新型コロナと医療従事者などの労災 新型コロナ法律相談その21

1 新型コロナにり患した医療労働者などと労災

報道によると、厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染した医療従事者等について、原則として労災として認めるとの指針を明らかにしたとのことです。

報道によると、

ア 医療従事者等

患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となること

イ 医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されたもの

感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合には、労災保険給付の対象となること

という内容のようです。

率直に言うと、イは労災給付の要件を述べているだけであり、ほぼ新味がありません。

しかし、アについては、医療従事者等の労災認定を飛躍的に容易にするものであり、大きな意義があると考えます。

2 感染症り患と労災

業務災害、すなわち、労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡については、労災保険から給付がなされることになります。

業務上といえるためには、当該労働者の業務と負傷等の結果の間に、当該業務に内在又は随伴する危険が現実化したと認められるような相当因果関係が肯定されなければならないと考えられています。

例えば、工場で勤務していて、プレス機で指を挟んでケガをしたような場合、この相当因果関係の判断は極めて容易です。

しかし、実際には、脳梗塞、心筋梗塞、うつ病による自殺のように、労災なのか私病なのか判断しづらい場合もあります。

特に、蔓延している感染症については、業務内で感染したのか、業務外で感染したのか、極めて判断が困難な場合が多いと思われます。

例えば、異常な長時間労働の末にウイルス感染による心筋炎で死亡したという事案について裁判所で労災が認められた事例もありますが、感染症による労災は極めてまれといえます。

今回の厚生労働省の指針が文字通り適用されれば、かなり労災認定のハードルが下がります。

各地の労基署では、指針の趣旨に従った迅速な決定が求められます。

なお、無給医に労災が支給されることについての記事もご参照ください。

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