野球部の練習中の事故についての賠償責任(新潟県の弁護士が解説する学校事故)

交通事故

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 野球部の練習中の事故と損害賠償(ノックした打球が生徒の頭部に当たった事例)

徳島地方裁判所平成26年3月24日判決は、県立高校の硬式野球部の練習中の事故について、県に賠償責任を認めました。

この事故は、シートノックの練習中、教諭である監督がノックした打球が生徒の頭部にぶつかり、傷害を負ったというものです。

まず、裁判所は、硬式野球で使用するボールの性状に照らせば、練習中に打球が選手の身体に衝突した場合に身体に傷害を与えるおそれがあることは硬式野球部の監督として当然認識していたはずであるとします。

そのうえで、ノックを打つ前に選手の動静を確認し、選手に注意をするとかノックを一時中止すべきであったのに、動静を確認しないままノックをしたのは注意義務違反であるとして、県に賠償責任を認めました。

具体的には以下のとおり述べています。

ライト方向にライナー性のノックをしようとしていたA監督としては,そのままノックを続ければ,ピッチャーマウンド付近にいる原告が一塁側のフィールド外に向かって全力疾走し,その結果,原告にノックの打球が衝突して原告が負傷するかもしれないことを予見することができたというべきであり,そのような立場にあるA監督として,ノックを打つ前に原告の方を見て原告の動静を確認し,原告が走り出そうとしているのであればノックを止めるか,原告が走ろうとするのを止めることも可能であったと認められるから,A監督は,ノックをする上で,原告の方を見て原告の動静を確認し,原告の状況によっては,原告に注意を喚起するかノックを一時中止して打球の衝突による危険を防止すべき注意義務を負っていたものというべきである。

しかし、「硬式野球で使用するボールとりわけ打球が身体に衝突した場合に身体に傷害を及ぼすこと(場合によっては生命の危険があること)については,監督のみならず硬式野球部に所属する高校生であれば当然認識していたというべき」であり、選手にも監督の動向に注意すべき義務があったとして、1割の過失相殺を行いました。

硬式野球という危険性の高い競技の部活では学校側に高い注意義務が認められるべきであり、穏当な判決かと思われます。

2 野球部の練習中の事故と損害賠償(打撃練習中の打ち返しのボールが打撃投手に当たった事例)

福岡地裁小倉支部令和4年1月20日判決も、県立高校の硬式野球部の練習中の事故について、県に賠償責任を認めました。

これは、打撃練習中に、打ち返されたボールが打撃投手に当たったという事例についての判決です。

判決は、顧問において、「打撃練習を行う際には、打撃投手を務める生徒の頭部にボールが直撃し、当該生徒の生命及び身体に危険が生じることがないよう投手用ヘッドギアを着用するよう指導すべき職務上の注意義務を負っていた」のに、その義務を認めなかったとして賠償責任を認めました。

そして、顧問の過失が大きいとして、被害者の過失は認めませんでした。

参照:野球部の練習中の事故の賠償責任についての判決

これも、硬式野球という危険性の高い競技における危険回避の必要性が高いことから穏当な判断と言えるでしょう。

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