デジタル社会形成整備法に伴う個人情報保護法「改正」で個人情報保護条例はどうなる? その2 取得規制等

さいとうゆたか弁護士

1 はじめに

前回、デジタル社会形成整備法に伴う個人情報保護法「改正」に関し、個人情報の利活用に関するもの以外は個人情報保護条例で独自の規定をすることができると延べました。
その中には、死者の個人情報に関わる規定も含まれます(死者の個人情報については、生者の個人情報とは別個のものであることを明確にするため、独自に条例を作るとよいでしょう)。
生者の個人情報に関わる規定について、以下検討します。

2 センシティブ情報の原則取得禁止、本人収集原則等、個人情報保護条例に特有の規定の効力

新潟市個人情報保護条例には、「改正」後個人情報保護法には存在しない規定で、かつ、利活用に関連しないものとして以下の規定があります。
(収集の制限)第7条 センシティブ情報の原則取得禁止、本人収集原則
(適正管理)第10条 保有期間経過後の保有個人情報廃棄
これらの規定は他の自治体の個人情報保護条例にもみられるものです。
これらの規定は、「改正」個人情報保護法の主要な2目的のうちの1つである個人情報保護を推進するものです。
また、収集や管理場面における規定であり、利活用場面の規定ではありませんので、「改正」個人情報保護法の主要な2目的のうちの1つである個人情報の利活用を阻害することにもなりません。
そうであれば、このような収集や管理場面に関する規定があっても、「改正」個人情報保護法と抵触することはなく、これらの規定は「改正」個人情報施行後も存置が許されることになります。
 この他、個人情報保護条例の中には、開示請求手続により開示された個人情報以外でも訂正や利用停止請求を認めるものがあります。これは開示請求により開示された個人情報のみについて訂正等を認める「改正」個人情報保護法とは異なる規定です。
 このような訂正等は利活用とは直接関係しませんので、個人情報保護法で独自の定めをすることは許されます(むしろ、利活用という側面でも、誤っている情報を正し、正確な情報とすることはメリットがあると言えます)。
 ただし、個人情報保護法「改正」の国会審議でも、開示されていない個人情報の訂正等を認めることで、開示が認められない情報が訂正等の手続きの中で事実上開示される結果となることが指摘されているところです。開示請求で不開示とされるべき情報についての訂正等は認めない、訂正請求を認めるとしてもその結果を請求者に知らせると非開示情報を開示するのと同じ結果となる場合には結果を請求者に知らせない扱いも許容するなどの手当は必要でしょう。

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