風営法と無許可接待

さいとうゆたか弁護士

1 無許可接待容疑で秋葉原のメイドカフェ5店摘発、経営者ら6人逮捕の報道

報道によると、秋葉原のメイドカフェ5店において、無許可接待がなされていた容疑で、経営者ら6人が逮捕されたとのことです。

以下、どのような場合に無許可接待とされるのか、量刑などについてみていきます。

2 無許可接待とは?

風営法2条は、「キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」が風俗営業に該当するとしています。

そして、風営法3条は、「風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第一項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。」としています。

よって、接待をさせる飲食業を営む場合、風俗営業の許可を受けないといけないことになります。

風営法49条が、「次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。一 第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだ者」としているので、無許可で風俗営業をしていた場合に2年以下の懲役か200万円以下の罰金に処せられることになります。

そこで、そもそも「接待」とは何かが問題となります。

東京高裁昭和33年4月17日判決は、「接待」について、「客の相手をして、その酒食の斡旋、取り持ちをすることと解するのを相当とし、遊興をさせる場合は免に角、飲食のみをさせる場合は必ずしも亨楽的雰囲気を醸し出さなければならないものとは解せられない」としています。具体的には、「二名の客の側に腰を掛け、同人等にビールを注いでやつたり、注いでもらつたりして、世間話をして、その相手となり酒食の斡旋、取り持ちをした事実」があるとしています。ですから、飲み物や食べ物をサーブし、話し相手になったり、お酌をしたり、取り分けたりすることが該当すると考えられ、メイドカフェについても「接待」をしているものと解釈される場合はあるでしょう。

なお、大阪高裁昭和46年3月10日判決は、客に飲食をさせる営業の場合であつても、客の接待をするとは、社会的儀礼としていわれる客の接待と意味合いが異なり、営業の対象としての客に対し、その慰安歓楽を求める気持を迎えて、客の気持に沿うべく積極的にこれをもてなす行為を指称しているものとするのが相当といわなければならない。」として、慰安歓楽という要素を重視しています。しかし、「談笑の間に単なる世間話程度の話題が提供された場合においても、客の話相手となることによつておのずから酒食の席に歓楽的な雰囲気がただようようなときには、その話題が世間話であるからといつて、いちがいにここにいう接待にあたらないと断じられない」としています。ですから、客の傍らで話し相手になるような場合には、やはり「接待」と考えられます(サービスとしてではなく、なじみ客と店員が個人的に話すような場合は別です)。

3 無許可接待の量刑

和歌山地裁令和2年7月22日判決は、「2月3日から同月7日までの間,同店において,客席等の設備を設けて,客であるDらに対し,同店従業員Eらに客席に同席させて談笑させるなどして接待をさせるとともに,酒類を提供して飲食をさせ,もって無許可風俗営業を営」み、客引きもした被告人について罰金80万円としています。

メイドカフェについては風営法が典型的に想定していた事例ではないと思われることなどを踏まえると、起訴されないか、されても80万円より相当程度安い罰金刑になるものと思われます。

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