執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
新潟で退学問題のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
1 学校の退学を迫られたらどうする?
報道によると、万引きを理由に自主退学をさせられたのは不当として鳥取県に損害賠償請求をしていた訴訟で、元生徒と鳥取県が和解し、校長が謝罪し、また、県が和解金を支払ったとのことです。
万引きに限らず高校や大学において、生徒が不祥事を起こした場合、退学を迫られることがあります。
そのような場合、どのように対応したらいいでしょうか?
学校からの退学処分の効力については、最高裁昭和49年7月19日判決が、以下のとおり判断を示しています。
「大学の学生に対する懲戒処分は、教育及び研究の施設としての大学の内部規律を維持し、教育目的を達成するために認められる自律作用であつて、懲戒権者たる学長が学生の行為に対して懲戒処分を発動するにあたり、その行為が懲戒に値いするものであるかどうか、また、懲戒処分のうちいずれの処分を選ぶべきかを決するについては、当該行為の軽重のほか、本人の性格及び平素の行状、右行為の他の学生に与える影響、懲戒処分の本人及び他の学生に及ぼす訓戒的効果、右行為を不問に付した場合の一般的影響等諸般の要素を考慮する必要があり、これらの点の判断は、学内の事情に通暁し直接教育の衝にあたるものの合理的な裁量に任すのでなければ、適切な結果を期しがたいことは、明らかである」
参照:退学処分についての判例
このように、退学処分については(特に私学については)、学校側に退学を命ずるについて広範な裁量があることが認められています。
ただし、同判決も、「当該事案の諸事情を総合的に観察して、その退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないような」退学処分については退学の効力が否定されるとしています。
実際、学校側が退学を求める事案の中には、到底退学処分をしても有効と認められないような場合もあります。
鳥取県の事例では、裁判所において、万引きを理由に退学処分をちらつかせて自主退学させたのは違法だとの心証を開示した可能性があります。
万引きは犯罪行為ですから常に退学処分が違法ということもないでしょうが、回数、経過、反省の程度、金額、従来の処分事例等の事情によっては退学処分が社会通念上合理性を認めがたく、違法という場合もあるでしょう。
ですから、詳細な事実関係が分からないと何とも言えませんが、万引きを理由として退学処分をほのめかし、自主退学させることが違法との判断はありうるものと思います。
いずれにしても、退学を迫られても、簡単に退学はせずに、まずは弁護士に相談をしてみましょう。
弁護士が学校側と交渉して解決することもありえます。
2 実際退学処分が出たらどうする?
それでも実際に退学処分が出され、納得できない場合は、法的手段を検討しましょう。
通常の裁判をしていたら、判決が出るころには授業についていけなくなっているということもありえます。
そこで、生徒側が、授業の妨害の禁止を求める仮処分の申し立てをするという方法で当面授業を受け続けるという方法もあります。
例えば、山口地裁宇部支部令和2年2月12日決定は、私立高校の生徒が他の生徒に暴行をしたという事案で、授業の妨害の禁止を求める仮処分を認めています。
3 新潟で退学処分のお悩みは弁護士齋藤裕へ
新潟で退学問題のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にお気軽にご相談ください。
相談料30分5000円です。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
さいとうゆたか法律事務所トップはこちらです。