新潟市民病院 みんなの働き方を改めるきっかけに

さいとうゆたか弁護士

 

新潟市は、新潟市民病院医師の労働時間を把握するため、建物への出入りを把握する機械を設置するなどの対策を講じました。これで仕事開始から終了までの時間は把握しやすくなります。しかし、その時間内における「自己研鑽」時間は労働時間とされず、労働時間から除外されることになります。研修時間も労働時間に含まれることがあるというのが判例通説です。新潟市民病院での労務管理は未だに違法ですし、労働時間を適切に把握できるものにはなっていません。人が死んだにも関わらず、新潟市民病院における労働環境改善は未だに不十分だといわなくてはなりません。新潟市民病院の労働環境改善の第一歩は適切な労働時間把握です。

さて、それ以外の市職員の労働時間はどうなっているでしょうか。残業代の金額などから推認する限り、かなり残業をさせられていることがうかがわれます。その上、篠田市長は市職員の削減までちらつかせています。もちろん、業務量が減れば職員を減らすのは当然です。しかし、財政ありきで職員数を減らすことには問題があります。まずすべきことは必要不可欠な業務か否かをきちんと区分けすることです。例えば、市議会には多くの職員が出席します。しかし、多くの職員は一言もしゃべりません。このような会議に出席する職員は減らせるのではないでしょうか。例えば、音声を自動的に文字に起こす技術も一般に普及しています。そのような機器も使いながら業務量の削減をすることは十分可能です。そのようにして不必要な業務を削減し、あわせて割増賃金の支払いも減らし、職員の負担と財政負担の両方を軽くしていかなければなりません。

さらに、新潟市と取引をする事業者に対して過剰な残業をしないことを求める公契約条例の制定も有効でしょう。

国が実効的な長時間労働規制を行うつもりがない以上、自治体の果たす役割は大きいと思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です