外資系企業と整理解雇

労災、解雇問題

1 ツイッター社による整理解雇

ツイッター社による大量解雇が話題となっています。

これまでも多くの外資系企業による整理解雇がなされ、裁判で争われてきました。

私も外資系企業による解雇事件の裁判の経験がありますが、少なくとも本社は日本の解雇法制を一顧だにしない姿勢であり、かなり特殊な対応でした。

2 外資系企業による整理解雇についての学説

通常、整理解雇については、

ⅰ 人員削減の必要性、

ⅱ 人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性

ⅲ 被解雇者選定の妥当性

ⅳ 手続きの妥当性

の4要素ないし4要件によりその有効性が判断されるべきとされてきました。

外資系企業による整理解雇については、一定の修正がなされるべきとの指摘もあります。

菅野和夫著「労働法 第12版」799頁は、外資系企業の中には、「転職市場の存在を前提に、部門や職種の専門代を重視した厳格な定員管理を行い、職務と成果に応じた高レベルの賃金・処遇制度を採用しているものが多」い、「このような企業が景気変動や構造変化に対応する際には、内部労働市場の雇用調整手法を動員して解雇を回避しようとするよりも、不要となった職務にお就く従業員に対して『パッケージ』と称される退職条件の提案を行いつつ転職を促し、これに応じなければ整理解雇を実施することになりやすい」とし、このような企業による整理解雇については、4要素説に照らした判断となりつつも、その雇用・処遇の仕組みの違いを考慮に入れる必要があるとしています。

3 外資系企業による整理解雇についての裁判例

東京地裁平成23年8月17日判決は、外資系企業による整理解雇について、「本件解雇に先立って、被告が原告に対して具体的に配置転換の提案をしたような事実も認められない。こうしたことからすると、本件解雇については、被告において若干その配慮を欠いたところがあるといわざるを得ない。」として解雇回避努力が乏しいことを認めつつ、「しかしながら、原告は、その人脈や専門的な能力を買われ、中国の現地法人の社長という職種を特定された上で、高額の報酬で雇われている以上、特定された職種が消滅すれば基本的には解雇されてもやむを得ない立場にある。また、被告が期待した原告の能力等は上記のようなものであるから、これを被告の従業員として活用をすることは困難といわざるを得ない。」等として、解雇回避努力なしでも整理解雇を認めました。

外資系企業による整理解雇については、このように整理解雇法理を緩やかに解して、解雇を有効とする裁判例が複数あります。

他方、日本企業による整理解雇と区別をしているように見えない裁判例も多くあります。

少なくとも日本は未だに雇用流動性が高いとは言えませんし、日本で解雇を行う以上、厳格に整理解雇法理を適用するべきだと考えます。

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