DV等支援措置がなされた場合の対応 新潟県の弁護士齋藤裕に御相談ください

離婚問題

執筆 新潟県弁護士会 弁護士齋藤裕(2019年度新潟県弁護士会会長、2023年度日弁連副会長)

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1 DV等支援措置

DV等支援措置は、DVの被害者が申し出をすることにより、加害者やその代理人弁護士において、被害者の住民票や戸籍附票の閲覧などをすることができなくなるものです。
DV被害者の保護に資する制度ですが、
ⅰ DV認定が簡略であるため、実際にDVがないケースでも措置が取られる場合があること、
ⅱ 実際にDVがある場合にしても、ない場合にしても、住所が分からないことで法的手段をとることが困難になること
等の問題が存在します。

2 DV加害者とされた方からの法的手続きはどうしたらいいか?

DV加害者とされた方が調停や訴訟を起こそうとする場合の取扱いについては、最高裁判所事務総局民事局第一課長らによる「DV等支援措置に関する取扱いの総務省自治行政局住民制度課長通知への対応等について(事務連絡)」で定めています。参照:支援措置がなされた場合の訴訟等手続きについての通知

具体的には、
ⅰ まずは裁判所に申立てをする。住所が分からないから住所は不明としておく
ⅱ その際、裁判所に対し、相手方の住所について調査嘱託を申し立てる
ⅲ 裁判所が自治体に住所などについて調査嘱託をして調査、判明した住所に訴状などを送達
という流れで手続きをすることになります。

実際には、裁判所の方の手続きがフリーズしてしまい、遅延することもありますが、とりあえずは上記のとおり手続きを進めることになるでしょう。

3 DV等支援措置と慰謝料請求

DV等支援措置の対象とされた方がDV等支援措置自体の違法性を問うこともあります。
DV等支援措置の対象とされた方が虚偽の申し出がされたとして措置の申し出をした者に慰謝料請求をした事件について、東京地裁令和1年11月5日判決は、以下のとおり述べ、慰藉料を認めませんでした。

「本件において原告が名誉棄損に当たると指摘する被告による各行為は,いずれも,被告が,配偶者の暴力の防止及び被害者の保護等に係る本件各手続を行うに際し,本件各機関に対し,原告から暴力を受けている旨の虚偽の事実を述べて,本件申出等をしたというものである。しかしながら,仮に,被告が上記事実を述べて本件申出等をしていたとしても,その相手方は本件各機関の担当職員であるから,不特定又は多数の者に対してされたものとは認められない。」

実際、DV等支援措置がなされても法的手続きが可能である以上、DV等支援措置により損害が発生したとは言いにくいでしょう。
ただし、具体的に損害が生じていると言える事情があれば虚偽申し出について慰謝料が認められる場合もありえます。

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