執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)
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SNS等で肖像権の侵害が問題となる事例が増えています。
以下、どのような場合に肖像権が侵害されていると評価されるのか、解説します。
1 肖像権侵害の判断基準
肖像権侵害の基準を示した東京地裁令和4年7月19日判決
東京地裁令和4年7月19日判決は、どのような場合に違法な肖像権侵害と言えるのか、判断基準を示しています。
同判決は、肖像等を無断で撮影、公表等する行為について、
ⅰ 撮影等された者の私的領域において撮影し又は撮影された情報を公表する場合において、当該情報が公共の利害に関する事項ではないとき
ⅱ 公的領域において撮影し又は撮影された情報を公表する場合において、当該情報が社会通念上受忍すべき限度を超えて撮影された者を侮辱するものであるとき、
ⅲ 公的領域において撮影し又は撮影された情報を公表する場合において、当該情報が公表されることによって社会通念上受忍すべき限度を超えて平穏に日常生活を送る撮影された者の利益を害するおそれがあるとき
等、被撮影者の被る精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超える場合に限り、肖像権を侵害するものとして、不法行為による損害賠償の対象となるとしています。
侮辱的な状況での撮影を肖像権侵害とした東京地裁令和4年10月28日判決
東京地裁令和4年10月28日判決は、東京地裁令和4年7月19日判決と同じ基準を採用しつつ、
・白昼路上において原告の要望が撮影された
・撮影動画の内容は、道路わきの草むらにおいて原告があおむけの状態で警察官に制圧され、白昼路上において警察官が原告を逮捕しようとするなどして原告と警察官が押し問答となり、原告が複数の警察官に取り囲まれるなどという現行犯逮捕の状況等を撮影したものであり、社会通念上受忍すべき限度を超えて原告を侮辱するものであることが明白
という事情を踏まえ、動画をYouTubeに投稿して公表する行為は原告の肖像権を侵害する不法行為に該当するとしました。参照:肖像権侵害を認めた判決
著名人について肖像権侵害を否定した東京地裁令和5年1月24日判決
東京地裁令和5年1月24日判決は、ネットメディアに写真が無断掲載されたという事案について、
ⅰ 撮影された人が著名であり、完全なる一般私人とまではいい難い面があること
ⅱ 公道に面し、段差のない平坦な状態でつながっているところで撮影されていること
ⅲ 取材目的、取材方法について一定の合理性があること
ⅳ 写真の掲載が、報道の正確性を期すために必要なものであったという側面があること
ⅴ 隠し撮りといった不意打ち的な方法であったとはいえないこと
を踏まえ、違法な肖像権侵害には該当しないとしています。
肖像権侵害に該当するかどうかは、このような基準や判断要素をもとに判断されることになります。
なお、社会通念上受忍すべきかどうかの判断に当たっては、大きく映されたか、たまたま映り込んだレベルかが大きな意味を持ちます。例えば、東京地裁令和3年3月26日判決は、単なる映り込みではないことをも考慮して肖像権侵害による賠償を認めています。
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