給食中の事故と国家賠償・損害賠償(学校事故)

さいとうゆたか弁護士

学校の給食中の事故で生徒が重大な障害を負ったり、亡くなったりする事案は少なくありません。

以下、学校の給食中の事故と学校設置者の賠償責任について解説します。

裁判例においては、誤嚥等の危険性のある生徒については丸のみなどしないよう指導する義務、窒息が疑われる場合には適切に対処する義務などが学校側に認められています。

1 大分地裁令和6年3月1日判決

大分地裁令和6年3月1日判決は、知的障害・身体障害のあった、支援学校高等部の生徒が、給食中に食べ物を丸のみして窒息死したという事案について、学校側の賠償責任を認めました。

同判決は、生徒には食べ物を丸のみにする傾向があり、学校側もそれを認識していたとしました。

 その上で、そのような生徒の「の傾向は、食事の際に食物を喉に詰まらせるなどして窒息等が発生する危険を伴うものと評価されるものであり、特別支援学校である本件支援学校の教職員においては、給食時における窒息等が重大事故につながる可能性があって、給食時において、当該児童生徒の有する特質に照らした配慮をすることが求められていたことも踏まえれば、前記の傾向を認識していた教員においては、本件事故発生時において、生徒の給食時間時、その動静を見守り、窒息等の危険性のある行動があった場合にそれを制止するなどして窒息等を防止すべき義務があったというべきである」としました。

そして、かかる義務が履行されなかったとして賠償が命じられました。

2 福岡地裁久留米支部平成30年8月10日判決

福岡地裁久留米支部平成30年8月10日判決は、特別支援学校に通う中学生が給食中の誤嚥で重大な障害を覆った事案について、学校側の事後対応について賠償責任を認めました。

同判決は、まず、「本件特別支援学校は,嚥下障害を患う生徒に対しても,日常的に給食介助を行うことが予定されているのであるから,給食介助者において,そのような生徒の生命や身体の安全に十分に配慮し,誤嚥窒息による窒息が疑われる事態が生じた場合,直ちに適切な救命処置を行うのみならず,直ちに応援を要請する義務を負うと解すべきである。」として、誤嚥が疑われる事態が発生した場合の救命のための義務を認めました。

その上で、教諭において、生徒が急に苦しい表情をしてペースト食をもどした後,苦しい表情を続けるのを認めたのであるから,これは,原告生徒の誤嚥窒息が疑われる事態であると考えるべきなのに、直ちに応援を要請する義務を果たさなかったとして義務違反を認めました。

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