どのような場合に独禁法上の優越的地位濫用と言えるのか?

さいとうゆたか弁護士

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 独占禁止法と優越的地位濫用

2 コンビニの24時間営業強制と優越的地位濫用

  公正取引委員会の報告

公正取引委員会は、コンビニ加盟店への24時間営業強制が独禁法に違反しうることなどを内容とした報告書(「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書」)を公表しましています。

この報告書209頁には、以下の記載があります。

「今回のアンケートでは、令和2年1月時点において、本部に24時間営業をやめたい旨を伝えているオーナーの8・7%が『(本部が)交渉に応じていない(交渉自体を拒絶している)』と回答している」

報告書は、このような実態を踏まえ、
「今回調査した8チェーンにおいては、本部と加盟店とで合意すれば時短営業への移行が認められているところ、そのような形になっているにもかかわらず、本部がその地位を利用して協議を一方的に拒絶し、加盟者に正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合には優越的地位の乱用に該当しうる」
としています。

すべての交渉拒否が優越的地位の乱用に該当するとしているわけではありませんが、交渉拒否が優越的地位の乱用に該当する場合があることを認めています。

独占禁止法2条9項5号は、「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。」を禁止しています。参照:独占禁止法

公正取引委員会は、コンビニ加盟店への24時間影響強制が、この条項に該当しうるとしたわけです。

  どのような場合に優越的地位濫用が認められるか

コンビニのフランチャイザーとフランチャイジーの力関係からして、報告書にいう、「地位を利用して」との要件は容易に満たされると思われます。

問題は、「正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える」かどうかです。

「正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える」との要件については、学習塾のフラチャイズに関する東京地裁平成29年3月31日判決が以下のとおり判断をしています。

「◇◇及び××について,個別指導学習塾である被告の教室において,いずれも○×と並ぶ,児童・生徒に対する学習指導の基幹的なシステムであり,他の学習塾と差別化を図るための被告の教室の特長として広く宣伝・広告されていたことに照らせば,◇◇及び××が対応する科目が限定されていたことを考慮しても,フランチャイズ契約における本部(フランチャイザー)である被告が,本件各FC契約の加盟者(フランチャイジー)である原告らに対し,同契約締結時に◇◇を導入させたこと,及び,原告らから◇◇及び××の利用を中止し使用料の支払を止めたいとの要望を伝えられた際に,原告らに対して××等に関する指導に従わないフランチャイジーについて本件FC契約を解除する等の不利益的取扱いを示唆し,その後も原告らからの◇◇及び××の各使用料の徴収を継続したことが,フランチャイズ・システムによる営業を的確に実施するために必要な限度を超えて,正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えるものとは認められない。」

ここでは、フランチャイザーから求められる措置が学習塾の差別化を図るための特長として広く宣伝等されており、基幹的なものとされていたかどうかが問題とされています。

コンビニについては、各社が表向きは24時間営業にこだわらない姿勢を広く示しているところであり、そうであればほとんどの店舗において24時間営業であることが広く宣伝されているわけでも、基幹的であるわけでもないと考えられます。

よって、本部が時短営業への移行について協議に応じないことは、原則として「本部がその地位を利用して協議を一方的に拒絶し、加盟者に正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合」、つまり優越的地位の濫用に該当するものと考えます。

3 納入業者に協賛金を払わせたり、従業員などを派遣させる行為

東京高裁令和3年3月3日判決は、小売業者が、納入業者に、協賛金を払わせたり、従業員の派遣をさせた行為について、優越的地位濫用に該当するとしています。

同判決は、従業員派遣の要請については、「従業員等を派遣する条件等が不明確で、相手方にあらかじめ計算できない不利益を与える場合はもとより従業員等を派遣する条件等があらかじめ明確であっても、その派遣等を通じて相手方が得る直接の利益等を勘案して合理的と認められる範囲を超えた負担となり、相手方に不利益を与えることになる場合」に優越的地位の濫用になるとしています。

協賛金の要請については、「協賛金等の負担額、算出根拠、使途等が不明確で、相手方にあらかじめ損益の計算ができない不利益を与えることとなる場合はもとより、協賛金等の負担の条件があらかじめ明確であっても、相手方が得る直接の利益等を勘案して合理的と認められる範囲を超えた負担となり、相手方に不利益を与えることになる場合」に優越的地位の濫用となるとしています。

このように、負担の明確性、不利益の大きさが大きな判断要素となり、優越的地位濫用の成否が判断されます。

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