児童相談所長による面会制限が違法となる場合

1 児童養護施設に入っている児童と母親との面会を制限する行政指導が違法とした裁判例

宇都宮地裁令和3年3月3日判決は、児童相談所長において、児童養護施設に入っている児童と母親との面会を制限する行政指導をしたことについて、違法と認め、慰謝料の支払いを命じました。

面会制限を違法と判断する判決は珍しいと思われますので、以下、ご紹介いたします。

2 面会を制限する行政指導が違法とされる基準

判決は、施設入所措置の目的は虐待を受けた児童の保護、自立の支援、親子の再統合を目的とするものとします。そして、面会交流は再統合にとって重要な手段であるとの認識を示します。

判決は、このような認識を前提に、

ⅰ 保護者において行政指導に従わないことについて真摯かつ明確に表明し、直ちに指導の中止を求めており、

ⅱ 保護者が受ける不利益と行政指導の目的とする公益上の要請とを比較衡量し、行政指導としての面会通信制限に対する保護者の不協力が社会通念に照らし客観的にみて到底是認し難いといえる特段の事情がない

という場合には、面会を制限する行政指導は違法となるとしました。

3 当該事案における具体的あてはめ

そして、裁判所は、母親について、児童に対して直接身体的虐待をしたものではなく、これに適切な対応をしなかったものにとどまるとして、特段の事情がなく、面会制限の行政指導は違法となるとしました。

裁判所は、母親は親子関係の再統合を図る上でいかなる監護上の問題を抱えているのかについて内省を深め、十分な認識を有する状況にあったとは言えないとしました。

しかし、これらの課題は児童の支援プログラムによって解消すべき問題であり、面会制限を正当化するものではないとしています。

他方、父親については、相当長期にわたって児童に身体的虐待を行ってきて、児童に肉体的精神的ダメージを与えたことなどを理由として、特段の事情があり、面会制限の行政指導は違法ではないとしました。

一定の場合において親子間の交流は子どもの福祉に資するものですし、それをむやみに制限した児相の行政指導を違法とした上記判決は妥当なものと言えるでしょう。

4 新潟で児童相談所、一時保護のお悩みは弁護士齋藤裕(新潟県弁護士会所属)にご相談ください

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