会社が休業、営業停止した場合、給料・休業手当はどうなる? 初回相談料無料

さいとうゆたか弁護士

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 会社が休業した場合の賃金について規定する民法536条2項

会社が何らかの事情で休業せざるをえなくなった場合、賃金はどうなるでしょうか?

この点、民法536条2項は、以下のとおり定めます。

「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない」

これを労働契約に即して言うと、使用者に責任がある理由で従業員が勤務できなくなったとき、従業員は給料を失わないということになります。

法律違反により会社が業務停止となった場合の賃金請求権

例えば、東京地裁令和3年9月16日判決は、景表法違反の広告により、法律事務所が、業務停止処分を受け、そのために休業をしたという事例について、

「本件各広告表示が一般消費者に実際よりも著しく有利な取引条件であると誤認させ,一般消費者の自主的かつ合理的な選択を損害するおそれがあるものであって,これを掲載することが景表法4条1項に違反し,ひいては弁護士の業務広告に関する日弁連の規程にも抵触することは容易に認識することができたというべきである。」として、休業について使用者側に責任があり、労働者は賃金を失わないと判断しました。

ストライキに参加しなかった労働者の賃金請求権

最高裁昭和62年7月17日判決は、以下のとおり述べて、ストライキで操業がとまった場合に、ストライキ不参加労働者との関係で、原則として賃金は発生しないとしました。参照:ストライキに参加しなかった労働者の賃金についての判例

「労働者の一部によるストライキが原因でストライキ不参加労働者の労働義務の履行が不能となつた場合は、使用者が不当労働行為の意思その他不当な目的をもつてことさらストライキを行わしめたなどの特別の事情がない限り、右ストライキは民法五三六条二項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」には当たらず、当該不参加労働者は賃金請求権を失うと解するのが相当である」

不況による仕事の減少に伴う休業と賃金請求権

 東京地裁平成24年4月16日判決は、リーマンショックによる自動車会社の休業に伴う労働者の帰休について、賃金請求権が発生すると判断しています。

 同判決は、「一般に使用者が企業を運営するに当たり,企業運営の必要の範囲内で,それに見合う人数の労働者と,相応の労働条件の下で労働契約を締結しているのが通常なのであり,使用者が労務を受領しないのは,例外的な事態であるから,本件休業のように,労働者が労務を提供し,使用者がこれを受領しないことが,使用者の責(ママ)に帰すべき事由に基づくものと推認されると解するのが相当である。そして,この意味での帰責事由がないというためには,休業の必要性,両当事者の状況等の事情に照らして,休業がやむを得ないものと認められることが必要である。」として、会社都合の休業で賃金が発生しない場合の要件について述べます。

 その上で、リーマンショックに伴い生産台数が減ったために帰休させることに一応の合理性があるとしつつ、期間雇用労働者については、「正社員(期間の定めのない従業員)に比して長期雇用に対する合理的期待は相対的に低くなると考えられるが,その一方で,当該契約期間内の雇用継続及びそれに伴う賃金債権の維持については合理的期待が高いものと評価すべきである。」として、正社員より賃金支払いへの期待が高くなるとしました。

 それにも関わらず、正社員については100パーセントの賃金が払われているのに、期間雇用労働者だけ60パーセントしか払わなかったのは均衡を失するなどとして、「本件休業がやむを得ないものであると認めることはできない。」、賃金全額が支払われるべきだとしました。

 非正規雇用の労働者について、むしろ賃金を全額払わないことが許される場合は限定されるという破断は、休業時の賃金支払いの在り方を考える上で極めて参考になる考え方だと思います。

 

2 労働基準法26条と休業手当

労働基準法26条の規定

使用者に民法536条2項でいう帰責性までない場合でも、労働基準法26条により、賃金の6割分の休業手当が認められる場合があります。

労働基準法26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」としています。

休業手当の具体的計算方法は厚生労働省のサイトを参照してください。参照:休業手当の計算方法

労働基準法26条の帰責性が認められる基準

労働基準法26条にいう帰責性については、「機械の検査、原料の不足、流通機構の不円滑による資材入手難、監督官庁の勧告による操業停止、親会社の経営難のための資金・資材困難」などが考えられます(菅野和夫著「労働法第12版」457頁以下)。

労働基準法26条の休業手当について判断した裁判例

例えば、東京地裁令和3年12月13日判決は、「労働基準法26条の休業手当は,労働者の最低生活を保障する趣旨で定められた規定であり,同条所定の使用者の帰責事由は,使用者側に起因する経営,管理上の障害を含むものと解するのが相当である。前記認定事実によれば,被告は,平成31年3月25日,事業を停止し,原告を含む全従業員に対して休業を命じたこと,同休業の事由は,被告が親会社であるAから資金の供給を停止されたことによるものと認められる。」として、親会社による資金停止を理由とする休業について休業手当を支払うべきものとしています。

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