食中毒と損害賠償(アニサキス、O-157、サルモネラ菌、腸菌ビブリオ、アレルギー等) 

さいとうゆたか弁護士
執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
新潟県弁護士会の弁護士齋藤裕にご相談ください

食中毒については、飲食店等の不注意で発生することも多々あります。
そのような場合には飲食店等が損害賠償義務を負うことになります。
以下、どのような場合に、食中毒等について、飲食店が損害賠償義務を負うことになるのか、みていきます。

1 アニサキスによる食中毒と損害賠償

東京地裁令和3年11月19日判決は、アニサキスによる食中毒について、以下のとおり飲食店に高度の義務を課しました。
つまり、同判決は、「当日の朝に締めた魚の刺身を提供しているというのであるから,アニサキス症の最も有効な予防方法である加熱処理又は24時間以上の冷凍処理を行うことはできず,そうすると,被告においては,アニサキス症の予防方法としては,最も有効な予防方法を採ることができない以上は,魚の内臓と内臓周りの筋肉を早期に切除することや目視により最大限の注意を払い,その提供する飲食物にアニサキスが混入しないようにするほかなく,これらの措置を講じることにつき高度の注意義務が課される」としています。
その上で、飲食店の注意義務違反を認め、損害賠償を認めました。
このように、飲食店としては、魚の刺身について、
・加熱処理
・24時間以上の冷凍処理
・魚の内臓と内臓周りの筋肉を早期に切除することや目視により最大限の注意を払うこと
との注意義務を負い、それに違反した結果、客がアニサキス症となった場合、損害賠償義務を負うことになります。
東京地裁令和3年3月29日判決も、アニサキス症について、目視で十分にチェックする義務違反を認め、損害賠償を命じています。

2 Oー157による食中毒と損害賠償

静岡地裁令和3年3月11日判決は、露天で販売された冷やしきゅうりによりO-157に感染したという事例で、加工・販売者の損害賠償責任を認めています。
判決は、加工業者等は、
ⅰ 食品に直接接触する器具の洗浄及び消毒を行うこと,
ⅱ 所定の場所に衛生的に保管し,その表面を常に清潔に保ち,浅漬けである冷やしきゅうりに適した温度の管理に十分注意して保管すること
ⅲ 食品取扱者には作業開始前や用便後に手指の洗浄及び消毒を行わせること
などの注意義務があるのに、これを怠ったとして損害賠償責任を認めています。
大阪地裁堺支部平成11年9月10日判決は、学校給食におけるOー157食中毒について、学校設置者の損害賠償責任を認めています。
同判決は、「学校教育の一環として行われ、児童側にこれを食べない自由が事実上なく、献立についても選択の余地はなく、調理も学校側に全面的に委ねているという学校給食の特徴や、学校給食が直接体内に摂取するものであり、何らかの瑕疵等があれば直ちに生命・身体へ影響を与える可能性があること、また、学校給食を喫食する児童が、抵抗力の弱い若年者であることなどからすれば、学校給食について、児童が何らかの危険の発生を甘受すべきとする余地はなく、学校給食には、極めて高度な安全性が求められているというべきであって、万一、学校給食の安全性の瑕疵によって、食中毒を始めとする事故が起きれば、結果的に、給食提供者の過失が強く推定されるというべきである。」としています。
このように、学校等、所定の食事を強制される施設で食中毒が発生した場合、施設側はよほどのことがない限り賠償責任を免れないということになりそうです。

3 サルモネラ菌による食中毒と損害賠償責任

宮崎地裁延岡支部平成26年3月28日判決は、パック詰め鶏卵を食べてサルモネラ菌による食中毒になったという事件で、鶏卵業者の損害賠償責任を認めています。
同判決では、「パック詰め鶏卵の洗浄や包装等の作業を担当した被告は,適切な鶏卵の洗浄及び作業施設の衛生管理を行い,サルモネラ属菌等細菌の付着しない状態にして鶏卵を包装すべきであるのにそれをしていないと認められ,生食用鶏卵の安全性確保についての注意義務に違反している」として、洗浄の不十分さのために損害賠償を認めています。
岐阜地裁昭和48年12月27日判決は、卵豆腐によるサルモネラ菌の食中毒について、販売業者の不法行為責任等が認められています。
同判決は、「製造業者が零細な個人で、その調理場が不衛生な状態であることは容易に判つた筈で、卵豆腐のようなサルモネラ菌による食中毒の危険性の大きい食品を取扱う以上、その製造過程で、清潔さが確保されているか否か、被告大橋を検査・指導・監督すべきであつたのに、ただ漫然と本件卵豆腐を仕入れて、これを卸した点で過失があり、民法七〇九条により本件損害について賠償義務がある。」としています。
このように、食中毒のリスクがある食品を販売する場合において、製造業者の衛生環境に懸念がある場合、販売業者としては、製造業者の検査等もすべきということになります。

4 シガテラ毒素・ふぐ毒による食中毒と損害賠償責任

東京地裁平成14年12月13日判決は、割烹がイシガキダイのアライなどを提供し、客が食中毒になった事件について、製造物責任法に基づき賠償責任を認めています。参照:シガテラ毒の食中毒についての裁判例
鳥獣や魚介類、植物を調理して提供したところ、食中毒になった場合、製造物責任法による損害賠償請求もありうるところです。
大阪地裁昭和53年5月19日判決は、フグ料理店が出したふぐ料理のふぐ毒で発生した食中毒について、店側の損害賠償義務を認めています。
同事件では、ふぐの内臓を提供しない義務に違反して肝臓を提供したことで損害賠償責任が認められています。

5 腸菌ビブリオによる食中毒と損害賠償責任

神戸地裁平成14年1月29日判決は、すし屋で買った寿司で腸菌ビブリオに感染したという事例について損害賠償を認めています。
同判決は、「食中毒細菌に汚染されやすい寿司を販売する業者であるから,寿司を調理・販売する過程において,これが食中毒細菌により汚染されることがないように特段に配慮し,そのために有効適切な措置を講じるべき注意義務を負うものと解すべきであるところ,前示のとおり,控訴人は本件寿司を食することにより食中毒症に罹患したものと認められるのであるから,被控訴人は上記注意義務を尽くさなかったことが窺われ」としています。参照:腸菌ビブリオによる食中毒についての裁判例
このように、食中毒になりやすい食品を扱う場合には、食中毒が発生した場合、特段の事情がない限り、損害賠償責任を負うことになる可能性があります。

6 ボツリヌス菌による食中毒と損害賠償責任

東京地裁平成13年2月28日判決は、瓶詰オリーブを食べたところ、ボツリヌス菌に感染したという食中毒について、オリーブの輸入業者の損害賠償責任を認めています(製造物責任法)。

7 アレルギーを原因とした死傷と損害賠償責任

学校等は、食事の提供を受ける者に食品アレルギーがある場合には、アレルゲンを含む食事を提供しない義務を負い、アレルゲンを含む食事を提供した結果、死傷の結果が生じたのであれば、損害賠償責任を負うことになります。
札幌地裁平成4年3月30日判決は、そばアレルギーの児童にそばを含む給食を提供した事例で、自治体の損害賠償義務を認めました。
同判決は、自治体について、「学校給食の提供に当たり、その児童に給食の材料等に起因するそばアレルギー症の発生に関する情報を現場の学校の学校長を始め、教諭並びに給食を担当する職員に周知徹底させ、そばアレルギー症による事故の発生を未然に防止すべき注意義務が存在」するとしています。
また、教諭についても、給食時に児童がアレルゲンを取らないよう注意する義務、児童からアレルゲンを食べてアレルギー症状との訴えを受けた場合には児童を保健室に連れて行き養護教諭に診せるとか、下校時に自らないし学校職員等同伴させる等の措置を取るべき注意義務があるとしています。
このように、アレルギーを含む食中毒については、食中毒が発生した後に、被害が現実化しないような措置をとるべき義務が認められることもあります。

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食中毒事故について、必要に応じて現地まで出張いたします。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
弁護士費用はこちらの記事
もご参照ください。
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食中毒については、飲食店等の不注意で発生することも多々あります。
そのような場合には飲食店等が損害賠償義務を負うことになります。
以下、どのような場合に、食中毒等について、飲食店が損害賠償義務を負うことになるのか、みていきます。

1 アニサキスによる食中毒と損害賠償

東京地裁令和3年11月19日判決は、アニサキスによる食中毒について、以下のとおり飲食店に高度の義務を課しました。
つまり、同判決は、「当日の朝に締めた魚の刺身を提供しているというのであるから,アニサキス症の最も有効な予防方法である加熱処理又は24時間以上の冷凍処理を行うことはできず,そうすると,被告においては,アニサキス症の予防方法としては,最も有効な予防方法を採ることができない以上は,魚の内臓と内臓周りの筋肉を早期に切除することや目視により最大限の注意を払い,その提供する飲食物にアニサキスが混入しないようにするほかなく,これらの措置を講じることにつき高度の注意義務が課される」としています。
その上で、飲食店の注意義務違反を認め、損害賠償を認めました。
このように、飲食店としては、魚の刺身について、
・加熱処理
・24時間以上の冷凍処理
・魚の内臓と内臓周りの筋肉を早期に切除することや目視により最大限の注意を払うこと
との注意義務を負い、それに違反した結果、客がアニサキス症となった場合、損害賠償義務を負うことになります。
東京地裁令和3年3月29日判決も、アニサキス症について、目視で十分にチェックする義務違反を認め、損害賠償を命じています。

2 Oー157による食中毒と損害賠償

静岡地裁令和3年3月11日判決は、露天で販売された冷やしきゅうりによりO-157に感染したという事例で、加工・販売者の損害賠償責任を認めています。
判決は、加工業者等は、
ⅰ 食品に直接接触する器具の洗浄及び消毒を行うこと,
ⅱ 所定の場所に衛生的に保管し,その表面を常に清潔に保ち,浅漬けである冷やしきゅうりに適した温度の管理に十分注意して保管すること
ⅲ 食品取扱者には作業開始前や用便後に手指の洗浄及び消毒を行わせること
などの注意義務があるのに、これを怠ったとして損害賠償責任を認めています。
大阪地裁堺支部平成11年9月10日判決は、学校給食におけるOー157食中毒について、学校設置者の損害賠償責任を認めています。
同判決は、「学校教育の一環として行われ、児童側にこれを食べない自由が事実上なく、献立についても選択の余地はなく、調理も学校側に全面的に委ねているという学校給食の特徴や、学校給食が直接体内に摂取するものであり、何らかの瑕疵等があれば直ちに生命・身体へ影響を与える可能性があること、また、学校給食を喫食する児童が、抵抗力の弱い若年者であることなどからすれば、学校給食について、児童が何らかの危険の発生を甘受すべきとする余地はなく、学校給食には、極めて高度な安全性が求められているというべきであって、万一、学校給食の安全性の瑕疵によって、食中毒を始めとする事故が起きれば、結果的に、給食提供者の過失が強く推定されるというべきである。」としています。
このように、学校等、所定の食事を強制される施設で食中毒が発生した場合、施設側はよほどのことがない限り賠償責任を免れないということになりそうです。

3 サルモネラ菌による食中毒と損害賠償責任

宮崎地裁延岡支部平成26年3月28日判決は、パック詰め鶏卵を食べてサルモネラ菌による食中毒になったという事件で、鶏卵業者の損害賠償責任を認めています。
同判決では、「パック詰め鶏卵の洗浄や包装等の作業を担当した被告は,適切な鶏卵の洗浄及び作業施設の衛生管理を行い,サルモネラ属菌等細菌の付着しない状態にして鶏卵を包装すべきであるのにそれをしていないと認められ,生食用鶏卵の安全性確保についての注意義務に違反している」として、洗浄の不十分さのために損害賠償を認めています。
岐阜地裁昭和48年12月27日判決は、卵豆腐によるサルモネラ菌の食中毒について、販売業者の不法行為責任等が認められています。
同判決は、「製造業者が零細な個人で、その調理場が不衛生な状態であることは容易に判つた筈で、卵豆腐のようなサルモネラ菌による食中毒の危険性の大きい食品を取扱う以上、その製造過程で、清潔さが確保されているか否か、被告大橋を検査・指導・監督すべきであつたのに、ただ漫然と本件卵豆腐を仕入れて、これを卸した点で過失があり、民法七〇九条により本件損害について賠償義務がある。」としています。
このように、食中毒のリスクがある食品を販売する場合において、製造業者の衛生環境に懸念がある場合、販売業者としては、製造業者の検査等もすべきということになります。

4 シガテラ毒素・ふぐ毒による食中毒と損害賠償責任

東京地裁平成14年12月13日判決は、割烹がイシガキダイのアライなどを提供し、客が食中毒になった事件について、製造物責任法に基づき賠償責任を認めています。参照:シガテラ毒の食中毒についての裁判例
鳥獣や魚介類、植物を調理して提供したところ、食中毒になった場合、製造物責任法による損害賠償請求もありうるところです。
大阪地裁昭和53年5月19日判決は、フグ料理店が出したふぐ料理のふぐ毒で発生した食中毒について、店側の損害賠償義務を認めています。
同事件では、ふぐの内臓を提供しない義務に違反して肝臓を提供したことで損害賠償責任が認められています。

5 腸菌ビブリオによる食中毒と損害賠償責任

神戸地裁平成14年1月29日判決は、すし屋で買った寿司で腸菌ビブリオに感染したという事例について損害賠償を認めています。
同判決は、「食中毒細菌に汚染されやすい寿司を販売する業者であるから,寿司を調理・販売する過程において,これが食中毒細菌により汚染されることがないように特段に配慮し,そのために有効適切な措置を講じるべき注意義務を負うものと解すべきであるところ,前示のとおり,控訴人は本件寿司を食することにより食中毒症に罹患したものと認められるのであるから,被控訴人は上記注意義務を尽くさなかったことが窺われ」としています。参照:腸菌ビブリオによる食中毒についての裁判例
このように、食中毒になりやすい食品を扱う場合には、食中毒が発生した場合、特段の事情がない限り、損害賠償責任を負うことになる可能性があります。

6 ボツリヌス菌による食中毒と損害賠償責任

東京地裁平成13年2月28日判決は、瓶詰オリーブを食べたところ、ボツリヌス菌に感染したという食中毒について、オリーブの輸入業者の損害賠償責任を認めています(製造物責任法)。

7 アレルギーを原因とした死傷と損害賠償責任

学校等は、食事の提供を受ける者に食品アレルギーがある場合には、アレルゲンを含む食事を提供しない義務を負い、アレルゲンを含む食事を提供した結果、死傷の結果が生じたのであれば、損害賠償責任を負うことになります。
札幌地裁平成4年3月30日判決は、そばアレルギーの児童にそばを含む給食を提供した事例で、自治体の損害賠償義務を認めました。
同判決は、自治体について、「学校給食の提供に当たり、その児童に給食の材料等に起因するそばアレルギー症の発生に関する情報を現場の学校の学校長を始め、教諭並びに給食を担当する職員に周知徹底させ、そばアレルギー症による事故の発生を未然に防止すべき注意義務が存在」するとしています。
また、教諭についても、給食時に児童がアレルゲンを取らないよう注意する義務、児童からアレルゲンを食べてアレルギー症状との訴えを受けた場合には児童を保健室に連れて行き養護教諭に診せるとか、下校時に自らないし学校職員等同伴させる等の措置を取るべき注意義務があるとしています。
このように、アレルギーを含む食中毒については、食中毒が発生した後に、被害が現実化しないような措置をとるべき義務が認められることもあります。

8 食中毒事故をめぐるお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください

食中毒事故について、必要に応じて現地まで出張いたします。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
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もご参照ください。
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食中毒事故のお悩みはご相談ください。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
食中毒については、飲食店等の不注意で発生することも多々あります。
そのような場合には飲食店等が損害賠償義務を負うことになります。
以下、どのような場合に、食中毒等について、飲食店が損害賠償義務を負うことになるのか、みていきます。

1 アニサキスによる食中毒と損害賠償

東京地裁令和3年11月19日判決は、アニサキスによる食中毒について、以下のとおり飲食店に高度の義務を課しました。
つまり、同判決は、「当日の朝に締めた魚の刺身を提供しているというのであるから,アニサキス症の最も有効な予防方法である加熱処理又は24時間以上の冷凍処理を行うことはできず,そうすると,被告においては,アニサキス症の予防方法としては,最も有効な予防方法を採ることができない以上は,魚の内臓と内臓周りの筋肉を早期に切除することや目視により最大限の注意を払い,その提供する飲食物にアニサキスが混入しないようにするほかなく,これらの措置を講じることにつき高度の注意義務が課される」としています。
その上で、飲食店の注意義務違反を認め、損害賠償を認めました。
このように、飲食店としては、魚の刺身について、
・加熱処理
・24時間以上の冷凍処理
・魚の内臓と内臓周りの筋肉を早期に切除することや目視により最大限の注意を払うこと
との注意義務を負い、それに違反した結果、客がアニサキス症となった場合、損害賠償義務を負うことになります。
東京地裁令和3年3月29日判決も、アニサキス症について、目視で十分にチェックする義務違反を認め、損害賠償を命じています。

2 Oー157による食中毒と損害賠償

静岡地裁令和3年3月11日判決は、露天で販売された冷やしきゅうりによりO-157に感染したという事例で、加工・販売者の損害賠償責任を認めています。
判決は、加工業者等は、
ⅰ 食品に直接接触する器具の洗浄及び消毒を行うこと,
ⅱ 所定の場所に衛生的に保管し,その表面を常に清潔に保ち,浅漬けである冷やしきゅうりに適した温度の管理に十分注意して保管すること
ⅲ 食品取扱者には作業開始前や用便後に手指の洗浄及び消毒を行わせること
などの注意義務があるのに、これを怠ったとして損害賠償責任を認めています。
大阪地裁堺支部平成11年9月10日判決は、学校給食におけるOー157食中毒について、学校設置者の損害賠償責任を認めています。
同判決は、「学校教育の一環として行われ、児童側にこれを食べない自由が事実上なく、献立についても選択の余地はなく、調理も学校側に全面的に委ねているという学校給食の特徴や、学校給食が直接体内に摂取するものであり、何らかの瑕疵等があれば直ちに生命・身体へ影響を与える可能性があること、また、学校給食を喫食する児童が、抵抗力の弱い若年者であることなどからすれば、学校給食について、児童が何らかの危険の発生を甘受すべきとする余地はなく、学校給食には、極めて高度な安全性が求められているというべきであって、万一、学校給食の安全性の瑕疵によって、食中毒を始めとする事故が起きれば、結果的に、給食提供者の過失が強く推定されるというべきである。」としています。
このように、学校等、所定の食事を強制される施設で食中毒が発生した場合、施設側はよほどのことがない限り賠償責任を免れないということになりそうです。

3 サルモネラ菌による食中毒と損害賠償責任

宮崎地裁延岡支部平成26年3月28日判決は、パック詰め鶏卵を食べてサルモネラ菌による食中毒になったという事件で、鶏卵業者の損害賠償責任を認めています。
同判決では、「パック詰め鶏卵の洗浄や包装等の作業を担当した被告は,適切な鶏卵の洗浄及び作業施設の衛生管理を行い,サルモネラ属菌等細菌の付着しない状態にして鶏卵を包装すべきであるのにそれをしていないと認められ,生食用鶏卵の安全性確保についての注意義務に違反している」として、洗浄の不十分さのために損害賠償を認めています。
岐阜地裁昭和48年12月27日判決は、卵豆腐によるサルモネラ菌の食中毒について、販売業者の不法行為責任等が認められています。
同判決は、「製造業者が零細な個人で、その調理場が不衛生な状態であることは容易に判つた筈で、卵豆腐のようなサルモネラ菌による食中毒の危険性の大きい食品を取扱う以上、その製造過程で、清潔さが確保されているか否か、被告大橋を検査・指導・監督すべきであつたのに、ただ漫然と本件卵豆腐を仕入れて、これを卸した点で過失があり、民法七〇九条により本件損害について賠償義務がある。」としています。
このように、食中毒のリスクがある食品を販売する場合において、製造業者の衛生環境に懸念がある場合、販売業者としては、製造業者の検査等もすべきということになります。

4 シガテラ毒素・ふぐ毒による食中毒と損害賠償責任

東京地裁平成14年12月13日判決は、割烹がイシガキダイのアライなどを提供し、客が食中毒になった事件について、製造物責任法に基づき賠償責任を認めています。参照:シガテラ毒の食中毒についての裁判例
鳥獣や魚介類、植物を調理して提供したところ、食中毒になった場合、製造物責任法による損害賠償請求もありうるところです。
大阪地裁昭和53年5月19日判決は、フグ料理店が出したふぐ料理のふぐ毒で発生した食中毒について、店側の損害賠償義務を認めています。
同事件では、ふぐの内臓を提供しない義務に違反して肝臓を提供したことで損害賠償責任が認められています。

5 腸菌ビブリオによる食中毒と損害賠償責任

神戸地裁平成14年1月29日判決は、すし屋で買った寿司で腸菌ビブリオに感染したという事例について損害賠償を認めています。
同判決は、「食中毒細菌に汚染されやすい寿司を販売する業者であるから,寿司を調理・販売する過程において,これが食中毒細菌により汚染されることがないように特段に配慮し,そのために有効適切な措置を講じるべき注意義務を負うものと解すべきであるところ,前示のとおり,控訴人は本件寿司を食することにより食中毒症に罹患したものと認められるのであるから,被控訴人は上記注意義務を尽くさなかったことが窺われ」としています。参照:腸菌ビブリオによる食中毒についての裁判例
このように、食中毒になりやすい食品を扱う場合には、食中毒が発生した場合、特段の事情がない限り、損害賠償責任を負うことになる可能性があります。

6 ボツリヌス菌による食中毒と損害賠償責任

東京地裁平成13年2月28日判決は、瓶詰オリーブを食べたところ、ボツリヌス菌に感染したという食中毒について、オリーブの輸入業者の損害賠償責任を認めています(製造物責任法)。

7 アレルギーを原因とした死傷と損害賠償責任

学校等は、食事の提供を受ける者に食品アレルギーがある場合には、アレルゲンを含む食事を提供しない義務を負い、アレルゲンを含む食事を提供した結果、死傷の結果が生じたのであれば、損害賠償責任を負うことになります。
札幌地裁平成4年3月30日判決は、そばアレルギーの児童にそばを含む給食を提供した事例で、自治体の損害賠償義務を認めました。
同判決は、自治体について、「学校給食の提供に当たり、その児童に給食の材料等に起因するそばアレルギー症の発生に関する情報を現場の学校の学校長を始め、教諭並びに給食を担当する職員に周知徹底させ、そばアレルギー症による事故の発生を未然に防止すべき注意義務が存在」するとしています。
また、教諭についても、給食時に児童がアレルゲンを取らないよう注意する義務、児童からアレルゲンを食べてアレルギー症状との訴えを受けた場合には児童を保健室に連れて行き養護教諭に診せるとか、下校時に自らないし学校職員等同伴させる等の措置を取るべき注意義務があるとしています。
このように、アレルギーを含む食中毒については、食中毒が発生した後に、被害が現実化しないような措置をとるべき義務が認められることもあります。

8 食中毒事故をめぐるお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください

食中毒事故について、必要に応じて現地まで出張いたします。
まずはお電話(025-211-4854)か、メールでご連絡ください。
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