
1 評価損とリース契約、所有権留保
自動車が交通事故で損傷した場合、通常は修理代と事故当時の自動車の評価額の小さい方が損害額となります。
また、自動車が損傷した場合、その程度によっては中古車としての価格が下がることになります。
これを評価損といいますが、新車である、高級車である、損傷程度が大きいなどの事情があると、この評価損も賠償の対象となります。
問題は、自動車がリース物件や所有権留保のときです。
自動車の所有者がリース会社やクレジット会社である場合、使用者は修理代の請求はできるものの、評価損の請求はできないとする裁判例が多いのです。
この問題をどうクリアしていくか、裁判例から考えていきます。
2 評価損と債権譲渡
東京地裁平成29年11月28日判決は、以下のとおり、リース契約の場合、評価損についての損害賠償請求をなしうるのはリース会社であることを前提としつつ、リース会社から使用者への損害賠償請求権の譲渡がなされていることを理由に、使用者からの評価損についての損害賠償請求を可能としました。
「本件事故当時,原告車の所有者はA株式会社であったが,原告会社は,A株式会社に対し,本件事故前である平成28年1月29日に車両入替えを理由としてリース契約の解約申入れをし,本件事故後である同年4月1日に同社から提示された中途解約金の全額(ただし,同年2月分までのリース料が支払済みであることを前提とした甲12記載の提示額から同年3月分のリース料を差し引いた978万4340円)を支払い,同年4月2日に同社から本件事故に基づく損害賠償請求権(原告車に関する物件損害)の一切の譲渡を受けていることが認められるから,本件事故により原告車に関して生じた損害賠償請求権は全て原告会社に帰属すると認められる。」
リース会社から使用者に評価損についての損害賠償請求権が譲渡された場合、使用者が評価損についての損害賠償請求をなしうるのは当然です。
問題は、リース会社がその債権譲渡に応ずるかどうかでしょう。
しかし、そもそもリース会社において交通事故の加害者に損害賠償請求をすることが想定できない以上、リース会社において債権譲渡によるデメリットはないように思います。
ですから、評価損を主張する使用者は、粘り強く債権会社に損害賠償請求権の譲渡を説得すべきということになるでしょう。
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