執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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交通事故で胎児が亡くなった場合、ご両親のお気持ちは察するにあまりあります。
しかし、残念ながら、日本の法律では、胎児は人として扱われていません。
そのため、出生後の人が亡くなった場合とは異なる取扱いとなります。
以下、概観します。
1 交通事故で胎児が死亡した場合の慰謝料
東京地裁平成11年6月1日判決は、以下のとおり述べ、妊娠36週の胎児が亡くなった事案において、母親の慰謝料700万円、父親の慰謝料300万円を認めました。
「原告X1が胎児を失ったのは、妊娠三六週であり既に正期産の時期に入っており、当時胎児に何らの異常はなかったこと、現在の医療水準を考えれば胎児が正常に出産される蓋然性が高いことが認められる。すなわち、本件において死亡した胎児は、まさに新生児と紙一重の状態にあり、これを失った両親とりわけ母親の悲しみ、落胆は相当なものであるというべきである。このように考えると、法律の建前として法人格を有する新生児と胎児の取り扱いに区別を設けることはやむを得ないとしても、出産を間近に控えた胎児の死亡についての損害賠償額は、それなりに評価されるべきと考える。」
「このような観点から、本件においては、慰謝料として母親の原告X1については金七〇〇万円、父親であるX2について半額の三〇〇万円を相当な額として認める。」
他方、大阪地裁平成8年5月31日判決は、「原告X2は妊娠約二か月の胎児を失ったものであり、本件審理に顕れた一切の事情を考慮して右金額を相当と認める。」として、妊娠約2ケ月の場合に母に慰謝料150万円を認め、父には認めませんでした。
このように、胎児が死亡した場合の慰謝料は妊娠週数により大きく金額がかわってくることになります。
2 交通事故で胎児が死亡した場合の刑事責任
刑事責任においても、胎児は人とはされないので、交通事故で胎児が死亡しても、それは情状の問題にとどまることになります。
ただし、胎児である間に交通事故でケガをし、それが原因で出産後死亡した場合、人が死亡したとして刑事責任の対象となりえます。
最高裁昭和63年2月29日決定も、以下のとおり、同趣旨を述べています。参照:交通事故で胎児が死亡した場合の刑事責任についての判例
「現行刑法上、胎児は、堕胎の罪において独立の行為客体として特別に規定されている場合を除き、母体の一部を構成するものと取り扱われていると解されるから、業務上過失致死罪の成否を論ずるに当たつては、胎児に病変を発生させることは、人である母体の一部に対するものとして、人に病変を発生させることにほかならない。そして、胎児が出生し人となつた後、右病変に起因して死亡するに至つた場合は、結局、人に病変を発生させて人に死の結果をもたらしたことに帰するから、病変の発生時において客体が人であることを要するとの立場を採ると否とにかかわらず、同罪が成立するものと解するのが相当である。」
しかし、より深刻な傷害を負い、胎内で死亡した場合に刑事責任に問われないというのは明らかにバランスを失しており、立法上の解決が必要だと考えます。
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