判断しました。
ですから、家に残してきた動産等については、原則として引き渡しを求める申立は家裁にすべきということになります。
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